政治を斬る!

立憲野党私設応援団(6)立憲民主党への期待と不安~憲法9条変えさせないよ

<目次>

1.立憲民主党のあゆみ

2.「立憲殿の1+3人」(立憲民主党の4人)はドラマを作り出せるのか

3.参院選で負けると「悪夢の保守二大政党制」がやって来る?

4.参院選の1人区は「立憲民主党への勤労奉仕」ではない

5.泉健太代表へのエール~複数区は欲張らずに~

6.小川淳也政調会長へのエール~大胆に他党の政策を採り入れて~

7.「野党共闘・再スタート」は練馬から

1.立憲民主党のあゆみ

まずは2017年から現在までの立憲民主党の代表の顔ぶれを振り返ってみましょう。

旧「立憲民主党」

2017年~2020年:枝野幸男

新「立憲民主党」

2020年~2021年:枝野幸男

2021年~ 現在 :泉健太

立憲民主党は、2017年に希望の党ができた際に小池百合子さんから排除された民進党リベラル派の受け皿政党として枝野幸男さんが立ち上げた政党です。

SNS上の「枝野立て」という声の盛り上がりは凄く、結党後間もない衆院選で55議席を獲得し、いきなり野党第一党に躍り出ました。

その後、国民民主党と社会民主党の一部の議員が立憲民主党に合流する形で2020年に現在の新「立憲民主党」が作られ、枝野幸男さんが初代代表に選ばれることになります。

2021年には、市民連合を介して野党4党(立憲民主党・日本共産党・社会民主党・れいわ新選組)の共通政策を締結し、いわゆる「野党共闘」で政権交代を目指して衆院選に臨みました。

議席増が期待されたものの、結果は、改選前の109議席から96議席へと議席を減らす惨敗。

衆院選で敗れた責任を取って初代代表の枝野幸男さんが辞任し、代表選の結果、泉健太さんが第2代代表に選ばれることになりました。

2.「立憲殿の1+3人」(立憲民主党の4人)はドラマを作り出せるのか

2021年に発足した泉執行部は、代表選に名乗りを上げた候補者全員が執行部入りする「挙党態勢」の人事となり、代表が泉健太さん、代表代行が逢坂誠二さん、代表代行が西村智奈美さん、政調会長が小川淳也さんという布陣で、「さあ、力を合わせて。」を合言葉に、2022年の参院選に向けて動き出しました。

2022年のNHK大河ドラマは「鎌倉殿の13人」ですが、これは鎌倉幕府の初代将軍の源頼朝が亡くなった後の「十三人の合議制」をテーマにしたドラマです。

立憲民主党は、初代代表の枝野幸男さんが辞任した後、それまで枝野幸男さんがほとんど一人で決めていた体制から、「1+3人の合議制」(4人の合議制)とでも言えるような集団指導体制へと形を変えてきているように見受けられます。

大河ドラマのほうは、鎌倉幕府2代執権の北条泰時を主人公として話が進み、承久の乱で朝廷を退け、新しい武士の世を確立するストーリーで物語が展開していきます。

一方、合議制は合議制でも、戦国時代の北条氏の合議制は「小田原評定」として悪名高く、豊臣秀吉の小田原征伐に際して全く有効な結論が出せずに、結局、北条氏滅亡という最悪の結果を招いてしまいました。

立憲民主党の4人による合議制が、鎌倉時代の北条氏の「十三人の合議制」のように新しい世の中を生み出す原動力となるのか、それとも、戦国時代の北条氏の「小田原評定」のように有効な結論が出せずに滅亡を招く原因となるのか、今後の成り行きが注目されます。

3.参院選で負けると「悪夢の保守二大政党制」がやって来る?

悪い方のシナリオを先に見ていきますと、立憲民主党が7月の参院選で敗れた場合には、おそらく、立憲民主党内の「維新派」と「連合派」と「野党共闘派」のうち、「維新派」の議員あるいは次期衆院選候補者が雪崩を打って日本維新の会へと擦り寄っていく展開になるものと思われます。

