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オーストラリアから日本を思って(25)自公政権を下野させ、救民内閣を実現するカギ〜オーストラリアの政権交代で学んだこと 日本社会もきっと変わる~今滝美紀

岸田首相が4月に、衆議院を電撃解散する可能性があるとSamejimaTimesで報じられました(動画)。岸田首相の権力への固執が高まれば、十分あり得ると納得します。もしそうなれば、後2か月弱、6月になったとしても約4か月です。この選挙で自公政権を止めることができなければ、この暴走は加速し、いたるところで大小の事故を起こしながら、庶民生活の破壊行為が4年間ますます続くということでしょう。

こう考えると、次の衆議院選挙では兎に角、この暴走を止めるための“自公政権の下野”と救民内閣で政権交代をと願わずにはいられません。

オーストラリアで、2022年に9年ぶりに起こった、労働党(庶民寄り)への政権交代と、より救民政治に変わったことを振り返りながら、日本でも取り入れられることをまとめたいと思います。

オーストラリアの政治風景

オーストラリアは、アメリカやカナダと同様、イギリスからの流れでできた国ですが、それらの国々とは、同じではない。自分たちの主権を守り、独立したオーストラリアらしい国をつくろうという意識があります。

主に故郷から遠く南にある大陸に、危険を侵しながら船で囚人として送られたり、戦争から逃れたりした人々から始まり、つくってきた国であるという歴史から生まれる国のアイデンティティを、ふとした日常会話の中から感じます。

今は、労働党がかろうじて単独過半数を占めていますが、より庶民や弱い立場の人々・環境問題・人権・反戦を訴えるグリーン党が上・下院共で議席を伸ばし。特に上院では、労働党は半数をきり、グリーン党か保守党の助けが必要になっています。次の選挙では、グリーン党や無所属と労働党の連立の可能性も予想されています。グリーン党はれいわ新選組と似ています。

国際的にも2大政党での民主主義の限界が現われているようですが、オーストラリアも例外ではありません。

労働党は、政権をとるにはある程度、裕福層・投資家からの支持が必要なため、労働者/庶民のための思い切った政策ができない。前政権の連立(自由党+国民党)と同じように、英米との連携で、イスラエルへの停戦は訴えても、制裁やパレスチナ支援という行動には踏み込めない。ウクライナ停戦も訴えない。必要かどうかも分からない巨額の軍事品、例えば原子力水潜艦を安全保障の貢献という名目で英米から購入しないといけない。

そのような現状に、労働党内でも二大政党制の限界に気づいて不満を抱く人々が増えているようです。

2022年オーストラリアで政権交代が起きたキーポイント

▪️首相候補

劇的な政権交代を果たした民主党の鳩山政権は、より独立した新しい日本の姿を目指しましたが、官僚・外国の内政干渉・党内の反対勢力の攻撃で1年弱しか続きませんでした。

同時期に、偶然の一致か、豪州でも同じことが起きました。親アジアのラッド労働党党首の人気は高く、地滑りの勝利で政権交代を果たしましたが、党内からもラッド首相の態度が傲慢だという批判が広がり、首相の座を2年半で奪われ、結局労働党は、約6年(2期)政権を維持するのがやっとでした。労働党は、民意を無視した党内のゴタゴタで、信頼を失うことになります。

この後、労働党は約9年間政権交代を果たすことができませんでした。政権交代を果たしたのは、ラッド首相の側近として最後まで「国民が選んだリーダーを変えてはいけない。支えるべきだ」と支えた、アルバニージ現首相です。

アルバニージ首相は下野した後、代表選に2度敗れ、3度目の挑戦で無投票で党首に選ばれました。ソフトなイメージで、選挙戦前まで、リーダーの支持率では他党に負けていましたが(豪州では与党と野党第一党のリーダーの支持率とパフォーマンスも世論調査で数字化されます。あまりに低いと交代を要求されます。日本でも、行ってはどうかと思います)アルバニージ党首(現首相)は選挙戦6週間の毎日のインタビューで、芯の強さ・熱意・チーム統率力を見せ、巻き返して支持を上げました。庶民出身のアルバニージ首相の“Down to earth” な人柄が評価されたと言われています。

これは“実践的で、理にかなって、フレンドリー”という豪州で好まれる人柄です。豪州では、投票は義務で習慣となり、政権交代で社会が変わる体験があり、首相候補にインパクトが無くても、政権交代は起きます。

しかし、投票率が低い日本で、言い換えると“投票率を上げるのに消極的な長期政権”が続く日本で、日々の仕事や生活に追われる上、政治に期待を持てずに選挙に行かない人々が投票に行ってみようと思うには、鮫島さんが訴えるように(こちら記事)インパクトが強く、何かやってくれそうだ!救ってくれる!という首相候補の存在は起爆剤となるはず。

田中真紀子さんの名前が上がっていました。長い経験を後輩に伝授して、まだまだ活躍してもらいたいと思う人は多いでしょう。まずは、自公政権を下野させ1期か2期でもよいので総理を務めてもらい、タスキを繋ぐという形でも良いのではないでしょうか。別の候補も含め登場を楽しみにしたいと思います。

