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こちらアイスランド(33)あたり一面の黄色い花、放し飼いの馬の大群…最北東の半島はすごかった〜小倉悠加

空腹とイライラを言葉の表現と表情に出てしまいそうになるのを抑えて彼に任せた結果、この日の宿はキャンプではなくゲストハウス(Ytra lon)。それもキッチン付きスタジオアパート!やったぁ!

彼も私もアスキャの強行軍で疲れていたので、テントや車中ではなく、ベッドで眠りたかった。途中、宿の看板があり、それを見た彼が電話をして、場所を確かめ、到着したのが21時。

キッチンでお湯を沸かしてゆっくりとお茶にして、ホ〜ッと一息ついてから眠りについた。「宿、安くないけど、たまにはいいよね」という英断をありがとう。

ミニ・キッチン、食卓、ソファ&テーブル、シャワー、トイレ等、十分な設備の上、この景色。

牧場の中にあるゲストハウスで、部屋数は10室程度。窓を開けると爽やかな空気と景色が目に飛び込み、夜に飛び込みの一泊ではもったいない環境だった。また来ようと思える場所でよかった。

せっかくランガネス(Langanes)半島に宿泊したので、どーせだからサクっと半島を一周して、早めに東のメイン・タウンであるエイイルスタディル(Egilsstaðir)へ行こう。今夜はゆっくりご飯が食べたいね、という計画。そしてこの「サクッと」という言葉が鬼門であることは、「こちらアイスランド」の愛読者はお気づきかと・・・。

また、この日は朝の目覚めが悪く、私がチェックアウトぎりぎりまでぐーたらして、出発が遅めになった。

ランガネスはアイスランドの最北東部にあたり、南西から北東まで40キロの細長い半島。分かっていたのは、最東北に灯台があり、その手前の道沿いに何かの展望台があるらしいということ。確かにそれだけを聞けばサクっといきそうだけど、私は疑ってた。

道中は思ったよりもずっと情景の移り変わりが豊かだった。例えば「鳥注意」の看板があった道は、文字どおり路上に鳥が鎮座まして、追い払いながらゆっくり走らないと、ひいてしまいそうになる。こちらは通行したいだけでも、鳥にしてみれば侵入者。だから威嚇しに車の上を目掛けて飛んでくる。え〜〜、なにこれ?の状態。

鳥の道を超えたところ。「何もない感」がとても好きだった。アイスランドはどこもそうだけど。

そして最初の目的地の展望台。ここから何が見えるのか彼も知らず、まして私など、世界の果ての島のそのまた果てという程度しか知らず。はて、海が美しいとはいえ、そんな場所はいくらでもあるし・・・。

とりあえずは動画を見てもらった方がよくわかるかな、と。

相変わらずの動画下手でごめんなさいと言いつつ、展望台が海にせり出してる、鳥の島がある、羊が放牧されてる、海岸線の起伏が一度に分かるので、ぜひご覧ください。

先入観がなかっただけに驚いた光景だった。展望台は海に迫り出し、足元の絶壁が透けて見えるため、怖がりの人はご法度の場所。歩み進めるにつれ、異様に白い島が登場し、その白さに絶句しながらよく見れば、鳥、鳥、鳥。展望台の入り口から歩み進めるにつれ、徐々に広がる光景は、まるで映画のようだった。

展望台の周囲をゆっくり見ても15分程度だろうと思っていたのが、一時間強の延長。絶壁にも物おじせず草をはむ羊の姿が青い空と緑に映えて美しく、その姿を追いかけるのが楽しくて、思わず長居してしまった。

先を急ごうと、その場を離れる際に目にとまったランガネス観光案内板がこれ。紹介されているのは3カ所で、展望台はNorthen Gannetというシロカツオドリの仲間の鳥をアイスランドで観察できる数少ない場所だという。灯台(Fontur)は行く予定にしていたけれど、スカウラル( Skalar )って何だ?

ランガネスの見所がこれで全部わかる。片道4キロならSkalarへ行ってみるか。

スカゥラルは集落の廃墟・史跡らしい。展望台は島の北側、スカゥラルは南側なので、どうせなら島の両側を制覇しようということに。そして現地へは10分程度のドライブで到着。

海運や漁業等で栄えた集落が、社会の状況変化についていけず1950年に住民が去っていったという。

そこで私たちの目に鮮やかに映ったのは、廃墟ではなく黄色い花!真っ盛り!どこを見ても黄色だらけ!!

毎年、この黄色い花(Soleyというキンポウゲの一種)がたくさん咲いている場所で、彼は私の写真を撮りたがる。これほど一面見渡す限り咲いてる場所はなかなかないし、ここは訪れる人もごく少ない。背景が史跡であることも悪くないし、海岸線の雰囲気もいい。またもや滞在時間が1時間。

「サクッと」と思っていたのが、既に延長2時間だ。名残惜しいけれど、彼の写真熱を切り上げさせて燈台へ。

アイスランド最北東ランガネスの燈台Fontur。陸からは海しか見えず、見渡す限り水平線。

灯台はさすがに灯台だけだった。最北東に足跡を残すためだけに来た場所。ここはサクッといった。ホッ(笑)。

ランガネスの三大観光地を制覇したので、あとは今夜の宿となるエイイルスタディルへ向かうだけだ。道のりは250キロ、約4時間弱。この時点で16時。どう考えても到着は20時を過ぎる。それでもまぁ、いいか。

と思ったのも甘かった。トラップは例の展望台のところに仕掛けられていた。エイイルスタディルへ向かうため、一本道を戻っていると、道沿いに馬の大群が!

「馬だ!かわいいね〜、人なつっこいよね〜」

「ユーカ、車降りて見たいの?」

先を急ぎたい彼と、馬と触れ合いたい私。徐行した車から「数分だから」と私が飛び降りた。

馬の魅力に負けて、すぐに目的地へは迎えなかった

すると、馬に迫られてる私を撮りたくて、彼も車から出てきた。

馬を大量に移動させるツアーには出会したことがあるけれど、どうも引率者の姿が見えない。馬の放牧は聞いたことがない。細長い半島で馬が走れる地域も限られるから、馬にとっては遊び放題。放した持ち主も馬を集めやすいとか?

真相は定かではないけれど、引率する人間の姿のない馬の大群を見るのは、アイスランド人の彼も初めてだという。

数分の予定が、馬がいることで楽しくなり、ここでまた20分を追加。そしてホテル到着20時半。

エイイルスタディルは大型ホテルが存在するほどの街なので、食べる場所はそこそこある。けれど7月はアイスランド人の夏休み大移動月。ホテルのレストランは満席で、街中の美味しそうなレストランは1時間待ちだ。仕方ない、ガソリンスタンドでサクッと食べるか。

小倉悠加(おぐら・ゆうか):東京生まれ。上智大学外国語学部卒。アイスランド政府外郭団体UTON公認アイスランド音楽大使。一言で表せる肩書きがなく、アイスランド在住メディアコーディネーター、コラムニスト、翻訳家、カーペンターズ研究家等を仕事に応じて使い分けている。アイスランドとの出会いは2003年。アイスランド専門音楽レーベル・ショップを設立。独自企画のアイスランドツアーを10年以上催行。アイスランドと日本の文化の架け橋として現地新聞に大きく取り上げられる存在に。当地の音楽シーン、自然環境、性差別が少ないことに魅了され、子育て後に拠点を移す。好きなのは旅行、食べ歩き、編み物。