その予兆は、すでに昨年の衆院選で垣間見ることができます。

最近3回の衆院選の福岡1区の投票結果を見てみましょう。

2014年衆院選福岡1区

小選挙区当選:井上貴博(無所属)※自由民主党追加公認 59,712票

山本剛正(民主党)           42,960票

新開裕司(無所属)           31,087票

比江嶋俊和(日本共産党)        18,906票

金出公子(無所属)            6,764票

明石健太郎(みらい党)          4,883票

2017年衆院選福岡1区

小選挙区当選:井上貴博(自由民主党) 97,777票

山本剛正(立憲民主党) 51,063票

石井英俊(希望の党)  35,870票

立川孝彦(日本共産党) 14,158票

2021年衆院選福岡1区

小選挙区当選:井上貴博(自由民主党)  99,430票

坪田晋(立憲民主党)   53,755票

比例復活当選:山本剛正(日本維新の会) 37,604票

木村拓史(日本共産党)  18,487票

ここで注目していただきたいのは、山本剛正さんです。

2014年の衆院選では民主党から出馬して42,960票の得票で落選し、2017年の衆院選では立憲民主党から出馬して51,063票の得票で落選していますが、2021年の衆院選では日本維新の会から出馬して37,604票の得票ということで、自身の中では最低の得票数だったにもかかわらず、比例復活で当選を果たし、現在、衆議院議員になっています。

もし、立憲民主党が7月の参院選で敗れ、議員や候補者たちが「次の衆院選は維新から出馬した方が当選しやすい」と思うようになれば、次の衆院選を戦う前に議員や候補者たちがどんどん立憲民主党から去っていくことになるでしょう。

そして、次の衆院選では、「自由民主党」と「日本維新の会」による「悪夢の保守二大政党制」が誕生することになるかもしれません。

アメリカの二大政党制は共和党と民主党による保守対リベラルの二大政党制、同じくイギリスの二大政党制は保守党と労働党による保守対リベラルの二大政党制ですが、日本で自民党と維新による二大政党制が完成してしまうと、リベラル派の人たちは全く行き場を失ってしまうことになります。

そうはならないために、今度の参院選で立憲民主党がどこまで踏ん張れるかが極めて重要になってきます。

4.参院選の1人区は「立憲民主党への勤労奉仕」ではない

2021年の衆院選では、多くの小選挙区で「野党共闘」の名の下の「立憲民主党への勤労奉仕」が行われ、日本共産党、社会民主党、れいわ新選組にとっては、ほとんどメリットが無いか、あるいは全くメリットが無いにもかかわらず、予定していた候補者を降ろし、3党の支持者は立憲民主党の候補者を応援してきました。

「心の通った野党共闘」ができた選挙区もあった半面、立憲民主党以外の党の支持者が疎外感を感じてしまうような選挙区もあり、結果として、衆院選は自民党の絶対安定多数を許す惨敗となりました。

そのことを不満に思っている野党支持者の方も少なくないと思いますが、参院選の1人区の場合には、少し様相が変わってきます。

2016年と2019年の参院選の1人区の結果を振り返ってみると、次の通りになります。

2016年参院選1人区(全国32選挙区)

与党系21勝(自由民主党21人)

野党系11勝(民進党7人、無所属4人)

2019年参院選1人区(全国32選挙区)

与党系22勝(自由民主党22人)

野党系10勝(立憲民主党1人、国民民主党1人、無所属8人)

過去2回の参院選での野党系の1人区当選者21人のうち半数以上の12人が無所属ということで、「みんなで立憲民主党の候補者を推す」ことになった衆院選の小選挙区とは違い、参院選の1人区は「みんなで無所属の候補者を推す」形になるケースがわりと多いということが言えます。

そうした意味では、立憲民主党が「自分の党の当選者数」ではなく「野党系全体の当選者数」を念頭に置いたリーダーシップを発揮する場面が参院選では多く見られることになると期待できます。

1人区では、「少なくとも野党系が二桁勝利(10名以上当選)」することを目標に、みんなが「心をひとつに」そして「力を合わせて」頑張っていくことが大切です。

5.泉健太代表へのエール~複数区は欲張らずに~

昨年の総選挙後に立憲民主党代表に就任した泉健太さんですが、47歳と政治家としては年齢的にまだ若いことや、「希望の党→国民民主党→立憲民主党」という経歴からどの程度リベラルな考えを持っているのかという点での不安が指摘され、低い期待値からの船出でした。

その期待値の低さは今も変わらず、立憲民主党の支持率の低迷ぶりがそのことを物語っていますが、私の個人的な見方としては、「泉さん、ようやってる」というふうに評価しています。

