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立憲野党私設応援団(67)東京都知事選2024大反省会〜憲法9条変えさせないよ

※この連載はSAMEJIMA TIMESの筆者同盟に参加するハンドルネーム「憲法9条変えさせないよ」さんが執筆しています。


<目次>

1.さまざまな人が語る「東京都知事選2024」

2.蓮舫さんは「惜敗」だったのか「惨敗」だったのか

3.蓮舫陣営の失敗とその原因、そしてバッシング

4.なぜ「ひとり街宣」は期待された結果が出せなかったのか

5.「twitter」・「X」の時代から「TikTok」・「YouTubeショート」の時代へ

6.ぼくがかんがえるさいきょうのせんきょうんどう

7.トピックス:れいわ新選組セクハラ問題その後


1.さまざまな人が語る「東京都知事選2024」

7月7日に投開票が行われ現職の小池百合子さんが三選を果たした今回の東京都知事選挙に関して、さまざまな人がnoteやyoutubeで議論を行い総括しています。

ねこひげ 7月7日、負けるべくして負けた蓮舫。

ゼイゼイ リベラル派の私が蓮舫氏と立憲民主の敗北に納得しか出来ない理由【都知事選挙】

デモクラシータイムス <都知事選とこれからの政治>【特別番組】

エアレボリューション 「東京都知事選挙2024スペシャル」

2.蓮舫さんは「惜敗」だったのか「惨敗」だったのか

まず、都知事選で敗れた蓮舫さんは「惜敗」だったのか「惨敗」だったのかということがありますが、蓮舫さんは「惜敗」でした。

当選した小池百合子さんとの得票数の差は1,634,753票ありますが、3位に終わった蓮舫さんは「惜敗」です。

同様に、当選した小池百合子さんとの得票数の差は1,259,652票ありますが、2位に終わった石丸伸二さんも「惜敗」です。

さらに言えば、当選した小池百合子さんとの得票数の差は2,917,804票ありますが、56位に終わった上楽宗之さんも「惜敗」です。

何が言いたいのかといえば、選挙に出馬して当選できなかった候補者は、当選者との得票数の差が何票あったとしても、「惜敗」という言い方をするのが政治の世界のならわしだということです。

候補者個人に関して言えば落選した候補者は全員「惜敗」なのですが、では、それぞれの陣営の選挙戦略や選挙戦術が上手く機能したのかどうかという点に関して言えば「善戦」なのか「惨敗」なのかを数値を基に冷静に分析する必要があります。

今回は、小池百合子さんと石丸伸二さんと蓮舫さんの3人に関して、基準となる票数と実際の得票数との差異を計算して、選挙戦略および選挙戦術の巧拙を論じてみたいと思います。

東京都知事選挙2024主要3候補得票比較

候補者基準となる票数得票数得票確保率基準からの増減
小池百合子2,893,086票2,918,015票101%+1%
石丸伸二1,233,978票1,658,363票134%+34%
蓮舫1,786,992票1,283,262票72%-28%

小池百合子さんの「基準となる票数」は2022年参院選東京選挙区の朝日健太郎さん(自民党)922,793票、竹谷とし子さん(公明党)742,968票、生稲晃子さん(自民党)619,792票、乙武洋匡さん(無所属)322,904票、荒木千陽さん(ファーストの会)284,629票の合計2,893,086票で計算していますが、実際の得票は2,918,015票ということで、ほぼ「基礎票」の数値に見合った得票だと言えると思います。

石丸伸二さんの「基準となる票数」は2022年参院選東京選挙区の山本太郎さん(れいわ)565,925票、海老澤由紀さん(維新)530,361票、河西泉緒さん(参政党)137,692票の合計1,233,978票で計算していますが、石丸さんの場合、これは「これだけ取れる」という「基礎票」というよりも「このくらい取れるといいな」という「見込み票」とでも言うべきもので、選挙前の時点では「あてにできる数字」は限りなくゼロに近いものであったと思われます。

ところが、実際の得票は1,658,363票ということで、「見込み票」を大きく上回って34%も得票を伸ばしており、石丸陣営の選挙戦略と選挙戦術は「大成功」であり「大善戦」であったと言うことができると思います。

