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立憲民主党よ、お前もか!? 西村智奈美幹事長よ、お前もか!? 期待ハズレのCLP釈明会見を読み解く

自民党政権を倒す構想力や野党共闘をまとめる政治手腕は未知数ながらも「誠実でまっとうな政治」をめざす姿勢は確かなようだーー昨年秋の立憲民主党代表選で永田町の表舞台に「初登場」していきなり幹事長を射止めた西村智奈美氏。彼女に新しい政治の芽吹きを感じた野党支持者は少なくないだろう。連合寄りの姿勢を鮮明にする泉健太代表はさておき、「正直で誠実」をモットーとする小川淳也政調会長とともに、西村幹事長が野党の未来を切り開くことを期待した支持者もいたかもしれない。

前任の幹事長である福山哲郎氏がリベラル系ネットメディアChoose Life Project(CLP)に立憲民主党の政治資金1500万円を水面化で提供していた問題は、西村幹事長が最初に迎えた試練である。

立憲民主党を単独で旗揚げした枝野幸男前代表の最側近として幹事長職に4年間君臨し「枝野ー福山独裁体制」を築き上げた福山氏。党重鎮の「政治とカネ」をめぐる疑惑に新米幹事長がどこまで切り込めるのか。「誠実でまっとうな政治」を標榜する西村氏の真価が問われる局面がいきなりやってきたのだ。

福山氏が「CLPの理念に共感」して資金提供を決めたと言いながら、CLPへ直接資金を提供するのではなく「立憲民主党→広告代理店(博報堂)→制作会社→CLP」という極めて不透明な形で政治資金を出したのはなぜか。政治資金が「中抜き」されてCLPの運営以外の目的で使用されることは本当になかったのか。一連の資金の流れに介在する「制作会社」とは何者で福山氏とはどのような関係にあるのか。立憲民主党から「制作会社」に流れる政治資金の総額はどのくらいなのかーー。

CLP問題は「政治とメディア」の癒着にとどまらず、立憲民主党の不透明な政治資金の使途を巡る問題でもある。私は『なぜ立憲民主党は「制作会社」経由でCLPへ資金提供したのか?カネの流れをすべて公開せよ!』で「疑惑の論点」を解説していた。そして「誠実でまっとうな政治」を掲げる西村幹事長が独自調査でその全容を解明することを強く期待していたーー。

ところが、西村幹事長が調査結果を発表した1月12日の記者会見はまったく期待外れの内容だった。彼女は福山氏や事務局の説明を鵜呑みにするばかりで、政治資金の流れを全面公開するそぶりをまったく見せなかったのである。第三者を入れた調査の実施も否定し、福山氏についても「違法性がない」として処分せず、今夏の参院選で公認する考えまで示したのだった。

党重鎮の「政治とカネ」に切り込むことができなかったのである。「誠実でまっとうな政治」は口先だけだったのか。

これでは腐敗を繰り返す自民党とどこに違いがあるのか。はたして自民党の腐敗政治を参院選で厳しく追及できるのか。自分たちの「スネに傷」があるから「批判型野党」の看板を降ろし「提案型野党」を名乗ろうとしているのか。不信感は増すばかりである。

それでは、その西村幹事長の「期待はずれ会見」を振り返ってみよう。

津田大介氏らCLP出演者の有志5人が立憲民主党からの資金提供を告発する「抗議文」を公表し、福山氏がCLPの理念に共感して資金提供したことを認めるコメントを発表した後、西村氏は党に残る決済資料を確認したうえ、福山氏や事務局から直接聞き取り調査をしたという。

その結果、博報堂と制作会社を通じて2020年3月〜8月に計4回の請求があり、同年5月から10月にかけて計1500万8270円を立憲民主党から博報堂へ支払ったことを確認した。

福山氏は西村氏に対し①フェイクニュースや不公正な差別に対抗する新しいメディアを作りたいというCLPの理念に共感して番組制作・運営一般に対して支援した②番組内容に影響を与える意図はなく番組への要求は一切していないーーと説明。西村氏は福山氏の経緯説明に間違いはないと判断したうえで、①特定メディアに公党が資金提供した事実を公表せず、出どころを隠していたのではないかと疑念を抱かれた②そもそも特定メディアに公党が資金支援することそのものに議論がある③資金提供の妥当性について組織として議論・検討した形跡がないーーという3点の理由から「違法ではないが、適切ではなかった」と結論づけた。

西村氏の調査結果のどこが不十分なのか。主な論点を整理してみよう。

疑問① なぜCLPに直接資金提供せず、博報堂と制作会社を介在させたのか?

最大の疑問は、なぜ博報堂と制作会社を経由して資金提供したのかということだ。純粋に「CLPの理念に共感」したと言うのなら直接支援すべきである。CLPへの資金提供を隠したかったのか? それとも博報堂や制作会社を介在させて「中抜き」させたのか?

