2025年11月末、今年の冬最後の遠出ドライブをしてきた。去年亡くなった父の命日に間に合うよう12月10日過ぎには日本に戻るので、今年最後になろうと思う。
この日は天候もよく、風も凪いでいた。果たして郊外のハイランド近い場所にどの程度雪が積もっているかわからないが、とにかく出てみようということになった。
夏はヴァケーションの季節で多くの人がハイランドへ向かうし、観光客もわんさか訪れる。交通に関しては細かな状況が割合把握しやすいけれど、この時期になると道路公団の地図を見ても「冬季サービスなし」としか書いていない。走りたい道の状況がわからないのが常となってくる。
向かった先は、以前ご紹介したことのあるハゥイフォス(Háifoss)とギャウィン(Gjáin)だ。
冬の景色は殺風景と見るか、趣があると見るかは人それぞれだろうと思う。
今回まず向かったのがギャゥインの方だった。
冬は日が高く昇らない。この時期は日照が短いのだ。進む方角により太陽の光がとても眩しく、対向車が見えなかったり、対向車からこちらの車が見えていないことを念頭にハンドルを握る必要がある。
太陽の位置をわかってもらうには、こんな写真はどうだろうか。例えば午後1時がこんな感じだ。日の出なのか日没なのか、よくわかんない。1日の日照時間がずっと朝焼けとも夕焼けとも判別がつかないような感じになる。

そして向かったギャウイン。まずは夏の風景を以前のコラムでご覧いただきたい。初めて行った時、自然のあれこれをギュっと詰め合わせセットにした、遊園地のようだと思った印象的な地域だ。
自分でも見返してみた。夏の伊吹や清々しい空気感を感じていただけただろうか。ちなみに、私が川の中に入った渡った場所は、現在簡易な橋がかけられ、水に濡れずに対岸へ行くことができるようになっている。
さてさて、冬になるとこんな風になる、というのが次の写真だ。同じような場所から数年前の6月に撮った写真があるので左右に置いてみた。
正直なところ、ここが本当に同じ場所?というほど印象が違う。
夏はどこに何があるのかわかりやすいけれど、冬は雪であちこちが覆われるせいもあり、なんだかぁ・・・。よく知る人によれば、一面に雪と氷の世界になれば、それはそれで非常に美しいということだった。でも、そんな時はもう我が家の小型車ではこの地まで辿り着けない気がする。


次も同じような場所からの写真があるのでご紹介したい。


上の写真の場所は、冬も悪くないかという感じだろうか。
実はもう少し雪に覆われ、滝がばっちり凍っていた方が見応えがあったかと思っている。・・・というのはわがままな話ではあるけれど。
かなり寒々しい写真ばかりだけれど、これが冬の現実。それも、かなり雪が少ない状態。滝がどれほど凍っているかが我々の興味の焦点で、「案外凍ってなくてつまんないね」という畏れ多い感想を抱いた。普通ならば、この地に来られただけで感謝感激しなくてはと思うような場所なのだから。



出発前にあれほど心配した道だったけれど、四駆であれば難なく到達できるコンディションだった。でも、そんなことは実際に来てみなければわからないことなので、訪問者は私たちだけだった。道には新しいタイヤの跡があったので、きっと午前中には数組来ていたのではと思う。
夏に訪れた際にレポートしたように、この場所はコンパクトにいろいろな自然要素が散りばめられ、歩けば歩くほど楽しい。それでも冬は、日は短い、寒い、足元が滑る等があるし、私は散歩をするつもりの服装ではないこともあり、簡易な橋をわたり、滝の前で写真を撮って今回のギャウイン訪問は終わりにした。
駐車場は山を登った上にある。この自然遊園地(?)は窪んだ場所にある。駐車場への上り下りは随分と整備されて怖くなくなったとはいえ、冬場はどうしても氷でツルツルになって怖い場所がある。この地に限らず、冬で滝がある場所へ行く際は、靴につける簡易なスパイクやハイキングポールをぜひお忘れなく。
次はハウイフォスだ。ギャゥインの駐車場からハゥイフォスまではそれほど離れていない。私の脳内では同じ場所の認識だ。
この周辺の道は容易に走れると書いた。で、実際はどのような感じだったかといえば、こんな風。これはギャウインを出てハゥイフォスへ向かう道中で撮った。見てわかるように、楽勝。
ここは山岳道扱いで、夏のシーズン当初に軽く整備はされるが、シーズン半ばすぎには道路に穴などが結構増えてくる。雪が降るとこの穴が埋まって夏よりも走りやすくなる。この道もそうだった。

