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立憲野党私設応援団(4)れいわ新選組への期待と不安【不安編】~憲法9条変えさせないよ

<目次>

1.「山本太郎」は神様なのか

2.「景気爆上げ」と言われても実現性のある話だと感じられない日本人

3.「消費税廃止」は魔法のような政策なのか

4.「財源問題」をどうやって解決するのか

1.「山本太郎」は神様なのか

れいわ新選組の山本太郎代表はカリスマ性の高い政治家です。

しかし、山本太郎さんも一人の人間であり、決して全知全能の神ではありません。

山本太郎さん自身が「全ての政党を信じるな。全ての政治家を信じるな。私も含めて。」と語っています。

実はこの言葉自体が、矛盾した命題になっています。

なぜなら、この言葉を聞いた人が「全ての政治家を信じない」というという態度を取ろうとすると、「全ての政治家を信じるな。」と言っている山本太郎さんの言葉を信じてしまうことになり、結果として「全ての政治家を信じるな。私も含めて。」という命題の要請を守ることができなくなってしまうからです。

いきなり揚げ足取りのようなことをしてしまいましたが、れいわ新選組の支持者の人たちのネット上での言動を見ていると、山本太郎さんのことをまるで神様か何かのような感じで捉えられている向きが少なからずおられるようですので、少し冷静になって考えてもらえれば、という意味で最初にこの話を取り上げてみました。

山本太郎代表は、2019年のれいわ新選組の立ち上げの時から一人で様々な決断を下してきましたが、時には判断ミスをしてしまったこともありました。

2021年衆院選の比例東海ブロックで、れいわ新選組は1議席獲得できる票を得ましたが、重複立候補していた2名の候補者が2人とも小選挙区で供託金没収という負け方をしたため比例で復活当選できなくなり、その分の議席を公明党に譲ることになってしまいました。

これは結果論になりますが、例えば東京10区からの出馬を見送った渡辺照子さんを東京ブロックではなく東海ブロックで比例単独の候補者にしていたなら、れいわ新選組は衆院選でもう1議席獲得できていたことになります。

今後は、選挙などの党務については高井崇志さんが幹事長としてその役割を担うことになり、また、政策については大石晃子さんが政策審議会長としてその役割を担うことになりましたので、党代表の山本太郎さんが一人で全てを抱え込む必要はなくなりました。

そうした意味では、れいわ新選組は組織としての体制が少しずつ整ってきて、今後ますます期待できる形になってきつつありますが、現在れいわ新選組が掲げている政策は、まだまだ「山本太郎個人の思い付き」的な内容のものが少なくないと思いますので、政策面での不安に関して指摘していきたいと思います。

2.「景気爆上げ」と言われても実現性のある話だと感じられない日本人

れいわ新選組は結党時に掲げた<私たちの使命>として「20年のデフレで困窮する人々、ロスジェネを含む人々の生活を根底から底上げ。」という決意を述べており、掲げる一つ一つの政策から「あなたを幸せにしたいんだ。」という山本太郎さんの熱い思いが伝わってきます。

しかし、そのことと、れいわ新選組の政策が有権者に受け入れられるかどうか、あるいは、有権者に受け入れられて実行に移すことになったとして、本当にみんなに幸せをもたらすことになるのかどうかということは、また別の話です。

2019年参院選では「本物の好景気を見せてやる。」というキャッチコピーを掲げ、2021年衆院選でも「れいわニューディール・景気爆上げ大作戦」といったキャッチコピーを掲げていますが、これだけ景気の低迷が続いてきた日本で、いきなり「本物の好景気」や「景気爆上げ」といった現象が生じるなどということは、ちょっと想像がつかないというのが正直なところではないでしょうか。

れいわ新選組の山本太郎さんは、「まずは100兆、大胆に」とか、「さらに、もう100兆」といったふうに、100兆円規模の財政出動を度々提案されていますが、規模が大きすぎて、なかなか普通の一般庶民はそこまで大胆になれそうもありません。

逆に、立憲民主党の小川淳也さんは、「朝まで生テレビ」で「脱成長論」的な発言をされていて、これはこれで極端なものの見方だというふうに感じてしまいます。

この30年間で経済成長が実質的にほとんどゼロだった日本の状況は、世界全体で見れば異常な部類で、ざっくり言えば、毎年2%~3%程度の経済成長をして、30年間でGDPが2倍になる国の方が多いのが実態です。

