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立憲野党私設応援団(59)政権交代した後のことを考える(その2)〜憲法9条変えさせないよ

※この連載はSAMEJIMA TIMESの筆者同盟に参加するハンドルネーム「憲法9条変えさせないよ」さんが執筆しています。


<目次>

0.野党が政権交代した後のことを考えてみた過去の議論の紹介

1.政権交代の機運がようやく高まってきた

2.政権交代を主導するのは、泉健太か、泉房穂か?

3.山本太郎は政権交代に協力的ではなさそうだが…

4.政権運営に向けたハードルの確認

5.政権を獲ったら経団連と仲良くしよう

6.庶民の暮らしを守る政策を実現しよう

7.懸念は日経平均株価

8.トピックス①:水原一平氏スポーツ賭博疑惑とドジャース大谷翔平選手

9.トピックス②:年度末雇い止め問題

10.トピックス③:参議院本会議小沼巧議員令和6年度総予算反対討論


0.野党が政権交代した後のことを考えてみた過去の議論の紹介

私が連載を担当している「立憲野党私設応援団」の年明け最初の記事において、「政権交代した後のことを考える」というタイトルの論考を掲載しました。

今回はその続きの議論です。

前回の議論を参照したい方のために、記事のリンク先を載せて、議論を始めたいと思います。

「政権交代した後のことを考える(その1)」

1.政権交代の機運がようやく高まってきた

季節は春を迎え、政権交代に向けた機運が、ようやく高まってきました。

ここにきて、自民党に幻滅し、野党に期待する声が、着実に高まってきています。

2.政権交代を主導するのは、泉健太か、泉房穂か?

次期衆院選での政権交代の実現に向けて、元首相の野田佳彦さんは、「立憲は関東、維新は関西」という「すみ分け」を提唱しています。

これに対して、立憲民主党衆議院議員の米山隆一さんは、「候補者一本化のインセンティブはほぼない」として、否定的な見解を示しています。

立憲民主党代表の泉健太さんは、次期衆院選に向けて、国民民主党との政策協議に前向きな姿勢を示しています。

産経新聞 「頬かむり」一転 立憲民主・泉健太代表 国民民主との政策協議に前向き姿勢

泉健太代表をはじめとする立憲民主党の関係者が政権交代を主導しようとする動きを見せているのに対して、前明石市長の泉房穂さんは、「国民の味方チーム」による政権交代と政策転換の実現を目指して、着々と世論喚起に邁進しています。

「国民の味方チーム」を289の小選挙区で擁立すれば、一瞬で勝てる【注目の人】前明石長・泉房穂【直撃インタビュー】

3.山本太郎は政権交代に協力的ではなさそうだが…

れいわ新選組代表の山本太郎さんは、2024年2月23日に千葉県千葉市で行われた「おしゃべり会」で、参加者の質問に次のように答えています。

【LIVE】山本太郎とおしゃべり会2024年2月23日(千葉県・千葉市)「政権交代を早くしてほしいです」質問・頭出し済

質問者 「政権交代を早くしてほしいです。」

    「みんな野垂れ死にそうなんで。」

山本太郎「あのー、政権交代したら良くなるんですか?」

    「『何でもいいから政権交代』っていうのは、私の中では『なし』なんですよ。」

2021年衆院選の際に政権交代を目指して献身的に動いた山本太郎さんは、次期衆院選での政権交代の実現に対して非常に冷淡な態度を取っています。

次期衆院選に関して、予想される結果は、次の3つに大別できます。

次期衆院選シナリオ

シナリオA:政権交代が実現できず、自公政権が続き、庶民の苦しい暮らしが続く

シナリオB:政権交代は実現するが、政策転換が実現できず、庶民の苦しい暮らしが続く

シナリオC:政権交代と政策転換が実現し、庶民の暮らしに明るい光が射してくる

私個人の主観的な見通しとしては、シナリオAが70%、シナリオBが25%、シナリオCが5%の確率で起きるのではないかと考えていますが、おそらく山本太郎さんの見立ては、「シナリオCが起きる可能性は限りなくゼロに近い」というものなのだろうと思います。

それゆえ山本太郎さんは、次期衆院選で「野党共闘」に協力することを、にべもなく拒否しているのでしょう。

私個人の思いとしては、泉房穂さんが旗を振る形で「木村英子総理大臣・山本太郎官房長官」の新政権ができるといいなと考えていたのですが、そうしたことが実現しそうな雰囲気は全くありません。

