政治を斬る!

インボイス反対署名が50万筆を超えた!東京五輪反対を抜いて過去最多に!大企業や富裕層から中小零細へ批判を振り向ける岸田政権の世論誘導策に惑わされるな!

10月1日からインボイス制度が導入されるのを目前に、「STOP!インボイス」の反対署名がついに50万筆を超えた。日本のオンライン署名では過去最多だった「東京五輪の開催中止」を求める46万5481筆を抜いて歴代トップに躍り出た。

署名運動を展開してきた「インボイス制度を考えるフリーランスの会(STOP!インボイス)」は9月25日夜に首相官邸前で抗議の声を届けるアクションを実施した。

私も現場を訪れたが、立憲民主党の泉健太代表、共産党の志位和夫委員長をはじめ、国民民主党、れいわ新選組、社民党を含めた野党議員が大勢駆けつけた。50万筆超の反対署名を野党各党も無視できないということだろう。

消費税は「消費者」ではなく「事業者」に課税する税金である。だからこそ、課税売上高が1000万円以下の零細事業者は免除されてきた。

インボイスが導入されると、免税事業者も消費税を納めなければならなくなる。個人事業主やフリーランスらにとっては事実上の消費税増税だ。声優やアニメーターらフリーランスを中心に「弱者いじめ」として反対運動が広がってきた。

そもそも消費税は導入前の議論時点では「売上税」と呼ばれていた。ところが、自民党への政治力が強かった商工業者らが「消費者に価格転嫁しにくくなる」と反発し、「消費税」に名称変更された経緯がある。

これが「消費税は消費者が負担する税金」という誤った認識を広め、「零細事業者は消費者から預かった消費税を納税せずに懐に入れている」という誤った批判を広げることになった。

ところが、岸田政権はこの誤った認識を逆利用し、インボイス導入の追い風としてきた。ネット上では著名人もこの誤った認識をもとにインボイス反対運動を批判しているのが現状だ。

インボイスで増える消費税収は2500億円程度である。これは消費税収全体の1%程度しかない。財源確保策としては高が知れている。

にもかかわらず、政府はなぜインボイス導入を強行しようとしているのか。

最大の理由は、経済格差が広がる中、消費税を免除されている零細事業者に世論の批判を振り向け、大企業や富裕層への批判をかわすことにあると私はみている。

消費税収の約7割はこれまで、法人税減税の穴埋めに当てられてきた。一般大衆におもくのしかかる消費税増税と大企業を優遇する法人税減税はセットで推進されてきたのだ。

消費税は海外輸出には免除されるため、大企業には大きな利益があり、まさに「弱者いじめ」「大企業優遇」の税制といっていい。経団連が法人税減税と消費税増税を強く主張してきたのはそのためだ。

さらに大企業や富裕層にはさまざまな税制優遇が行われてきた。なかでも株価底上げのため金融課税は軽減措置が繰り返され、経済格差を広げる大きな要因となってきた。

大企業や富裕層が持つ金融商品や不動産に課税強化し、富を再分配するのが、税制の本来の役割である。「税金は財源確保策」というのは大企業や富裕層に有利な政策を進める政府(財務省)のごまかしだ。

税金の一番大切な役割は富を再分配し、格差を是正することにある。今やるべきは、長年にわたる金融緩和で大きな富を作り出した金融・不動産に課税強化することであって、零細事業者への課税を強化するインボイスではない。

消費税納税を免れてきた零細事業者への批判を高め、経済格差から目を逸らして抜本的な税制改革論が高まるのを防ぐことに、政府・自民党・経済界は躍起になっている。インボイスを零細事業者だけの問題と考えたら、次は本格的な消費税増税が待っているだろう。

東京五輪は反対署名を振り切って強行開催されたが、その結果、菅内閣の支持率は大きく下がって退陣につながった。東京五輪をめぐる汚職事件にも発展し、東京五輪を国策で推進してきた政府・自民党・財界の大きな汚点となったのである。反対署名運動が社会を動かしたのだ。

東京五輪の反対を超える署名を集めたインボイス。大衆の声が政治を動かすリアリズムを体現する機会としたい。私も「STOP!インボイス」に賛同している。ぜひみなさんも加わってほしい。

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