実際にどのくらいの成長率なら日本がこれから経済成長をしていくことが可能なのか、これは党派を超えて、虚心坦懐に検討を行う必要があるのではないでしょうか。

例えば、「毎年1%~2%程度の経済成長をして、50年かけてGDPを2倍にすることなら可能」ということであれば、それはそれで良いのではないかと私は思いますので、(高度成長期のような「10年で所得倍増」は無理だとして)何年かければ「所得倍増」が可能になるのか、人口減の問題や環境問題などを考慮に入れつつ、現実的な数字を一度考えてみる必要があると思います。

「何年かけて所得倍増を目指すのか」ということに関して、私の能力では問題提起を超えた具体的な検討まで行うことはできませんが、この答え次第で「長期的に見てどのくらいの規模の国債発行が可能か」という議論にも関連してくるものと思われますので、ここは慎重に検討を行う必要があると思います。

3.「消費税廃止」は魔法のような政策なのか

維新と言えば「大阪都構想」、れいわと言えば「消費税廃止」。

大阪維新の会の人たちは「大阪都構想が実現すれば大阪の未来はバラ色」と主張し、れいわ新選組の人たちは「消費税廃止が実現すれば日本の未来はバラ色」と主張して、SAMEJIMA TIMES主筆の鮫島浩さんが言うところの「<右の維新>と<左のれいわ>」それぞれが支持者にバラ色の未来を訴えてきました。

「もし消費税が導入されてなければ日本経済がこんなに落ち込むことはなかったのに」とか、「もし消費税が増税されてなければ私たちの生活はこんなに苦しくなることはなかったのに」といった「反実仮想」としてであれば、れいわ新選組の人たちが訴えている内容は全く正しいと思います。

しかし、現実に30年以上「消費税」という税制が続いて世の中の仕組みに組み込まれ、「税率10%」にまで上げられてしまっている現時点の状況から、いきなり「消費税廃止」に政策を転換したとしても、そのことで「消費税が導入される以前の豊かな暮らしが戻ってくる」と言い切れるわけではないのではないか、と私は懸念しています。

2021年衆院選の際に立憲民主党が掲げた「所得税ゼロ」という政策は、もともと「所得税ゼロ」の「所得税非課税」の世帯にとっては全くメリットが無い政策でしたが、それと比較すると、れいわ新選組が掲げる「消費税廃止」という政策は、所得の額が低い庶民にもある程度のメリットがある政策であることは間違いありません。

しかし、詳細に検討してみると、「消費税廃止」も、「夢のようなメリットがある」とまで言えるのかどうか疑わしいと思われる点があります。

単純に全ての消費行為に税率10%の消費税がかかると想定したとした場合でも、月10万円しか消費しない世帯には、月1万円のメリットしかありません。

これが月30万円消費する世帯だとメリットは月3万円、月50万円消費する世帯だとメリットは5万円、そして月100万円消費する世帯だとメリットは10万円ということで、「消費税廃止」は意図せずして「金持ちに優しい経済政策」になっています。

実際には、特定の品目が軽減税率の対象となっていることから、「消費税廃止のメリット」はもう少し小さくなります。

また、アパートなどの家賃は消費税導入時からずっと非課税なので、「消費税廃止」になったとしても、月々の家賃の支払金額が減少するわけではありません。

賃貸ではなく持ち家の人も、過去に税率5%や8%や10%の時に購入した自宅の住宅ローンの支払金額が、「消費税廃止」になったからといって減少するわけではありません。

個人の消費者ではなく、企業で考えた場合でも、過去に税率5%や8%や10%の時に組んだリース物件のリース債務の支払金額が、「消費税廃止」になったからといって減少するわけではありません。

れいわ新選組の人たちが言っている「毎日が10%OFF」は、「消費税廃止」ができたとしても実現しないのです。

また、「消費税廃止」は、「思ったよりもメリットが小さい」だけではなく、「廃止することによるデメリットが存在する」ことにも注意を払う必要があります。

すぐに思い浮かぶデメリットとしては「財政赤字を増やす」ということがあると思いますが、それ以外にも、私が知るだけで3つのデメリットが存在します。

まず一つめのデメリットは、輸出企業の還付金のメリットが無くなってしまうことです。

製品を海外に輸出している企業は、「輸出免税」といって、海外に輸出する製品にかかった消費税の金額について、税務署から還付を受けることができます。

これについては、トヨタなど大手13社だけで年間1兆円以上の還付が行われているという説もあり、こうしたことをご存じの方は、「あぁ、あれは大企業が美味しい思いをしているだけだから、消費税を廃止して、還付を止めてしまえばいいじゃないか」と思っておられるかもしれません。