せめて山本太郎さんが「内閣府特命担当大臣(防災担当)」(防災担当大臣)あたりのポストに就く形で政権交代ができるといいなと思うのですが、仮に政権交代が実現したとしても、れいわ新選組は新しい政権に参加しない可能性が高いのではないかと感じています。

4.政権運営に向けたハードルの確認

ここで、政権運営に向けた議席数のハードルを確認しておきましょう。

衆議院の定数465議席に対して、「過半数」は233議席、すべての常任委員会で委員の半数を確保したうえで各委員会の委員長を独占するのに必要な「安定多数」は244議席、すべての常任委員会で委員の過半数を確保したうえで各委員会の委員長を独占するのに必要な「絶対安定多数」は261議席、法案が参議院で否決された場合に衆議院での法案再可決を行うことができる「圧倒的多数」(3分の2)が310議席になります。

衆議院獲得議席と政策実現の関係

衆議院定数465議席
圧倒的多数310議席
絶対安定多数261議席
安定多数244議席
過半数233議席

政権交代を実現するには、最低でも自民党を過半数割れに追い込む必要があります。

そのうえで、衆院選の結果、どの党とどの党が組めば「過半数」や「安定多数」といった必要な議席数を確保できるのか、状況によって、自民党側と野党側の多数派工作が活発化する可能性も考えられます。

こうした状況を想定するなら、衆院選の選挙戦の際に、マスコミは有権者に対して世論調査で次のような質問をするべきなのではないかと思います。

衆院選世論調査質問(案)

衆院選の結果、自民党と公明党の与党が過半数割れした場合、選挙後の政権の枠組みについて、あなたはどのような枠組みが望ましいと考えますか?

選択肢(案)

①自民党と公明党による少数与党

②自民党と公明党と立憲民主党を中心とした連立政権

③自民党と公明党と日本維新の会を中心とした連立政権

④自民党と公明党と国民民主党を中心とした連立政権

⑤今の野党が集まった非自民・非公明連立政権(共産党の政権参加あり)

⑥今の野党が集まった非自民・非共産連立政権(共産党の政権参加なし)

また、各野党の党首に対しては、全員一律に次のような質問をするべきだと思います。

衆院選野党党首アンケート項目(案)

「自民党と公明党が過半数割れして、与党から政権入りの打診があった場合に、党として政権協議に応じる用意はありますか?」

次期衆院選は、各党の獲得議席の組み合わせによって、どのような政権の形になるのか、非常にスリリングな状況が生まれる可能性があります。

政権交代が起きることに期待したいですが、「自公政権の枠組みを拡大した連立の組み替え」に終わる可能性も大いに考えられます。

政権運営のことを考えれば、野党が参議院で過半数を確保できていない現状で政権交代を狙うのであれば、衆議院での再議決が可能な「310議席」(圧倒的多数)を本来は目指すべきです。

しかし、実際には、政権交代が起きるとしても「233議席」(過半数)ギリギリの勝負になる可能性が高いでしょうから、そうなると、衆院選自体も大切ですが、衆院選後の政局の動きも重要になってきます。

例えば、「自民党単独では過半数割れしたが、自民党と公明党の与党全体では過半数を確保できた」という場合に、野党側は「公明党の山口那津男代表を首班に担いで『非自民連立政権』を作る」といったところまで踏み込む気があるのかどうか、もし泉房穂さんに質問できる機会があったら、ぜひ聞いてみたい内容です。

そうした意味でも、次期衆院選においてマスコミやジャーナリストが果たす役割は非常に重要になると思います。

5.政権を獲ったら経団連と仲良くしよう

仮に野党が万難を排して「政権交代」に漕ぎ着けたとして、その後の政権運営をどのように進めればよいのか?

私はズバリ、野党が政権を獲ったら、まずは経団連と仲良くするべきだと思っています。

経団連と仲良くして何をするのか?