蓮舫さんの「基準となる票数」は2022年参院選東京選挙区の山添拓さん(共産党)685,224票、蓮舫さん(立憲民主党)670,339票、松尾明弘さん(立憲民主党)372,064票、服部良一さん(社民党)59,365票の合計1,786,992票で計算していますが、実際の得票は1,283,262票ということで、「基礎票」の7割しか確保できず、28%も得票を減らしており、蓮舫陣営の選挙戦略と選挙戦術は「失敗」であり「惨敗」であったと言うことができると思います。

3.蓮舫陣営の失敗とその原因、そしてバッシング

都知事選に敗れたとはいえ、蓮舫さん個人に対しては、支持者から御礼や称賛の声が多く上がっていました。

しかし、蓮舫さんを支援した「応援団」や「選対」に対しては、失望の声が多く上がっています。

「市民連合」から発せられたこのコメントは、石丸伸二さんに対しても、石丸伸二さんに投票した有権者に対しても失礼ですし、さらに、蓮舫さんに対しても、蓮舫さんに投票した有権者に対しても失礼です。

そのようなことが分からない「市民連合」が蓮舫応援団の中核を担っていた点も、大きな敗因の一つだと言えるのではないでしょうか。

また、立憲民主党東京都連の幹部も、誰一人責任を取るつもりはないようです。

蓮舫さんの敗戦の責任を取ったのは、頭を丸めた著述家の菅野完さんだけでした。

「蓮舫選対」や「立憲民主党」に対する不信感は、選挙期間中も、選挙後も、広がり続けているようです。

また、ネット上やマスコミの報道で、「蓮舫支持者」や「蓮舫さん本人」を激しくバッシングする動きが続いています。

バッシングを受けても、蓮舫さん本人は、当面は国政選挙には出馬するつもりはないことを表明したうえで、新たな境地を見いだして、発言を続けています。

しかし、立憲民主党や共産党や市民連合は、これからしっかりと都知事選の結果に向き合い、今後の方向性を考えていく必要があります。

4.なぜ「ひとり街宣」は期待された結果が出せなかったのか

今回の東京都知事選挙では、「ひとり街宣」が大いに盛り上がりました。

この「ひとり街宣」は、「大阪都構想住民投票」や「杉並区長選挙」では「都構想否決」や「岸本区長誕生」といった結果につながったのですが、今回の「東京都知事選挙」では「蓮舫都知事誕生」という結果を生み出すことはできませんでした。

結果を出すことができた「大阪都構想住民投票」や「杉並区長選挙」と、結果を出すことができなかった「東京都知事選挙」では、いったい何が違ったのでしょうか。

「大阪都構想反対」の住民運動や「住民思いの杉並区長をつくる会」の住民運動は、投票が行われるはるか前から立ち上がっており、準備不足だった今回の「東京都知事選挙」の状況とは全く異なっていました。

また、「大阪都構想住民投票」や「杉並区長選挙」は争点が明確で、(都構想が意味するところの)「大阪市の廃止」に対する住民の「反対」や、(当時の杉並区長が打ち出していた)「児童館の全廃方針」に対する住民の「反対」といった、人々の暮らしに大きな影響を与えるテーマが争点だったことが、選挙での得票数の増加にストレートに結びつきました。

「東京都知事選挙」で蓮舫陣営は人々が「暮らしに大きな影響を与える」と感じるような争点を明確に設定することができませんでした。

それでも、「東京都知事選挙」の際に行われた「ひとり街宣」は、人々の投票行動に大きな影響を与えたのではないかと思います。

実際、投票率は前回から5.6ポイント上昇し、60.62%にまで上がりました。

しかし、「ひとり街宣」で掲げられた「都政を変えよう」や「私たちが動く、政治が変わる」といったスローガンを書いたプラカードは、「蓮舫さんの得票を伸ばす」という効果と同じくらい、あるいはそれ以上に「石丸伸二さんの得票を伸ばす」という効果をもたらした可能性があるのではないか、と個人的には考えています。

なぜなら、公職選挙法の規定上、「ひとり街宣」では「蓮舫」という名前が書かれたプラカードを掲げることはできませんし、「蓮舫、蓮舫、蓮舫をよろしくお願いします」などと大声で連呼することもできませんので、ただ「都政を変えよう」というプラカードを掲げる人を駅で見かけただけでは、その人が蓮舫さんを応援しているのか石丸伸二さんを応援しているのかはパッと見ではよく分からないからです。