しかし、この制度は「大企業だけの特権」というわけではありません。

中小の輸出企業も同様に受けられるメリットであり、これが無くなると、そうした企業にとっては、その分だけ資金繰りが苦しくなる結果になります。

次に二つめのデメリットは、売上高1,000万円未満の「非課税事業者」は全て税込経理ですが、消費税率が10%からいきなりゼロになったと仮定すると、例えば税込売上高990万円の事業者の場合、課税売上高が一気に900万円にまで減ってしまい、割合で言えば約9%、金額で言えば90万円も売上が減少してしまうということです。

中小事業者、フリーランス、一人親方などの「消費税非課税」の事業者は、いわゆる「益税」の部分でホッと一息つけているような側面があり、これが一気に無くなってしまうことは、大変に厳しいことだろうと思います。

例えば、橋下徹さんなどは「益税など無くしてしまえ」と言い切ってしまっておられるようですが、ふだん「維新と真逆の政策」と言っている「れいわ新選組」の政策が、この点を見落としたような感じになってしまっているのは、ちょっと不思議な感じがします。

そして三つめのデメリットは、強制的な価格引き下げ効果によって収益があげづらくなり、価格転嫁できない企業にとっては、利益を削られてしまう恐れがあるということです。

例えば、消費税10%時代に本体価額1,000万円・消費税額100万円で購入した機械設備が耐用年数10年で、税込経理で1,100万円の取得価額だとして、減価償却を考えると、企業は毎年110万円の費用をどこかで回収しなければならないことになります。

この時、10%の消費税が一気にゼロになってしまうと、完成した製品の税込販売価格が下がってしまい、企業の利益が削られてしまう恐れがあります。

もっとも、価格転嫁できるなら、この点は問題にならないのですが、ざっくり考えて大企業ほど価格転嫁できる可能性が高く、中小企業になるほど価格転嫁できない可能性が高いものと想像されますので、この点でも中小企業に厳しい政策になっています。

以上、れいわ新選組の「一丁目一番地」の政策と言える「消費税廃止」について、大胆な斬り方をしてきましたが、これは、あくまでも政策論争の始まりに過ぎません。

できれば、れいわ新選組の議員の方か、秘書の方か、あるいは支持者の方に「SAMEJIMA TIMES政治倶楽部」への無料会員登録をしていただいて、コメント欄にコメントをしていただき、「それについては、こういうようなキメ細かい対応を準備している」といった反論で、私が述べた懸念が払拭されるなら、今後の展開として、非常に面白いのではないかと考えています。

あるいは、私が述べた懸念事項が当たっている部分があるとすれば、是非その点を見直したうえで、政策をより良いものに練り上げる検討の材料にしてもらえるなら、私としては、望外の喜びです。

4.「財源問題」をどうやって解決するのか

れいわ新選組が掲げる政策は、どれも「20年のデフレで困窮する人々、ロスジェネを含む人々の生活を根底から底上げ」するという意気込みにあふれており、「あなたを幸せにしたいんだ」という山本太郎さんの熱い思いが伝わってきます。

しかし、「消費税は廃止」にしても「奨学金徳政令」にしても「一次産業戸別所得補償」にしても、どれも多額の財源を必要とする政策ばかりです。

れいわ新選組のみなさんは、政策を実現するにあたっての「財源問題」を、一体どのように考えておられるのでしょうか。

山本太郎さんの街宣での説明を聞く限りでは、「財源は、税の場合と、国債の場合と、2つのやり方がある」ということのようです。

「税の場合」だと、所得税の累進性の強化と法人税への累進課税の導入を、「国債の場合」だと、新規国債の発行を念頭に置いているようです。

このあたりの財源の問題に関しては、多くの有権者が非常にシビアな目で見ています。

なぜなら、2009年の民主党政権時代の苦い失敗の記憶があるからです。

2009年に政権交代を果たした民主党のマニフェストに掲げられた政策は、「事業仕分け」や「特別会計の見直し」などで財源が捻出できるはずでしたが、結局「霞が関埋蔵金」は見つからず、約束していた子ども手当は26,000円から13,000円に減額され、やはり財政運営を進めていくのに財源が不足するという話になって「消費税10%への増税」を言い出し、そのことが結局、現在の消費税率10%へとつながっていったわけです。