それは、選択的夫婦別姓の導入です。

選択的夫婦別姓の導入の早期実現に関しては、日本経団連の十倉雅和会長と日本共産党の小池晃書記局長の二人の意見が一致しており、小池晃さん自身が「皆既日食みたいなもんですよ。こんなこと滅多にないですよ。」と言って笑いを誘っています。

そして次に狙うべきは、社会保険料の減免です。

社会保険料は労使折半になっていますので、社会保険料の減免は、従業員側にとっても負担軽減になりますし、企業側にとっても負担軽減になります。

「社会保険料を1/4まで激減させる」ところまでやるべきかどうかは別として、可能な範囲で社会保険料を減免すれば、庶民の暮らしはそのぶん楽になり、企業も同様に利益を増やすことができます。

「減税」だと財務省とガチンコで対決しなければならない案件になりますが、「社会保険料の減免」だと労使の利害が一致する形で官僚側に提案できる案件になります。

私は、ここを狙っていくべきだと思います。

6.庶民の暮らしを守る政策を実現しよう

「選択的夫婦別姓の導入」と「社会保険料の減免」だけでは不十分ですので、さらにやらなければならないことは、「特別定額給付金の再実施」です。

令和4年度の国の決算は29兆円以上お金が余っていて、その金を有効に使えば国民全員に10万円の特別定額給付金を2回配ることができることを舩後靖彦さんは指摘しています。

2020年に安倍政権下において一度だけ実施された「特別定額給付金」の施策を再実施することは、反発や反論の少ない施策だと思われます。

財務省も、前例のある施策には、正面切って反対することはなかなか難しいでしょう。

そしてもう一つやらなければならないことは、「紙の健康保険証の廃止の当面延期」です。

「紙の健康保険証の廃止の当面延期」は、従来通りの紙の健康保険証を続けるだけの話ですから、何らかの失敗をして混乱が起きる可能性はなく、高齢者や医療機関にも喜ばれる施策となります。

政権交代が実現したら、庶民の暮らしを守るために、何としても「特別定額給付金の再実施」と「紙の健康保険証の廃止の当面延期」を行うべきです。

7.懸念は日経平均株価

2024年2月22日の日経平均株価終値は3万9,098円68銭で、1989年12月29日の終値3万8,915円87銭のバブル時最高値を34年ぶりに更新し、その後2024年3月4日には終値で4万0,109円23銭と4万円の大台を超えました。

この株高について、経済評論家の植草一秀さんは、ブログにおいて、株価が上昇しているのは政府が間違った経済政策を実行しているからだと指摘しています。

不況なのに株価が上昇するのは、経済活動の果実の分配において、労働分配が圧縮され、企業収益が拡大しているからなのだ。

労働者=庶民=一般市民の犠牲の上に企業利益拡大が生じ、その結果としての株価上昇である。

政府が正しい政策を実行すれば株価は下落する。

政府が間違った経済政策を実行しているから株価が上昇している。

株価上昇の解説においては、この点を間違えてはならない。

野党に政権交代した場合の懸念材料として私が挙げたいのは、日経平均株価の問題です。

もし植草一秀さんの唱える「政府が正しい政策を実行すれば株価は下落する。」という説が正しいとするなら、一体どうすればよいのでしょうか。

庶民の暮らしは守らなければなりませんが、かといって株価が下落してしまうと、マスコミや経済界から袋叩きに遭うでしょう。

この点に関しては、私のような素人が片手間に議論するのではなく、経済の専門家が本腰を入れて検討すべき内容だと思います。

8.トピックス①:水原一平氏スポーツ賭博疑惑とドジャース大谷翔平選手

ドジャース大谷翔平選手の通訳を務めてきた水原一平さんが、違法なスポーツ賭博に手を染めていたことが明らかになり、ドジャースから解雇されました。

日本はすっかりこの話題で持ちきりです。

いずれにしてもこの問題は、FBIの捜査がどのように進展していくのか、今後も注視しながら見守っていく必要があります。

9.トピックス②:年度末雇い止め問題

3月の年度末はすっかり「非正規雇用の雇い止めの季節」になってしまっていますが、教育現場においても、非常勤講師やスクールカウンセラーなどの大量の雇い止めが起きているようです。

「毎年3月30日付けでの退職(契約満了)を繰り返す」といった雇用者側の巧妙な手口を見るにつけ、この問題はもっと根本的なところから解決していく必要があるとの思いを強くしました。

10.トピックス③:参議院本会議小沼巧議員令和6年度総予算反対討論

2024年3月28日の参議院本会議において、立憲民主党の小沼巧議員が令和6年度総予算の反対討論に立ちました。

小沼巧議員の渾身の演説に、共感が広がっているようです。

憲法9条変えさせないよ

プロ野球好きのただのオジサンが、冗談で「巨人ファーストの会」の話を「SAMEJIMA TIMES」にコメント投稿したことがきっかけで、ひょんなことから「筆者同盟」に加わることに。「憲法9条を次世代に」という一民間人の視点で、立憲野党とそれを支持するなかまたちに、叱咤激励と斬新な提案を届けます。

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