新潟県知事選(5月29日投開票)は、自民、公明、国民民主、連合が推す現職の花角英世氏(64)に、地元経済界の有力経営者である片桐奈保美氏(72)が「原発再稼働反対」を掲げて挑む一騎討ちの戦いになっている。
今夏の参院選を目前に控えた重要な選挙。本来なら全国的に大きく注目されてよいはずだ。
ところが世論の関心はほとんど高まっていない。私のTwitterタイムラインに関連ツイートがはじめて流れてきたのは5月18日にれいわ新選組の山本太郎代表が片桐氏の応援に長岡市へ駆けつけることを告げる内容だった。
盛り上がりに欠けるのは、共産、れいわ、社民各党が片桐氏を推薦しているのに、野党のリーダーであるはずの立憲民主党が現職を応援する連合に遠慮して自主投票となったからだ。
立憲の西村智奈美幹事長の地元・新潟で、しかも「脱原発」が争点となった参院選目前の重要な選挙で、野党第一党がこのような及び腰では、参院選にむけて野党共闘の士気があがるはずがない。
このことはSAMEJIMA TIMESで厳しく批判したところである。
参院選前の新潟知事選「原発」争点に!ところが立憲民主党は「自主投票」!西村智奈美幹事長の地元なのに、なぜ!?
サメタイ政治クラブのT・Mさんからは以下のようなコメントをいただいた。私がユーチューブで配信した動画のチャットで、立憲民主党が片桐氏を推薦していないことを批判したことを受けた投稿である。
昨日配信の動画のチャットで、新潟知事選で立憲民主党が片桐なおみさんを支援しないことが話題になっていました。気になって、片桐さんのHPを閲覧したところ、片桐さんの人柄などが紹介されていて、とても魅力的な人物であることが分かりました。
彼女の主張はひたすら原発再稼働はさせないとの1点に尽きると思いますが、政治には全くの素人である私から見ても、その戦い方は、素人がプロ集団に対し素手で戦っているような印象を受けました。まるで香川1区の小川議員と平井議員との戦いのように。(中略)新潟知事選は6月の参議院選の前哨戦としてとても大事な選挙ですが、あまり情報もないため、今一つ盛り上がりに欠けているのではないかと推測しています。
特に立憲民主党の対応は情けなく目を覆うばかりです。西村幹事長が4月の事務所開きで挨拶しているのですが、連合を意識してか応援に来た理由として片桐候補が同じ大学出身であることを強調していてとても不愉快にさせられました。
それに対し森ゆうこ議員は、気持ちのこもった励ましの言葉を述べていて、さすがだと思わせました。投票日まで2週間を切っており、サメジマタイムスの底力がどこまであるか分かりませんが、参議院選に向けていい流れを作るために、皆さん!ここで力を合わせてひと踏ん張りしてみませんか。
T・Mさんの言うように、立憲民主党の自主投票は参院選を白けさせている。この野党第一党は、自公政権を倒すことよりも、原発再稼働を止めることよりも、自分たちの地位保全が優先であり、だからこそ自民党にすり寄る連合の顔色をうかがうばかりであるとしか思えない。
れいわの山本代表が衆院議員を辞職して参院選出馬を表明した記者会見で「闘う気があるのか」「本気で政権奪取する気があるのか!」と声を荒げ、立憲民主党への苛立ちをにじませたが、私も本当にそう思う。野党第一党が「自公与党を過半数割れに追い込む」「自公政権を倒す」という目標と覚悟を明確に掲げずして、野党共闘が成り立つはずがない。
立憲民主党からは「この参院選はとても勝てないが、参院選後は3年間は国政選挙がない。3年後の政治状況なんてわからない。しばらく様子見」との声も聞こえてくる。3年先まで国政の主導権を握ることを諦めてしまっているのだ。そして3年後の政局事情を受けて最も勝てそうな政党に乗り換えればいいという態度である。2017年の希望の党騒動と同じように。
野党第一党がこの体たらくでは、共産もれいわも自らの議席をひとつでも増やすことを最優先するのは当たり前だ。そもそも参院選後、立憲民主党が存在し続けている保障がないのである。そのような政党を信用できるはずがない。
野党共闘が崩壊した全責任は、野党全体をまとめあげる責任を放棄した野党第一党の立憲民主党にある。参院選で立憲は惨敗して求心力を失い、連合とともに自民党(岸田文雄首相や麻生太郎副総裁ら主流派)にすり寄っていく「連合派」、維新とともに自民党(菅義偉前首相ら非主流派)にすり寄っていく「維新派」、そしてれいわに歩み寄って野党陣営に踏みとどまる「れいわ派」に徐々に分裂していくだろう。立憲民主党の議員ひとりひとりがどこへ向かうのか、有権者はしっかりと見極めて投票するしかない。
参院選は「連合派」「維新派」「れいわ派」のうちのどこが参院選後の政界再編の主導権を握るのかという「野党の主役争い」の意味合いが強い。参院選は自公与党だけではなく野党間の激しい戦いになるだろう。野党支持層はその現状をまずは直視するしかないと思う。