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ガーシーはどこで間違えたのか?与野党が結託して奪った国会議員の地位〜若手編集者から「ガーシー除名について書いてください」と言われて…

昨年夏の参院選比例代表でNHK党から当選した暴露系ユーチューバーのガーシー氏。活動拠点の中東ドバイから帰国することなく、国会に一度も出席することなく、3月15日、ついに参院本会議で除名され、国会議員の地位を失った。

私はNHK党(「政治家女子48党」に党名変更)をまったく支持していないし、ガーシー氏の主張にもまったく共感していない。

ただ、日本維新の会や国民民主党に続いて野党第一党の立憲民主党まで与党にすり寄る全体主義・大政翼賛政治の機運が強まる今の国会で、少数政党の国会議員の地位を多数決で奪うことに「少数者抑圧」「言論弾圧」の危険を感じ、「除名はやりすぎではないか」というモヤモヤ感を抱いていた。

与野党が結託して少数政党をいじめる行為は、れいわ新選組に対してたびたび向けられてきた。今春の予算案採決でも、れいわの大石晃子・櫛渕万里の両衆院議員が牛歩戦術で抵抗したことに対し、自公ばかりか立憲や共産からも批判が相次ぎ、衆院から厳重注意を受けたことは記憶に新しい。

野党第一党の立憲が「提案型野党」を掲げて以降、「批判ばかり」と批判されることを恐れて与党と一致できることを必死で探し求める姿に、私は気味の悪さを感じている。

れいわに対しても、ガーシーに対しても、「与野党が国会の秩序を守るために手を結んだ」という構図が、全体主義・大政翼賛体制へ発展していくような懸念を募らせていたのである。

とはいえ、ガーシー問題を執筆する気はわいてこなかったのだが、そこへ寄稿を提案してきたのが、プレジデントオンラインの若手編集者であるSさんだった。

Sさんは朝日新聞政治部の後輩記者だった。私より一足先に退社してプレジデント社へ転職した。

私が独立した後、プレジデントオンラインに寄稿するようになったのは、Sさんから誘われたからであるという経緯は『プレジデントオンラインで私を担当する編集者は朝日新聞政治部の後輩!』で詳しく紹介している。

最初にSさんと取り決めたことがある。それは執筆テーマをSさんに提案してもらうということだ。

自分で企画立案すると、同じネットメディアであるSAMEJIMA TIMESとどうしても似通ってくる。むしろSさんの若い感覚でテーマを決めてもらい、私はそこから自分で素材を集めて執筆することにしたのだ。

そのほうが私の感覚も凝り固まらず、これまでアプローチできなかった読者層にも届くのではないかと期待したのである。実際に「プレジデントオンラインで鮫島さんを知りました」という読者から講演依頼やコメントをいただくことは多い。

私はSAMEJIMA TIMESのウェブサイトとユーチューブで発信しているほか、紙媒体ではサンデー毎日に月1回寄稿しているし、その他のメディアからも執筆・出演の依頼があれば時間の許す限り受けているが、プレジデントオンラインを読んで反応をいただく年齢層は他メディアに比べて明らかに若い。私にはとてもありがたいメディアである。

プレジデントオンラインに掲載された私の記事一覧をみると、とてもひとりでは発案できなかったテーマが並んでいるとつくづく思う。ジャーナリズムは意見や環境を異にする人々に揉まれながら作り上げるほうが、マンネリ化を防ぎ、思わぬ化学反応が起きて、オリジナリティーが増すのだろう。

それでも「ガーシー除名について書いてください」という今回の提案には当初、腰がやや引けた。しかしここで逃げては自分の世界を狭めるだけだ。ガーシーについていちから材料を集め、私なりに考えてみた。

そうして出来上がったのが、除名前夜の3月14日に公開された『なぜ28万人がガーシーに投票したのか…「暴露系YouTuber」があっという間に国会議員になれた本当の理由』である。Sさんの提案がなければ生まれなかった記事だ。私自身、執筆段階で新たに発見したことも多かった。

ガーシー氏が除名された15日午後、この記事は同サイトのランキングトップを走っていた。Sさんは「ガーシーの記事は読まれる」と確信していたのだろう。

せっかくなので、動画も制作してみた。ガーシーの政治闘争はどこで失敗したのかをマスコミとは違う切り口で明快に解説している。プレジデントオンラインの記事とあわせてご覧いただければ、より多角的に今回の問題が浮かび上がると思う。

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