政治を斬る!

コロナは正しく診断して治療すれば重症化しない。決め手は「早期発見・早期診断・早期治療」。それを怠る政府を許すな!

新型コロナウイルスが世界を震撼させてきたのは、その正体が不明で治療法がわからず、感染すると命を落とす危険がインフルエンザなど「ただの風邪」と比べて高いとされてきたからだった。世界中がロックダウンなどで市民の自由を制限してまで人流の抑制に踏み切ったのは、治療法を開発して医療供給体制を拡充するための時間を稼ぐためだった。

英国をはじめ世界各地でコロナ規制を緩和させる動きが始まったのは、この一年半の間にコロナウイルスの正体が徐々に明らかになり、重症化を防ぐワクチンの開発・普及が進んだことに加え、有効な治療法が確立されつつあり、病床や治療薬などの医療供給体制も整ってきたからである。

そのなかで日本政府はワクチンの開発・確保に大きく出遅れ、検査体制や病床確保をはじめとする医療供給体制の拡充も怠り、いまだに人流抑制を軸としている。この一年半を無為無策でやり過ごし、感染者数は欧米よりはるかに少ないのに医療崩壊を招いた「行政能力の低さ」は先進国のなかで突出している。

とはいえ、日本の医療現場でも有効な治療法は確立されつつあるようだ。

東大先端研名誉教授の児玉龍彦氏がYouTube番組「デモクラシータイムス」で解説した「重症化を防ぐ診断と治療」がわかりやすい。

詳しくは上記の動画をごらんいただきたいが、専門知識の不足は承知のうえで私なりにわかりやすく解説を試みたい。

最初に重要なのは、コロナに感染して重症化するメカニズムには2つのパターンがあり、それぞれについて有効な治療法が見つかっているということだ。

ひとつは体内のウイルス量が急増して免疫力の限界を超える場合である。「ウイルス量が多くて抗体が足りない」状況だ。これに対してはウイルス量を抑制するための治療が必要になる。アビガンやイベルメクチンという治療薬はウイルス量を少なくする効果があるとされてきた。最近になってウイルス量を減らす非常に高い効果があると評価されるようになったのが「抗体カクテル薬」だ。厚労省が7月に特例承認し、重症化リスクが高く入院した患者に限定して投与を認めている。

発症から原則7日以内に投与する必要があり、医療現場からは「早めに投与すれば極めて高い効果がある」として入院患者以外にも使用できるよう求める声が強い。高齢者やがん患者、免疫抑制剤を使用中の人、大量のウイルスを吸い込んだ人などに有効とされる。一方で、供給量が限られており、幅広く普及させるには時間がかかりそうだ。医療崩壊によって入院に時間がかかる場合は投与が遅れ、治療が間に合わないことになる。

もうひとつはウイルス量を抑制するための免疫システムが過剰に反応して暴走する場合である。「ウイルス量が少なくて抗体が多すぎる」状況だ。こうなると「サイトカインストーム」と呼ばれる現象が発生して血液が異常に凝固(血栓形成)し、肺炎に加えて心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こす。

このように免疫が働きすぎて肺炎になりつつある患者には、ひとつ目のパターンとは正反対に、免疫暴走を食い止めるための免疫抑制剤を投与する治療が必要だ。ステロイドの早期投与が有効だという。

児玉名誉教授によると、コロナに感染した患者の重症化を防ぐためには、患者がどちらのパターンにあるのかを正確に診断しなければならない。その診断に必要なのは、ウイルス検査、血液検査、CT検査の3つだ。そのうえで、抗体カクテル薬を投与するのか、ステロイドを投与するのか、有効な治療法さえ選択すれば、かなりの確率で重症化を防げるというのだ。

重要なことは、できるだけ早く感染を発見し、できるだけ早く正確な診断をして、できるだけ早く適切な治療をすることである。「早期発見・早期診断・早期治療」が重症化を防ぐ決め手なのだ。特に重要なのは、患者がいまどういう状態にあるのかを見極める「正確な診断」である。そのうえで、それぞれの患者に最適な治療を早く確実に受けられる医療供給体制さえ用意されていたら、コロナは命を落とす病気ではなく、極度に恐れる必要はない。

問題は、日本政府がコロナ発生から一年半、「早期発見・早期診断・早期治療」を可能とする検査・医療供給体制の整備を怠ってきたことだ。いちばん大事な「患者の命を救う治療」を提供することに取り組んでこなかったのである。マスコミも政府が国民に一方的に強いる「行動自粛」や「人流抑制」を報じるばかりで、コロナ対策の本筋である「患者の命を救う治療」のあり方について国民にきちんと問題提起してこなかったのである。

その結果、上級国民だけはいざというときに有力病院へのコネで「早期診断・早期治療」を受けて命を守ることができるのに、一般大衆は入院を拒否されて適切な医療を受けられず命を落とすリスクにさらされるという「医療格差」が現実になっているのだ。

政府の責務は、一部で動き始めている「早期発見・早期診断・早期治療」の医療供給システムを日本中に一刻も早く普及させることである。

日本政府コロナ発生当初から、患者数が急増して医療崩壊が発生することと医療費が増大することを極度に警戒し、PCR検査を抑制することで「確認された感染者数」を少なく抑えるという愚策を重ねてきた。コロナ専用の巨大臨時病院を開設するなどして医療供給体制を拡充するのではなく、PCR検査の抑制によって治療を求める患者の数を減らすという「国民の命を守るよりも入院患者を減らして病院のパンクと医療費の増大を防ぐ政治」を続けてきたのである。「早期発見・早期診断・早期治療」とは真反対の政策だったのだ。

さらに国民に一方的に我慢を強いる緊急事態宣言で人流を抑えることにのみエネルギーを費やし、無為無策を重ねてきた。PCR検査抑制によって実態よりも過少な「見せかけの感染者」の増減に一喜一憂し、それが増えると莫大な税金を投入して飲食店などに営業自粛を求め、それが減ると東京五輪やGOTOトラベルで莫大な税金をばら撒いて経済活動を刺激するという、実にチグハグで無駄に税金を使うコロナ対策を繰り返してきたのである。それら巨額の税金は、医療供給体制の拡充にこそ使われるべきだったのだ。

医療崩壊を防ぐポイントは、病床や医療スタッフを十分に確保して医療供給体制を拡充することである。患者数以上の病床数を確保して「患者が治療を受けられない」という事態を回避するのが、政府の責務だ。それを棚上げにし、国民に自粛を強いることのみによって治療や入院を求める患者の数を強引に抑え込もうとしてきたのが日本政府のコロナ対策だった。その結果、「早期発見・早期診断・早期治療」の医療システム構築に大きく出遅れてしまったのだ。今の感染爆発と医療崩壊は「政策の失敗」の結果である。

しかも日本政府は医療供給体制の拡充を棚上げしたまま、コロナを「ただの風邪」にして重症以外の患者の入院を拒否することで医療崩壊を防ごうと画策したのである。まさに棄民政策だ。コロナを「ただの風邪」にして経済社会生活を通常に戻したいのなら、その前提は「早期発見・早期診断・早期治療」を可能とする医療供給体制を整備することである。それなしに「ただの風邪」にするのは、患者の命を守る政府の責務を放棄することでしかない。

ワクチンと並ぶ「コロナ重症化を防ぐ決め手」は「早期発見・早期診断・早期治療」であることがはっきりしてきた。技術的なハードルはクリアしている。日本中でそれを実行できるかどうかは政治次第だ。命を守る治療方法があるのに、命を守れないとしたら、それはすべて政治の責任である。

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