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国民民主党「自公接近の玉木氏vs維新接近の前原氏」の代表選は、来るべき政界再編の前哨戦として注目!

国民民主党の代表選は8月3日に立候補を受け付け、21日告示、9月2日投開票の日程で行われる。玉木雄一郎代表がすでに出馬表明したのに対し、前原誠司元外相が「党勢拡大について、果たして今の延長線で可能なのか」と記者団に述べ、出馬への意欲を示した。

玉木氏は「批判」よりも「提案」を重視し、政府提出の当初予算案に賛成するなど「野党」と「与党」に中間に位置する「ゆ党」の立場を鮮明にする党運営を主導してきた。これに対し、前原氏は「結果として自民党を利することになっているのではないか」と指摘し、自公与党との対決姿勢を鮮明にすべきとの立場である。

玉木vs前原の対立軸は明確だ。

連立与党の公明党は二階俊博元幹事長や菅義偉前首相を窓口として自民党との関係を維持し、維新は菅氏との強いパイプで自民党と連携してきた。これに対抗して、玉木氏は二階氏や菅氏と確執の深い麻生太郎副総裁や茂木敏充幹事長と水面下で連携して連立入りを画策してきた。

立憲の野田佳彦元首相や安住淳国対委員長は財務省を介して岸田派と密接な関係を築いている。公明、維新、国民、立憲の政党間競争は、自民党内の主導権争いの投影ともいえる。

一方、前原氏は京都選出で、大阪を本拠地に躍進する維新の勢いを肌で感じている。1999年代以降、自民vs民主の二大政党政治の主要プレーヤーとして政治活動してきただけに、自民との連携には否定的だ。

民進党代表時代の2017年には小池百合子・東京都知事が旗揚げした希望の党に合流して自公政権打倒を狙う奇手に出た。麻生氏を窓口に自公に接近する玉木氏には冷ややかで、むしろ台頭する維新や立憲の一部と合流して政権交代可能な野党第一党をつくる政界再編を狙っているのは想像に難くない。

玉木氏と前原氏がそれぞれ描く政局展望はまったく正反対である。国民民主党という小所帯に呉越同舟で止まり続けるのはそろそろ限界であろう。

国民民主党の最大の応援団は連合である。とくに原発再稼働に前向きで立憲民主党の左派に懐疑的な大企業系労組からの支援を受けている。

玉木氏はYouTubeなどで国会議員として独自の発信を続け、10代の若者層に知名度がある稀有な「野党党首」だ。「教育国債」をはじめ新たなアイデアを次々に打ち上げる足腰の軽さもある。玉木氏の「党首力」は国民民主党の連合に並ぶ「もう一つの売り」といえるだろう。

とはいえ、最近の世論調査では維新や立憲に大きく水をあけられ、れいわ新選組にも先を越されるようになってきた。党勢の伸び悩みは誰の目にも明らかだ。

今回の代表選で「玉木vs前原」が激突すれば、自民党への接近を志向する玉木氏と、維新との連携を志向する前原氏の路線対立は決定的になり、分裂の現実味が増すだろう。

岸田内閣の支持率が急落して解散総選挙が遠のいたとの見方が広がるなか、前原氏が党分裂含みで代表選に出馬するのか、勝負はまだ先と見て今回は自重するのか。当面の焦点は前原氏の動向だ。

前原氏が出馬に踏み切れば、国民民主党の代表選は、立憲凋落による「自公vs維新」という新たな政界地図への移行を先取りする前哨戦としても大いに注目していい。


鮫島タイムスYouTube週末恒例の「ダメダメTOP10」に国民民主党も登場しました。ぜひご覧ください。

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