今回、蓮舫陣営が使用したプラカードのイメージカラーは「ピンク」でしたが、それは石丸陣営のイメージカラーの「紫」(パープル)と、遠目ではあまり見分けがつかなかったのではないでしょうか。

今後の衆院選や参院選を考えた場合に、「裏金議員を落選させよう」のスローガンは自民党の得票を減らすには有効だと思いますが、「自民批判票」が立憲民主党へ向かうのか、維新へ向かうのか、共産党へ向かうのかは、全く予測することができません。

例えば「消費税廃止」と書いたプラカードであれば、そのメッセージに共感を抱いた人の票がれいわ新選組に向かいそうなことは容易に想像がつきますが、今後の「ひとり街宣」では、そうしたことも考慮に入れたプラカードのデザインを検討していく必要があるのではないでしょうか。

5.「twitter」・「X」の時代から「TikTok」・「YouTubeショート」の時代へ

今回の東京都知事選挙では、「TikTok」や「YouTubeショート」の影響力の大きさが可視化されました。

石丸陣営は、そのことを意識して、かなり周到な準備を行っていたようです。

今回の都知事選の結果を受けて、新たに「TikTok」に取り組む蓮舫支持者の方も出てきているようです。

ネット上の状況も、刻一刻と変化してきています。

6.ぼくがかんがえるさいきょうのせんきょうんどう

今後、リベラル陣営の候補者が選挙戦で勝利するためには、自民党や公明党、あるいは小池百合子さんや石丸伸二さんの選挙運動の手法をどんどん真似していく必要があるのではないか、と個人的に考えています。

誤解のないように言っておくと、政策の内容に関しては、自民党や公明党、あるいは小池百合子さんや石丸伸二さんに寄せていく必要はありませんし、また、そうすべきではありません。

政策は、人権派・リベラル派的な内容を掲げないのであれば、現状からわざわざ変える意味がありません。

あくまでも選挙運動の手法について学ぶという観点からすれば、少なくとも平日の選挙演説は、規模が小さい短時間の演説を多くの会場で実施するようにするべきです。

今回の東京都知事選挙での石丸伸二さんの躍進は、やはり200回を超える演説によるところが少なくないのではないかと思います。

図式的に言えば、「柵を設けて有権者を排除する小池百合子」と「演説会場に行けば会いに行ける蓮舫」と「私の住む街まで会いに来てくれる石丸伸二」の3人の中で、演説によって最も得票数を伸ばすことができたのは石丸伸二さんだったのだと思います。

そして、大した話はしなくていいので、印象的なキャッチフレーズを言って、あとは早めに演説を切り上げて、演説会場に来てくれた人と、握手もしくはハイタッチをしていくことが、得票数を伸ばすカギとなっています。

現状の街頭演説では、政策の説明に多くの時間を割いても、期待するような効果を得ることができないようです。

屋外で行う街頭演説では、「キャッチフレーズ」と「多くの人に関係する政策」の話に内容を絞り、話は短く切り上げて、握手やハイタッチに時間を割く方が得策です。

「弱者救済」や「少数者の権利擁護」といった政策は、「屋外で行う街頭演説で声高に叫ぶ」のではなく、「ホームページや政策パンフレットに詳しく載せる」ことと、「コアな支持者を集めた屋内集会で時間を割いて丁寧に説明する」ことに徹した方がいいようです。

また、「共産党との共闘」に関しては、今回の東京都知事選挙で自民党が小池百合子都知事に対して行ったような形で「表には出ない形でステルス応援」を進めていくべきだと思います。

相手が採用した戦術の真似をしながら、相手が嫌がることを地道に継続して、粘り強く、必死に食らいついていくことが必要なのではないでしょうか。

7.トピックス:れいわ新選組セクハラ問題その後

以前「れいわ新選組の内部でセクハラがあったのでは?」という問題について街宣で質問を受け、れいわ新選組代表の山本太郎さんがそれに答えたことがありました。

その件に関して、被害者の方が「X」(旧twitter)で発言しておられますので、その投稿を掲載します。


憲法9条変えさせないよ

プロ野球好きのただのオジサンが、冗談で「巨人ファーストの会」の話を「SAMEJIMA TIMES」にコメント投稿したことがきっかけで、ひょんなことから「筆者同盟」に加わることに。「憲法9条を次世代に」という一民間人の視点で、立憲野党とそれを支持するなかまたちに、叱咤激励と斬新な提案を届けます。