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こちらアイスランド(94)40年前とは大違い。アイスランド大学、IT徹底で印刷物ゼロ。宿題もテストも授業計画もCANVASサイト一括管理〜小倉悠加

入学許可の知らせはメールのみで、紙面では送られてこなかった。

アイスランドの行政手続き全般がそうであるように、大学への申請も手続きもペーパーレスだ。紙情報が優先される日本社会に慣れている私には、印刷された紙が来ないことに若干の戸惑いを覚えた。人間が古い。それだけのこと。

8月に入ると新入生のオリエンテーション日の知らせが届いた。紙ではなくメールでの連絡だ。来られない場合はストリーミング視聴が可能だし、しばらくの間オンデマンドでも公開された。理にかなっている。私が履修するのはPractical Diplomaという、アイスランド大学の学位留学準備にあたるアイスランド語の一年間コースだ。準備なので学位取得の単位には加算されない。

さてと、あとはどの科目をどの時間帯で受けるかだ。ここでも私のわがままが出る。朝早いのはやだ。特に冬場の早朝は真っ暗だし、凍った道を歩いてのケガや骨折も絶対に避けたい。10時から始まるクラスが理想なので、それをゲットしたい。

履修科目の登録はオリエンテーション日の午後3時からオンラインで開始される。その登録方法の解説がオリエンテーションでは一番の肝だった。もちろん、科目内容の説明もあったけれど、私には希望時間のクラスに登録することが最優先事項だった。

ここで音楽ファンたるチケ争奪合戦の体験が生きる。こういう時、午後3時過ぎに大学のサイトに入ったのでは遅い。少し前から体勢を整え、数秒前には画面を再読み込みし続け、表示されると同時に烈火の如くボタンを押す。

が、どうやらアクセスが集中しているようで、すぐには表示されないし、表示された時点では「満員」と出てくる。聞いてないよ〜!それが「変更待ち可能」の表示になり、デスクトップとiPadminiの両方で攻めた結果、とにかく希望の時間帯をゲットした。ホ〜〜。

彼のお勧めに従い、とりあえずは全教科を受講することにした。やるもやらないも自由。進学無関係、就職無関係、今更アイスランド語を少し理解できるようになったところで、最終的は英語でしか物事はできない。気楽でいい、気軽にいこう。

大学の校章が入った車。HÍはHáskóli Íslandsの略でハウイーと読む。

履修するのは『Orðaforði og málfræði I / 語彙と文法 I(10)』『Sjálfsnám í íslensku I / アイスランド語自習 I(10)』『Tal og tjáning I / スピーチと表現 I (5)』『Hljóð og hlustun I / 発音と聞き取りI (5)』。カッコ内は単位数。それぞれの教科の焦点は異なるが、教材はオーバーラップしている。

これに加えて、10単位までは人文学部の選択科目を履修することができる。英語で教えている教科もかなりある。留学生は「アイスランド文化」を受講する人も多い。選択可能な項目を調べているうちに「日本のシネマ」というクラスが目に飛び込んできた。

日本映画、いいじゃん!

日本語能力が目に見えて落ちているので、日本語を聞いて理解するいい機会になる。その上、日本映画の歴史が学べて、海外の目線から日本映画の評価を知ることができる。おいし〜。

選択科目は大学サイト内の自分のアカウントから追加することができる。けれど、既に10単位分を履修しているため、これ以上は追加できないと表示される。日本映画のクラスは後期にないため、前期に取る必要がある。「アイスランド文化」は後期にも同じものがあるけれど、真冬のフィールドトリップは避けたいので前期にとりたい。

そうだ、聴講という手がある!

80年代の半ば、カナダの大学へ半年ほど通ったことがある。その時に数教科を聴講したことを思い出した。あの時は、就職後に体調を崩したため、都会を離れ、静かな場所へ行きたくて、カナダを選んだのだった。

日本映画のインストラクターにメールを書き、聴講許可をもらった。ふふ、これで日本映画を見ることができる。それも解説付きだ。うれしい。ついでに、アイスランド文化のコースも聴講にした。映画や音楽はいいが文学はあまり知らないので、基本的な知識はつけたいと思っている。

アイスランド語だけを受講するのであれば、通学は週に2-3日で済む。2-3日という1日分の振れは、「自習」コースのスクーリングが二週間に一度だから。このスクーリングも実際に教室へ行く必要はなく、オンラインでも受講できる。オンラインのストリーミングといえば、この語学コースは教科試験を何度か大学で受ける必要はあるが、それ以外はオンライン受講が可能だ。極端な話、大学で定期試験さえ受けることができれば、あとは海外にいても大丈夫。もちろん社会人学生も多い。

アイスランド語に興味ある人が、SAMEJIMA TIMES読者にどれほどいるかわからないが、このコースで使われる教材の一部をご紹介しておこう。オンラインで無料提供されている。

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Íslenska fyfir alla
http://tungumalatorg.is/ifa/
・音声ファイルもサイトにある。
・製本されているものを購入すると一冊6千円。コピーによる著作権侵害はないため、大学近くのコピー屋で本にしてもらうと2千円。大学のコピー機を使えば千円程度で済む。

Icelandic online
https://icelandiconline.com/
独学オンライン・プログラム。有料で先生が付くコースもある。

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そして9月から本格的に授業が始まった。

なにせ60代の熟年学生だ。さぞや目立つかと構えていると、拍子抜けするほど目立たない(と自分が思っているだけなのかも)。アジア人は年齢よりも若く見えるせいもあるのかもしれない。オリエンテーション日には、去年このコースを受けたという65歳のイギリス人男性に会った。退職後、長年の夢だったアイスランド留学を実現したそうだ。偉い!

オリエンテーション日に紹介された担当教師陣は、なかなかいい感じの顔ぶれに思えた。授業内容は 隅々まで計画済みで、CANVASというサイトに各週ごとに詳しく掲載されている。

オリエンテーション時に「キャンヴァス、キャンヴァス」と連呼され、意味がよくわからなかった。白板にCANVASと書かれた時は「キャンパス campus」の間違えではないかとも思った。が、そんなことを指摘しないでよかった。CANVASという教育機関用サイトがあり、そこをフル活用しているという意味だった。40年ぶりの大学生活だ。知らなくて当然だろう。アイスランドの物事なので、ペーパーレスであろうことは察しがついていた。それでも、これほどIT化が徹底されているとは想像外で唸った。

60代の女性のイメージとは、日本ではどのようなものだろうか?スマホは持っていてもデスクトップは使わない感じなのかな?

私は80年代末のパソコン通信と呼ばれた時代からのネット族で、90年代初頭からマックを愛用。アイスランド大学のコピー機を使うためのデスクトップがWin機なのがネックだけど、大学がITを駆使していてドッキリということは全くない。サイトの使い方はすぐにわかった。

アイキャッチに使った画像は私のキャンヴァスのスクショで、履修科目が一目でわかる。各教科をクリックすると、詳細へ飛ぶようになっている。

小倉悠加(おぐら・ゆうか):東京生まれ。上智大学外国語学部卒。アイスランド政府外郭団体UTON公認アイスランド音楽大使。一言で表せる肩書きがなく、メディアコーディネーター、コラムニスト、翻訳家、カーペンターズ研究家等を仕事に応じて使い分けている。アイスランドとの出会いは2003年。アイスランド専門音楽レーベル・ショップを設立。独自企画のアイスランドツアーを10年以上催行。当地の音楽シーン、自然環境、性差別が少ないことに魅了され、子育て後に拠点を移す。好きなのは旅行、食べ歩き、編み物。自己紹介コラムはこちら

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