政権与党の自民党と公明党以外の野党がどんなに耳触りのいい政策を訴えても、多くの場合、「財源は?」という反論が飛んできます。(というか、「財源は?」と質問してくれるならまだ良い方で、世の中には「野党の言うことは信用できない」と言って最初から全く聞く耳を持とうとしない人も少なくありません。)

れいわ新選組の山本太郎代表はこれまで「インフレ率が2%になるまでは、心配せずに大胆に新規国債を発行できる」という旨の説明を繰り返してこられました。

しかし、「MMT」の議論に「霞が関埋蔵金」的な怪しさを感じてしまう人が多かったのか、最近、カンニング竹山さんの番組に出演された時には、れいわ新選組の山本太郎代表は「れいわ新選組の経済政策はMMTではない」という趣旨の発言をされています。

だとすれば、国債発行に関して、どのような考え方で、どのような基準で進めていこうと考えているのか、それを有権者に分かりやすく説明していく必要があるのではないでしょうか。

仮に「インフレ率が2%になるまでは、心配せずに大胆に新規国債を発行できる」という主張が正しかったとしても、最近では、食料価格や、電気代、ガス代、ガソリン代などが高騰し、このまま推移すればインフレ率が2%にまで達するかもしれないという観測も出てきています。

こうした状況の下で、実際問題、どこまでの新規国債発行が可能になるのでしょうか。

また、万が一、マネーサプライのコントロールに失敗してインフレが起きてしまった場合に、インフレを収束するため方法は、何か準備されているのでしょうか。

れいわ新選組の山本太郎さんの説明では、「景気が過熱してインフレになった場合には、課税して、市場からお金を引っこ抜いていく」というような話をされています。

そうしたことを考えるなら、「消費税10%」はむしろ今のままにしておいて、万が一インフレが起きた場合にお金を市場から引っこ抜くための安全装置として残しておいた方が良いのではないでしょうか。

スローガンとして耳触りが良いかどうかを別にすれば、「金を刷れ、皆に配れ」というれいわ新選組の主張は、政策論としてはおそらく一番正しいのではないかと思います。

コロナ禍で困窮している人たちは、消費税率云々というよりも、「そもそも必要な物を買うためのお金自体が手元に全く無い」という状況で困り果ててしまっています。

とにかく、まずはお金を配るべきです。

山本太郎さんが衆議院議員として国会に戻って来て初めて行った約15分間の国会質問でも、「10万円の特別定額給付金の再支給」について、再三にわたって政府に要請されていました。

コロナ禍が続く状況下において、国民に対する現金給付をこれからどのくらいの規模で実施していくべきなのでしょうか。

1人あたりの支給額は3万円か、6万円か、10万円か、20万円か、支給回数は1回きりなのか、2~3年程度継続的に行うのか、あるいは恒久的な制度として現金給付をずっと続けていくのか、考え方としては、いろいろ有り得ると思います。(ちなみに、もし月額6万円の現金給付を恒久的に行うなら、日本維新の会が政策として主張している「ベーシック・インカム」と同じ内容の政策提案になります。)

政策上の必要性と、現金給付のための財源の手当ての問題について、いろいろ考慮しながら期間と金額を検討していくことが大切でしょう。

現金給付の問題にしても、れいわ新選組が掲げている様々な政策にしても、実現するための財源の話は、避けて通ることができません。

この点に関して、今後の議論が深まっていくことを期待しつつ、本稿の結びとしたいと思います。

憲法9条変えさせないよ

プロ野球好きのただのオジサンが、冗談で「巨人ファーストの会」の話を「SAMEJIMA TIMES」にコメント投稿したことがきっかけで、ひょんなことから「筆者同盟」に加わることに。「憲法9条を次世代に」という一民間人の視点で、立憲野党とそれを支持するなかまたちに、叱咤激励と斬新な提案を届けます。

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