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河野太郎「総裁になったら麻生派を離脱する」まやかしの派閥離脱表明の大ウソを暴く〜麻生太郎が引退したら麻生派は俺のものだ!世襲政治家の本性

河野太郎氏が自民党総裁選に勝ったら麻生派を離脱すると表明した。小泉進次郎氏や石破茂氏にリードを許すなか、反転攻勢へ切り札を切った格好だ。

一方で、総裁選前には麻生派を離脱しないと明言している。麻生派以外の派閥が解散を表明するなか、唯一派閥存続を宣言している麻生派に、河野氏はとどまっている。

派閥の支援を受けて総裁選に出馬するのは河野氏だけだ。脱派閥を掲げるのなら、総裁選に先立って派閥を離脱すべきだろう。

河野氏の「派閥離脱宣言」はマヤカシというほかない。

現在の麻生派は、河野氏の父・洋平氏が宏池会(現在の岸田派)を飛び出して立ち上げた小さなグループが源流だ。総裁選出馬に必要な20人に達せず、新聞には「派閥」と表記してもらえず、「河野グループ」と呼ばれる船出だった。この弱小集団を党内第二派閥に育て上げたのが、洋平氏とともに宏池会を飛び出し、洋平氏引退後にグループを受け継いだ麻生氏だった。

麻生氏には派閥に対する強烈な思い入れがある。

一方、河野氏は、この派閥は自分の父親が旗揚げしたものであり、麻生氏から自分が受け継ぐのは当たり前だという「本流意識」がある。彼の実像は、改革派というよりも、世襲政治家そのものなのだ。

この文脈で、河野氏の「派閥離脱宣言」を読み解いてみよう。主な内容は3つだ。

①「総裁になれば派閥を離脱する」

歴代総裁の多くは就任後に派閥を離脱している。そして退任後は派閥会長に戻ってキングメーカーとなった。近年では安倍晋三氏が典型だ。派閥を解消するためではなく、総理・総裁として派閥批判を避けるために、表面的一時的に派閥会長の座を空けたに過ぎない。

この例外が岸田首相だった。就任後も宏池会会長にとどまり続けた。ナンバー2である林芳正氏に派閥を奪われることを恐れたのだろう。岸田首相は、裏金事件で岸田派が立件される状況に追い込まれ、ようやく派閥を離脱したが、事実上の派閥会長として振る舞った。首相退陣後は林氏と派閥内の主導権争いが強まるだろう。

河野氏が「総裁選になれば派閥を離脱する」というのは、驚くニュースではない。当たり前のことだ。

②「ほとんどの派閥が正式な解散もしていないなかで派閥にいるかどうかを議論するのは意味がない」

河野氏は総裁選前に派閥を離脱することを明確に否定した。

総裁選は麻生派に力を借りて推薦人20人を集め、選挙活動も麻生派に依存するのに、総裁になったら麻生派を離脱したところで、麻生派の影響を受けないというのは、幻想でしかない。

どのようにして権力をつかむのか。まさに「総裁選の勝ち方」によって、新政権の政策は大きく変わってくる。自らを押し上げた政治勢力を無視して政権運営はできない。

河野氏が脱派閥を目指すのなら、麻生派に頼らず自力で推薦人20人を集め、自力で選挙活動をして、勝ち抜くほかない。総裁選は麻生派に依存して勝てば自立するという都合のいいことは、政治の世界ではあり得ない。

それをあけすけに言ってのける河野氏は、政治家として信用できないと強く思う。

③「閣僚や党三役にも派閥離脱してもらう」

河野氏のこの発言もマヤカシだ。

麻生派以外は派閥はすでに解散表明している。この発言の対象は、唯一存続を宣言している麻生派だけだ。麻生派から閣僚や党三役に起用する人には麻生派を離脱してもらうというだけの意味である。

では、派閥を愛する麻生氏はどうなるのか?

党三役というのは通常、幹事長、政調会長、総務会長である。麻生氏は副総裁だ。通常は党三役に含まれない。つまり、麻生氏は派閥に残ったまま例外的に副総裁に留任する可能性を残しているのである。

麻生氏は世代交代の波を恐れ、河野氏の総裁選出馬にずっと反対してきた。

しかし河野氏も61歳になった。今回の総裁選には43歳の小泉氏や49歳の小林鷹之氏が名乗りをあげている。河野氏はもはや若手ではない。自らも世代交代の挑戦を受ける立場になったのだ。

麻生氏は9月に84歳になる。今回の総裁選のキングメーカー争いで小泉氏を担ぐ菅義偉氏に敗れれば、総裁選後に予測される10月解散総選挙で政界引退に追い込まれる恐れがある。

小泉氏優勢が見込まれるなかで、「そろそろ潮時か、派閥を河野に譲るか」という意識が出てきても不思議ではない。

麻生氏も河野氏も政治名門一家の世襲政治家だ。総裁選にむけてサシ会食を重ねて河野氏出馬で合意したが、その過程で麻生派の将来についても入念に話し合ったのではないだろうか。

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