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辞任ドミノ4人目の標的・秋葉復興相はなぜ影武者を街頭に立たせる必要があったのか?そのヒントは安倍元首相のツイートにあった!

岸田内閣の閣僚辞任ドミノで4人目の標的になっているのは、秋葉賢也復興相(60)である。

親族に事務所賃料を支払っていた政治資金問題、公設秘書に報酬を払って選挙運動をさせた公職選挙法違反の疑い、そして統一教会関連団体に会費を支払っていた問題…。

マスコミ報道で次々に疑惑が浮上して国会で集中砲火を浴び、追及されても答弁はタジタジで、更迭も秒読みに入った感がある。

松下政経塾を経て1995年に宮城県議に。2005年の衆院宮城2区補選で初当選し、当選7回を重ねた。第二派閥・茂木派に所属するものの、安倍内閣で首相補佐官に起用された「安倍シンパ」である。統一教会との関係も取り沙汰されたが、今夏の内閣改造で初入閣を果たした際には統一教会との関係を否定していた。

ここにきて政治資金問題や公選法違反疑惑に加えて、統一教会との関係が浮上したのは致命傷かもしれない。

私は秋葉氏を取材した経験はないが、宮城県議時代の秋葉氏を取材したという知人の全国紙記者は「当時は県議会の若手有望株だった。久しぶりにテレビでみたら髪が白くなっていて驚いた」という。

政治家はどんどん変節していく。それにともない表情や雰囲気も変わっていく。私も繰り返し見た光景だ。秋葉氏も当選7回を数えるうちに大きく変節したのかもしれない。

そう思いながら国会で追及される秋葉氏の様子をみていて、事務所費や選挙報酬の疑惑よりも気になることがあった。影武者疑惑である。

影武者疑惑ーーこれは昨年の衆院選で、秋葉氏の次男が秋葉氏の名前入りのタスキをかけて街頭活動を行っていたという問題である。

公選法では本人の名前が入ったタスキは本人しか使用できない。事実なら公選法に抵触することになる。

秋葉氏は11月25日の衆院予算委員会で、野党議員から秋葉氏のタスキをかけて街頭に立つ若い男性の写真を提示され、「私の次男が私の選挙を心配して、会社の有給休暇を取り、3日間選挙の応援のために勤務先の東京から仙台まで駆けつけてくれた。本人としては家族の自分が応援していることをアピールすることで、少しでも私の力になりたいと考えての行動だったようだ。指摘を受けてすぐにタスキを外したと聞いている」と事実関係を認めたうえで、自らは承知していなかったと釈明した。そのうえで「(影武者は)ほかには1人もいないと、断言していいと思います」と語った。(問題の写真はこちら

なんとも怪しげな話だと私は思った。公選法違反を避けるためか、タスキには小さく「次男」と書かれていたとも言われるが、何のためにそんなことをしたのだろう。

秋葉氏は11月28日の衆院予算委でも集中砲火を浴びた。影武者疑惑については「3人の息子の中で次男が最も私に似ているとよく言われるので、周りから(タスキをかける案が)出たのかもしれない」と微妙に答弁を修正した。自公与党からは「よれよれじゃないか…」「厳しい」と呆れる声が漏れたと報道されている。

私の同級生である小川淳也衆院議員を追いかけた大島新監督のドキュメンタリー映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』や『香川1区』では、小川氏の家族が「妻です」「娘です」と大きく書かれたタスキをかけて選挙区を奔走する場面が映し出され、ジェンダーの視点から賛否をよんだ(SAMEJIMA TIMES『小川淳也の「妻です」はアウトで、八幡愛の「おかん」はセーフ!? あなたはどう思う?「政治家の家族のタスキ」』参照)。

次男が街頭に立つならば、本人のフリをしてタスキをかける必要がどこにあるのだろう。本人になりすまそうと思っても地元なのだからすぐにバレる話だ。むしろ「次男」であることを積極的にアピールしたほうが有権者の共感を得られるのではないか。なぜそうしなかったのか? 本気でなりすまそうとしたのか?

そんな疑問に答えたのが、フライデーデジタルが11月28日夕に配信した記事『秋葉復興相のうぐいす嬢が証言「秘書は選挙カーに乗っていない」』だった。

その一部を引用して紹介しよう。

秋葉氏の元支援者はこう語るのだ。

「秋葉さんが選挙で影武者を使うのは、彼が県議だった頃からよく知られた話です。県議時代の影武者は実の弟だった。その後、弟さんとは不仲になったのか、衆院議員に初当選した2005年前後から、弟さんが秋葉さんの選挙を手伝う姿を見ることはなくなりました」

実弟の協力が得られなくなった秋葉氏は、新たな手法を考えだしたという。

「後援会関係者のなかから、秋葉氏と同じように眼鏡をかけている人に〝秋葉2号〟に扮するよう求めたのです。秋葉2号に、選挙カーの助手席から手を振らせて有権者にアピールしていた。秋葉さんは身長180センチ近くありますが、選挙カーに乗りこんでしまえば外から背の高さはわからない。そのため極端に太っていなければ2号になる資格があるということだった。秋葉2号が選挙カーに乗るのは、秋葉さん本人が屋内で個人演説会を行っていたり、自宅で休憩していたりするときです。私の記憶では、少なくとも秋葉4号まで存在していた」(同前)

この証言は衝撃だ。「少なくとも秋葉4号まで存在していた」のが事実なら、次男は果たして何号だったのか。秋葉氏の国会答弁の信憑性を揺るがす証言である。

秋葉氏について調べていくと、おもしろい動画やツイートを発見した。安倍氏が昨年の衆院選で秋葉氏の選挙応援に駆けつけ、強く激励しているのである。その際の安倍氏のツイートに私は目が釘付けになった。

安倍氏はこのツイートで「27年間雨の日も雪の日も街頭で演説をし続けた男」として秋葉氏を持ち上げている。ここでいう「27年間」は、最初の県議選以来ということであろう。

来る日も来る日も街頭に立ち続けていることは、秋葉氏の政治家としての最大の「売り」だったのだ。だとすると影武者を立ててでも「街頭演説を続ける男」を演出しなければならない切実な事情が浮かんでくる。

なるほど、そういうことか。

この影武者疑惑は、秋葉氏の政治活動が丸ごとウソくさいことを示唆するという意味で、事務所費や選挙報酬の疑惑よりも醜悪だといってよい。

ウソで塗り固めた政治を絶対に許してはならない。

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