今年に入って2月25日の連合の芳野友子会長との会談では、野党候補の競合を避ける候補者調整について「政党が行うもので、どこの党と調整を行ってはいけないというものではない」との確認を取り、共産党との間の候補者調整に道を開くところまで話を進めています。

連合の芳野会長の機嫌を損ねないように気を遣いながら、その中で実利を確保していく交渉術は、なかなかのものだと感心しています。

また、日本維新の会が一民間人の橋下徹氏と元内閣総理大臣の安倍晋三氏の提案を受けて「核共有についての議論」を主張していることについて、立憲民主党代表の泉健太さんは、「とんでもない話。核は威嚇に使うことも、実際に使用されることも許されない兵器。共有してどうするんですか。議論だけはいいなんていうのは詭弁。」と即座に批判し、非核三原則の堅持を訴えています。

このあたりの発言も、なかなかのものではないでしょうか。

ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、立憲民主党では「ウクライナ難民支援募金」の活動を行っています。

こうした動きも評価できると思います。

7月の参院選に向けて、私が立憲民主党の泉健太代表に対して言いたいことは、「複数区では欲張らずに、確実に1人ずつ当選を目指してください!」ということです。

なかなかよく頑張っているとは思いますが、そうはいっても、立憲民主党の支持率は低迷しています。

そうした中で、考えられる最悪のシナリオは、「複数区で2人擁立した候補が共倒れし、1人区で他の野党から十分な協力が得られずに自民党候補に負ける」という惨敗シナリオです。

このシナリオで推移するなら、次期衆院選で、野党第一党の座を日本維新の会に奪われてしまうことになるでしょう。

そうならないためには、「複数区での候補者擁立を1人に絞って確実に当選させたうえで、1人区で他の野党から最大限の協力を得て自民党候補に競り勝つ」という地に足のついた勝利シナリオを実現させなければなりません。

7月の参院選での立憲民主党の勝利を大いに期待しています。

6.小川淳也政調会長へのエール~大胆に他党の政策を採り入れて~

立憲民主党のもう一人のキーパーソンは、政調会長の小川淳也さんです。

3月10日に行われた立憲民主党の政調審議会では、消費税の時限的5%減税や、ガソリンのトリガー条項の発動、あるいは非核三原則の堅持といった「物価高対策」「安全保障」「子ども子育て支援」を三本柱とする重点政策をまとめました。

これに対する私の個人的な感想ですが、昨年の衆院選の際に市民連合との間で締結した野党4党の共通政策の一つである「消費税減税」の実現を図っているという意味で、誠実に物事を進めようとしておられると思います。

ただし、「消費税を時限的に5%に減税する」ということですから、いずれ、本税が10%・軽減税率が8%という今の税率に戻すということなのでしょう。

これに関して、仮に本税の税率を10%に戻すとしても、食料品などの軽減税率対象品目については税率を8%に戻さずに5%を維持するというようなことはできないのでしょうか。

ぜひご検討いただければ幸いです。

7月の参院選に向けて、私が立憲民主党の小川淳也政調会長に対して言いたいことは、「大胆に他党の政策を採り入れてみてはどうですか?」ということです。

日経ビジネス「マニフェスト選挙を疑え:2021年総選挙の計量政治学」

SAMEJIMA TIMESの読者で興味のある方、そして立憲民主党の小川淳也政調会長には、アメリカ・ダートマス大学政治学部教授の堀内勇作さんが書かれた上記の記事に目を通していただければと思います。

内容を掻い摘んで紹介しますと、「自由民主党・日本維新の会・立憲民主党・国民民主党・日本共産党・公明党の6党の政策に関して、党名を明らかにせずに政策の中身だけで有権者に人気投票をしてもらったら、どのような結果になるのか?」ということを調査して報告した記事になります。

その調査の結果の非常に興味深い内容をご紹介します。

■コロナ対策に関する各政党の政策に対する支持態度

最も人気度が高い政策:自由民主党の政策

最も忌避度が高い政策:立憲民主党の政策

■原発・エネルギーに関する各政党の政策に対する支持態度

最も人気度が高い政策:公明党の政策

最も忌避度が高い政策:自由民主党の政策

■外交・安全保障に関する各政党の政策に対する支持態度

最も人気度が高い政策:自由民主党の政策

最も忌避度が高い政策:日本共産党の政策

■多様性・共生社会に関する各政党の政策に対する支持態度

最も人気度が高い政策:日本維新の会の政策

最も忌避度が高い政策:自由民主党の政策

■経済政策に関する各政党の政策に対する支持態度

最も人気度が高い政策:日本共産党の政策

最も忌避度が高い政策:公明党の政策

自民党の政策は、「コロナ対策」と「外交・安全保障」の分野で最も人気度の高い政策として有権者に選ばれており、逆に、「原発・エネルギー政策」と「多様性・共生社会」の分野では最も忌避度が高い政策として有権者に嫌われています。

