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三浦瑠麗氏はマスコミばかりか政府にも引っ張りだこだった!菅政権の成長戦略会議委員は利益相反の恐れ〜国家権力べったりの「有識者」「専門家」の仮面を剥がす機会に

マスコミに引っ張りだこだった「国際政治学者」の三浦瑠麗氏が窮地に立っている。

夫の再生エネルギーファンドが家宅捜索を受けていることが発覚。三浦氏は当初、夫の会社経営には関与していないとするコメントを発表したが、事務所を共有していることやマスコミで再生エネに関する発言を繰り返していたことが相次いで指摘され、「夫の事業とは無関係」という説明の根拠が揺らいでいる。

そもそも国際政治学者としての実績は乏しく、学界でも彼女を専門家として扱うことには疑義が呈されてきた。それを「時代の寵児」としてもてはやしてきたマスコミのあり方が根底から問われているのは間違いない。

芸能人がワイドショーで思いつきのコメントをするよりも、国際政治学者を名乗ってもっともらしく発信するほうが、視聴者が「専門家の発言」と受け止める分、よほど責任は大きい。マスコミに登場する「専門家」とは所詮その程度であるという不信感を増幅させたに違いない。

三浦氏がテレビをはじめマスコミで発信してきた内容は国内世論や現実政治へ大きな影響を与えてきた。夫の事業を側面支援する「利益誘導」に使われたことがないのかどうかを含め、彼女の過去の発言を精査してその起用が正しかったのかどうか、マスコミ各社は自己検証すべきである(マスコミはまともな自己検証をした試しがないが)。

さらに問題なのは、自民党をはじめとする政治家に加え、政府も三浦氏をさまざまな形で起用し、世論形成に利用してきたことだ。

防衛大学校の卒業式で祝辞を述べたのには私も驚いた。「公」と「私」の境界がここまでぼやけてしまったのかと衝撃を受けたのである。

さらに看過できない問題が浮上している。三浦氏は菅義偉政権の成長戦略会議の委員となり、夫の会社が取り組む太陽光発電への支援強化を主張するとともに、ライバル関係にある洋上風力発電を批判していたというのだ(こちら参照)。

太陽光発電や洋上風力発電の是非はともかく、政府の会議に出席して夫の事業を後押しするような発言をするのは「利益相反」との批判を免れない。マスコミでの発言にとどまらず、政府の有識者会議でも「身内びいき」の主張を展開していたということになれば、行政の公平性・信頼性を大きく揺るがす事態といっていい。

ここで問題となるのは、三浦氏のモラルだけではない。政府は三浦氏が利害関係者であることを承知のうえで有識者会議の委員に起用したのか。この任命責任問題は重大である。政府が「利益相反」の片棒を担いだことになる。もはや三浦氏個人の問題ではない。

マスコミに登場する「専門家」や「有識者」だけではなく、政府の有識者会議に起用される「専門家」や「有識者」もいかにいい加減かということだ。

そもそも政府の有識者会議のポストの多くは、各省庁の主張にすり寄ることで公的な地位を得たりマスコミへの出演を増やしたりする御用学者や御用専門家で占められている。政府が自分たちに都合のいい政策へのお墨付きを得るために、マスコミ露出度が高い学者や著名人を集め、「国民の意見を聞いた」というアリバイ作りに利用している。コロナ政策(厚労省)も原発政策(経産省)も財政政策(財務省)もすべて「身内」や「お友達」で方針を決めているのだ。

三浦氏の問題は政府の有識者会議の歪みもあぶり出した。これを機に有識者会議にも厳しい眼差しを向けなければならない。

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