さて、次はハゥイフォスだ。まずは夏の写真を以前のコラムでどうぞ。
滝が落ちる下まで行ったのは、後にも先にもこの時しかなかった。その後、訪れる度に下まで行きたいなぁと思い続けている。
冬はハイキング道は氷バキバキで危なすぎる。夏はあちこちへ行きたいので、時間ギリギリで「滝だけ見て帰ろう」ということが続き、私はずっとこの滝で消化不良になってきた。次は本当に滝壺までまた降りて行きたい。ーーーということを彼とも話すのだけど・・・。
それでは今回の写真をば。
同じ滝が2枚の写真で見えている。ブラウザでご覧になっている方は、脳内で左右の写真を繋ぎ合わせれば、ひとつの風景になろうかと思う。なにせ太陽が高く昇らないため、冬はどうしても滝壺まで太陽が当たってくれないことが多くなる。
夕刻に撮った写真に見えると思うが、実際は午後の2時半でしかない。11月末のアイスランドは午後3時を待たずして夕焼け空なのだ。


冬といっても今年は雪がそれほどでもなく、凍りついていたり、雪が積もっている部分は多くない。それはギャウインも同じだった。こちらも遊歩道はある程度整備されてはいるけれど、そこは雪の吹き溜まりになっていた。深い雪溜まりを避けようと、道の脇にあった石にヒョイと足を乗せたところ、表面が凍結していたらしく(黒く見えていてわからなかった)、不覚にも滑って転んでしまった。
怪我や骨折等はなかったけれど、くわばらくわばら。今年から年金世代突入なので、アイスランドでは転倒が一番怖い。本当にものすごく気をつけているのに、この時は不覚だった。
転倒といえば、私が年寄りでバランス感覚が悪くなっているのではない(と思う)。凍結している場所というのは、実に見分けがつかない場合が多い。だからものすご〜くあほみたいに気をつけてるんだけど・・・。
太陽が低いといえば、午後3時の私の影。足が長くて手が短い!


このコラムは好き勝手に書いているけれど、読者はどう感じているのかと、ふと気になることがある。
観光を目的にこの国を訪れる人は、彼らの目線からNoteに旅行記を書いたり、Youtubeでその紀行を紹介したりと、実際に来る人にも役立つ情報はたくさん世の中にある。
実際の旅行に役立つ情報はそういった物事の発信が得意な人に任せて、私は居住者ならではのアイスランド観光をご紹介(お裾分け)してきたつもりだ。
けれど、果たしてそれが読者には興味深いのか?普通の観光地ドッカーンの方がいいのか?でも、そういった観光地は数が少ないので、たぶん私もすでにどこかで言及したり写真をあげたりしていると思う。
日本に戻り、アイスランドのことを考えると、やっぱり遠いし未知の国だよなあと改めて感じる。
今回のコラムはなんとなく寂しげで寒々しい。けれどそれがアイスランドの現実だし日常なのです。
おっと、今年2025年はこれが最後の投稿になるみたい。1年間ありがとうございました。来年はまた来年の風が吹くということで、どうぞよろしく。
読者のみなさま、どうぞよき新年をお迎えください。
小倉悠加(おぐらゆうか)
東京生まれ。上智大学外国語学部卒。アイスランド在住。メディアコーディネーター、コラムニスト、翻訳家、ツアー企画ガイド等をしている。高校生の時から音楽業界に身を置き、音楽サイト制作を縁に2003年からアイスランドに関わる。独自企画のアイスランドツアーを10年以上催行。当地の音楽シーン、自然環境、社会の自由な空気に魅了され、子育て後に拠点を移す。休日は夫との秘境ドライブが楽しみ。愛車はジムニー。趣味は音楽(ピアノ)、食べ歩き、編み物。