▪️選挙のディレクター

救民内閣の実現を進める泉房穂さんは、その脚本とプロデューサーに専念し、救民内閣実現のために、3回は衆議院選挙が必要だと言っています。1回目は政権交代のための選挙、2回目は救民内閣に抵抗勢力議員の交代のための選挙(救民法案に反対する議員に刺客を立てる作戦です)、3回目は救民内閣を確実にするためにメンバーを純化する選挙、だそうです。

ご自身が立候補すると、選挙に忙殺され、理不尽な攻撃に合うこともあるので、救民政治の実現のデレクターに集中するそうです。救民内閣が安定しめどが立てば、数年後出馬されるかもしれません。

日本の政党では、選挙対策委員長は国会議員が務めていますが、豪州では議員ではありません。労働党では書記長が選挙キャンペーンのディレクターとなり、そのキャンペーンチームが選挙の作戦を練り、候補者を援助します。勝利のために、党首やメディアに出る議員たちにもその対応や振る舞い方、話す内容等に厳しい意見を与えるそうです。

▪️熱いリーダーたちとチームワーク

労働党の選挙キャンペーンディレクターのエリックソンさんは、「勝つためのキーポイントは“団結”、ハードルは “有権者の疑心暗鬼”、必要なことは“失敗から学ぶこと”」だと話していました。“有権者の疑心暗鬼”については別の回で書いてみたいと思います。(こちら参照

オーストラリアでは6週間の選挙期間中、メディアの報道は選挙で占められます。毎日与野党から、首相候補だけでなく、様々な候補者がテレビ・ラジオに出演して、インタビューやスピーチを行います。これらが、候補者たちの国のリーダーとしてのアピールと場となり、国民に力・やる気・根気がどれだけ伝えられるかということが、勝敗を決めるカギになります。労働党は、過去の失敗から学んだことを伝え、チームとして団結とチームワークの良さも示し、「私たちはまとまっている。政権をすぐに運営し、政策を実現する準備はできている」と繰り返しアピールしていました。

救民チームメンバーは?

連載第22 回では、れいわ新選組、立憲民主党、無所属の議員や泉房穂さん、安藤裕さん(前衆議院・自民党)が集結していることを書きました。

自民党のベテラン議員で「安倍氏は国賊」と言い自民党から処罰を受けた村上誠一郎さんも先日、救民政治にする働きかけを与野党にしていると話していました。  (こちら参照)  

これら救民政治を目指す人々に共通する意見は「与党と野党に救民チームへ呼びかけている」ということです。確かに、衆議院過半数は233議席。今の衆議院自公議員(262+32=294議席)。 野党と“ゆ党(自民党寄り)”を足しても174議席で、233議席まで59議席も足りません。れいわ新選組も立てたくても候補者がいないことが問題だとききます。

自民党には約100人積極財政派の議員がいるとききます。自公の議員が、日本の未来のためとはいえ、力や心があってもリスクを冒し自民党を離党できるのでしょうか? よほど救民チームに魅力があり、選挙の勝算がなければ、離党して移らないのではないか、ここが難問だと感じます。

泉房穂さんは、今の野党の枠で連立でも、新党結成でもどちらでもよいということでした。しかし今、自民党から救民チームに入るには、無所属かどこか野党に移るか新党をつくるか、どのような形になるか興味深いところです。

れいわ新選組は、唯一大政翼賛に加担しない“炭鉱のカナリア”政党として、救民チームとして協力調整しながらも、政権に影響を及ぼすために、独立して勢力を伸ばしてはどうかと思います。すでに明らかな“緊縮派/反消費税減税”で“救民チーム”に入る候補に刺客を立てる戦略も考えているのではないでしょうか。

また泉房穂さんは、インフルエンサーで救民政治を実現しようという候補者も20人ほど揃えたいということでした。賛同する地方の首長や議員も強力な助っ人となるはず、多くの救民メンバーの登場を期待したいと思います。

魅力のある首相候補・心や力のあるリーダーたち・救民チームとして団結して揃えば、強いインパクトとなりマスコミも取り上げざるを得ない状況になると思います。

気になる怪しい反救民組織?

Samejima Timesによると民間有識者らの政策組織に超党派の議員が参加する「令和国民会議(令和臨調)」は財務省と結束し、将来の消費税増税を計画しているということです。詳しい内容も明らかではなく、そのメンバーからも強い危険を感じます。(参照 記事 動画

れいわ新選組とも親しく消費税廃止と積極財政を訴える安藤裕さん(元自民党衆議院)もXで「この動きは相当まずい。ここに名前が上がっている議員は、国家を破壊する『国壊議員』として認定していい。それほどの大きな動きである。この集団が力を持つと、日本はとんでもないことになるだろう令和臨調に要注意‼️」(こちら参照)と警告しています。消費税増税や地方、弱い立場の人々の切り捨てなどが、心配されます。

