政治を斬る!

自民党一人勝ちと野党総崩れ——進次郎旋風が日本政治を呑み込む〜最新世論調査

自民党が復活の様相です。最新のNHK世論調査では、自民党の支持率が前月から5.2ポイントも急上昇し、31.6%に達しました。

一方、野党各党は軒並み支持率を落とし、「自民一強・野党総崩れ」という構図が鮮明になってきています。

この状況を生み出した最大の要因は、小泉進次郎農水大臣の登場です。

進次郎氏は、農協改革とコメ増産政策を掲げ、自民党内の「農水族」と真っ向から対立。その構図が国民の関心を大きく集め、自民党の支持率を押し上げました。

進次郎劇場が幕を開け、メディアもこぞって取り上げています。

今回の世論調査は、参議院選挙を目前に控えた政局に決定的な影響を与えました。野党第一党の立憲民主党は1.8ポイント減の5.8%に転落。国民民主党も1.8ポイント減の5.4%と、支持率低迷に苦しんでいます。

国民民主党の支持率が下がった直接の原因は、「山尾ショック」と玉木代表の失言です。

そして立憲民主党は、年金改革法案で自公と合意し、他の野党の反対を振り切って強行採決に踏み切ったことで支持層からの反発を招きました。この年金改革を巡る動きが「自公立による大連立」の伏線と見なされ、立憲への不信感が強まっています。

さらに痛いのは、立憲と国民が互いに対立し合い、選挙協力の芽もほとんど育たなかったことです。これまでは「自民が過半数割れした後、どちらが与党と手を組むのか」でしのぎを削ってきましたが、結果は「共倒れ」。今回の世論調査が示しているのは、まさにその現実です。

維新も支持率を落とし、2.5%。大阪万博問題などで失望した無党派層を呼び戻せていません。

公明党(3.2%)も共産党(1.9%)も支持層の高齢化で低迷し、かつての勢いは完全に失われています。

これまで勢いを見せていたれいわ新選組も支持率が1.7%まで下がり、維新・公明・共産の後塵を拝する形となりました。れいわに失速の直接的な原因はなく、単に「世間の関心が減税からコメへ」とシフトした影響をもろに受けた格好です。

逆に注目を集めつつあるのが参政党です。支持率は0.4ポイント増の1.9%で、ついに共産党と並びました。参政党はオーガニックや農業政策を前面に押し出し、進次郎人気が追い風になっています。

こうして「野党総崩れ」の様相が強まる中で、国会最終盤の政局も動きました。

自民党の森山幹事長は、立憲との間で「内閣不信任案の提出見送り」を事実上の密約として進めてきました。見返りは年金改革法案での協力。立憲民主党の野田代表も「トランプ国難」を口実に、不信任案提出を見送る腹を固めていたのです。

ところが、維新や国民民主党、さらに立憲党内の小沢一郎氏らが「このままではダメだ」と不信任案提出を強く主張。野田代表は「それなら共同提出するのか?」と苛立つ場面もありました。

しかし、最新の世論調査結果が出たことで空気は一変しました。

石破茂総理は「不信任案を出せば衆院解散・ダブル選挙だ」と強気に出ました。衆参ダブル選挙になれば、進次郎人気を背景に自民党が圧勝し、少数与党の苦しい国会運営を一気に解消できる——そうした計算です。

結果として、維新も国民も「このままでは自民党の一人勝ちに手を貸すだけ」と不信任案提出に及び腰に。共産党も「いまは参院選で勝負すべきだ」と慎重な姿勢に転じました。

こうして野田代表は「不信任案提出見送り」という路線を安心して進める環境が整ったのです。

残る焦点は、参院選後の大連立です。

自民党は参院選で一定の勝利を収めても、衆院の過半数割れは解消しません。やはり「大連立」は避けて通れないシナリオです。

さらに、石破総理はG7サミット前後に党首会談を開くと表明しましたが、日米関税交渉は難航しており、サミットでの最終合意も見通せません。

むしろこの停滞が「今はトランプ対応で政治空白を作れない」という野田代表の立場を正当化し、大連立に向けた布石にもなるのです。

こうして、不信任案提出は見送られ、衆参ダブル選挙は回避され、通常国会は6月22日に閉幕。7月3日告示、7月20日投開票の参院選へと突入します。

その参院選では、自民党が進次郎人気で一定の議席を確保し、立憲・維新・国民は伸び悩む。結果として、大連立協議は自民ペースで進行していくでしょう。

進次郎旋風がもたらした自民一強。果たしてこの流れはどこまで続くのか。

日本政治の転換点が、静かに、しかし確実に近づいています。