公明党の政策は、これだけ長く与党を経験しているにもかかわらず、「経済政策」の分野では最も有権者に嫌われているのですが、それでも「原発・エネルギー政策」の分野で最も人気度の高い政策として選ばれているところに、かつて「平和と福祉の党」と言われた公明党の名残が残っているのかもしれません。

日本維新の会の政策は、意外なことに「多様性・共生社会」の分野で最も人気度の高い政策として有権者に選ばれており、昨年の衆院選で躍進をもたらした要因の一つとなっている可能性が考えられます。

共産党の政策が「外交・安全保障」の分野で最も有権者に嫌われているのは多くの人が抱くイメージに合致すると思うのですが、驚くことに「経済政策」の分野で、共産党の政策が最も人気度の高い政策として有権者に選ばれています。これは全く意外としか言いようがありませんが、ある意味で資本主義に関して最も突き詰めて分析・検討を行っている党だからこそ、内容的に有権者から選ばれる政策を立案することができているのかもしれません。

国民民主党は、基本的に「中道路線」のためか、他党に比べて人気度の高い政策もなければ、忌避度の高い政策もないという結果になっています。

そして立憲民主党ですが、有権者に選ばれる人気度の高い政策が一つもないうえに、「コロナ対策」の分野で最も有権者に忌避されており、昨年の衆院選の敗因がこうしたところにもあったのではないかと指摘せざるを得ない状況です。

このような結果をふまえて、立憲民主党の小川淳也政調会長には、「外交・安全保障」と「コロナ対策」の分野では自民党の政策を、「多様性・共生社会」の分野では維新の政策を、「原発・エネルギー政策」の分野では公明党の政策を、そして「経済政策」の分野では共産党の政策を大胆に採り入れて、立憲民主党の政策を、有権者に受け入れられる、より良いものに練り上げていっていただければと願っております。

7.「野党共闘・再スタート」は練馬から

「野党共闘」の歴史は、2016年4月の北海道5区補欠選挙で池田真紀さんを野党統一候補として推したところから始まりました。

池田真紀さんの惜敗で始まった「野党共闘」は、負けたり、勝ったり、負けたり・・・を繰り返し、5年以上の月日が流れましたが、自民党と公明党から政権の座を奪うことができないまま、時が過ぎていきました。

昨年の衆院選は、自公政権に終止符を打つまたとないチャンスでしたが、その機会を逃し、逆に「野党共闘」の側が分裂しそうな雲行きになっています。

この空気を変える機会として、私が期待しているのが、2022年4月17日に投票が行われる練馬区議会議員補欠選挙です。

今度の練馬区議会議員補欠選挙には、れいわ新選組から国政選挙に2度出馬したことがある渡辺照子さんが、今度は立憲民主党の区議会議員候補として出馬します。

もし渡辺照子さんが区議に当選すれば、7月の参院選では、立憲民主党の支持者とれいわ新選組の支持者をつなぐ架け橋として、様々な選挙区で応援弁士に立ち、支持者どうしの融和を図る象徴的な政治家として活躍することが期待されます。

立憲民主党の支持者とれいわ新選組の支持者が「自公政権にNO」という共通の目的で一緒になって参院選を戦えるようにするためにも、まずは4月の練馬区議会議員補欠選挙で、様々な人が渡辺照子さんを応援して、当選にこぎつけることができるように、協力をしていければと考えています。

憲法9条変えさせないよ

プロ野球好きのただのオジサンが、冗談で「巨人ファーストの会」の話を「SAMEJIMA TIMES」にコメント投稿したことがきっかけで、ひょんなことから「筆者同盟」に加わることに。「憲法9条を次世代に」という一民間人の視点で、立憲野党とそれを支持するなかまたちに、叱咤激励と斬新な提案を届けます。

立憲野党私設応援団(5)日本共産党への期待と不安~憲法9条変えさせないよ

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