安藤さんはまた“自民党を下野させろ” で、「今の自民党支持率は、20%前半、野党第1・2党は5~10%弱で、野党が団結すれば、政権交代が起こる。まずは、自民党ができない“消費税減税/廃止”で、大同団結でまとまること」を提案していました。しかし、消費税減税をかたくなに拒否する、自民党よりもさらに緊縮派の立憲の幹部や一部議員がネックになっている、と指摘していました。

その他の救民内閣の政策は、政権が安定して選挙で勝てる状態ができれば、ほとんどの救民メンバーは、トロイの木馬(分断勢力/自民党や統一協会と繋がっている議員)でなければ、以前の立ち位置を変え、政策の不一致の解消が可能だと思います。民主系から自民党へ移籍し、180度違う言動をとっている多くの議員を見れば、十分あり得るでしょう。

統一候補と予備選

自公候補者と一対一の構図をつくれば、勝算がかなり高くなることから、予備選が提案されています。アメリカでは、その党員でなくても、予備選で投票できるそうです。豪州のABC(NHK相当で無料) で届けられた米国の声は、日本の状況と似ていました。「私は民主党支持だけれど、バイデンには投票したくない、トランプも嫌だから投票に行かない」という米国の人々の声でした。

大統領として投票したい人がいない、民意が反映されない、そのため、投票率が大きく低下することは、民主主義をうたう米国政治の危機的状況に陥っている、ということでした。

一方で、民主党でも反戦や移民の危機を危惧する人々は、トランプに投票したい人もいます。ですから、支持政党に関わらず野党候補の、予備選をすることは理にかなっていると思います。

それぞれの野党が応じるか、予備選の準備や宣伝も簡単ではないので、短期間での実行は難しいでしょう。その地域の世論調査を行えば、情報は得ることができるので、参考にし、野党間で合意し協力調整が進めば、一対一の有権者に分かりやすい構図は、可能だと思います。

れいわ新選組・共産党・社民党など大きくないけれど、存在意義のある政党の存続にもかかるので、配慮して欲しいと思います。

おわりに…ジュリアン・アサンジさんの言葉  

先週豪州で連日報道されていたのは、米国の戦争犯罪やCIA情報の真実を伝えたことで、罪を犯していないにもかかわらず、英国で拘留されている豪州人ジュリアン・アサンジさんについての報道でした。

このコラムでも何度か取り上げましたが、英国は米国の依頼で、米国への強制送還を準備しています。米国に送られると175年の刑、弁護も受けられない、何処でどのように取り扱われるか分からないという、絶体絶命の状況で、米国への強制送還を止める訴訟ができるか最終の公聴会が2月20・21日に開かれました。

今まで、戦争犯罪を暴露した米国人たちは、刑を免れて釈放されているにも関わらず、アサンジさんに対しては、精神的にも肉体的にも極限といえる状態に追いやり、拘束を何年も続けていることに、豪州人の約80%が釈放を求めています。国会でも米国に近い自由党と国民党を除く2/3の賛成で、正式に英米に対して、アサンジさんの釈放を求めることになりました。

パレスチナ・ガザでも真実を伝えられないように、ジャーナリストの人々が狙われているとききます。

安全保障という名の下で、終わらない戦争が、世界各地で起こり、人々の命や土地が犠牲になり、そのための支援金(私たちの税金)が米国や西側の軍事産業と経済の繁栄のために使われている真実を明らかにしたアサンジさんの有名なスピーチが、公聴会を前に奥さんのステラさんからXに投稿されました。

日常で私たちは、一般の人々から民主主義は“言論の自由”と“抗議”だと教えられます。私たちが意見し、抗議することを止めれば、

一度それを妨害され、なだめられたら、背中を向き合うようになれば、私たちはもう自由ではありません。本当の“民主主義は、抵抗の団結の合計”です。

あなたが声を上げなければ、人として特別なものを諦めれば、あなたの意識や独立性や善悪に対して降参すれば…。

言い換えれば、気づかないうちに受け身になり、コントロールされ、自分と愛する人を防御できるようになる。

人々はよく私に『そのために何ができますか?』と尋ねます。

答えはそれほど難しくありません。

世界がどのように機能するかを学びましょう。

民主主義と君主/全体主義の表向きの対立の裏で、私たちを支配しようとする人々の発言・行動・目的に挑戦してください。

共通の目的と共通の原則のもとに“団結”し、デザインし、積み上げて、文章にし、資金調達をし、防御をすることができます。

学ぼう、挑戦しよう、行動しよう。今だ。

怒りを集めて、与野党の一人一人の議員や候補者に抗議し、救民チームの団結の合計が勝れば、まずは、自公政権を下野させることができるはずだと思います。

冒頭の写真は、アサンジさんの釈放を訴えて、シドニー周辺を走る車です。

今滝 美紀(Miki Imataki) オーストラリア在住。 シドニー大学教育学修士、シドニー工科大学外国語教授過程終了。中学校保健体育教員、小学校教員、日本語教師等を経て早期退職。ジェネレーションX. 誰もがもっと楽しく生きやすい社会になるはず。オーストラリアから政治やあれこれを雑多にお届けします。写真は、ホームステイ先のグレート オーストラリアン湾の沖合で釣りをした思い出です。

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