はじめに、CLPへの資金提供を隠す狙いがあったのかという質問に対し、西村氏は「隠蔽の意図はなかったと説明を受けている」というばかりで、隠蔽の意図がなかったと判断する根拠を十分に示さなかった。

西村氏が説明したのは「一般的に広告代理店にまとめて発注し、その先に振り分けるやり方をしている」ということだけ。そもそも広告代理店に一括発注してその先を「ブラックボックス」にする仕組み自体に政治資金の流れを不透明にする「闇」があるのに、そこは問題視せず、「一般的に」という言葉でうやむやにしたといっていい。これでは政府与党と電通の不透明な関係を追及する資格を失うだろう。

記者会見では「CLPの理念に共感して資金提供するのなら『寄付』として扱い、政治資金収支報告書に寄付の相手としてCLPを記載すべきではなかったか」との質問も出たが、西村氏は「寄付にはあたらない」というばかりで、寄付ではないと判断した理由について明確な説明を避けた。

さらに問題がある。仮に「広告代理店にまとめて発注」するやり方が一般的だったとしても、広告代理店からCLPへ直接資金提供すればよいのに、なぜ「制作会社」を一枚かませたのか? この「制作会社」を介在させた理由について、西村氏は一切説明していないのだ(ここを追及しない政治部記者たちの質問も甘かった)。

複数の立憲民主党関係者から私のもとへ寄せられた情報によると、この「制作会社」は福山氏と極めて密接な関係だったという。この「制作会社」へはCLP関連以外にも立憲民主党から資金が流れ込んでいるのか?

立憲民主党から博報堂を経てこの「制作会社」へ至る政治資金の流れ(CLPへの1500万円に限らず全体の政治資金の流れ)の全容解明が、立憲マネーを巡る疑惑を晴らすには絶対に必要であろう。

疑問② 博報堂に提供した1500万円はその先どこへ行ったのか?

次の疑問は、西村氏が「立憲民主党から博報堂へ計1500万円を支払った」ことを明らかにする一方、博報堂から先の資金(博報堂→制作会社→CLP)はいつどのような形で提供されたのかを明らかにしなかったことである。

西村氏は博報堂から先の資金の流れについて「民民契約の内容なので申し上げることは控える」と述べた。まるで政府与党の答弁のようだ。

これではCLPへの資金提供が全額CLPのために確実に使われたのか、「中抜き」されたことはないのか、検証のしようがない。政治資金の使途としてそれでよいのだろうか? 立憲民主党は税金を原資とした政治資金が適正に使われていることについて責任を負うべきだろう。

西村氏の発言からは「博報堂から先の資金の流れを把握しているものの公表しない」のか「そもそも把握できていない」のかはっきりしなかった。おそらく福山氏の言い分を聞いただけで、幹事長としての全容を把握したと断言する自信がないのではないか。それほど「ブラックボックス」なのかと私は感じた。

CLPの理念に共感して資金提供するのに博報堂や制作会社を介在させるのなら、最初から「民民契約だから非公表」との言い訳を許してはいけない。仮にCLPへ直接資金提供できない特段の事情があり、博報堂や制作会社を介在させる必要があったとしても、資金の流れを全て公開することを約束させたうえで提供しなければ、マネーロンダリングの疑念を招くのは当然である。これは巨額の税金を原資とする政治資金の使途を巡る問題なのだ。

西村氏の説明は政治資金の「闇」に目をふさぐもので、真相究明に及び腰というほかない。まことに残念だ。

疑問③ 資金提供は「不適切」なのに福山氏を「処分しない」のはなぜか?

西村氏はCLPへの資金提供自体は「適切ではなかった」と認めた。一方で「違法とは言えない」として福山氏を処分しない考え方を示した。さらに福山氏を今夏の参院選京都選挙区で予定通り公認する考えも示した。

これは重大な発言である。政治資金を「不適切」に支出したのに「違法ではない」として処分しないのであれば、福山氏は何の政治責任も問われないのであろうか。立憲民主党として政治資金の「不適切」な支出のケジメをつけないのだろうか。

野党第一党が「違法でなければ責任を問わず」という姿勢を打ち出すことの重大さを、西村氏は理解しているのか? 

安倍晋三元首相の権力私物化(モリカケサクラなど)をはじめ政府与党の疑惑には「違法」なものもあるが、その大半は違法と言えなくても政治倫理に反したり政治不信を助長したりする結果として政治責任を問われるべきものである。「違法かどうか」と「政治責任を問われるかどうか」は別問題なのだ。野党もそのような姿勢で国会で追及してきたではないか。

福山氏は幹事長として、緊急事態宣言下の東京・歌舞伎町で遊興したとして高井崇志衆院議員を除籍処分にし、性行為への同意を判断できるとみなす年齢を巡る発言で本多平直衆院議員に党員資格停止の処分を決めた張本人である。二人の言動は「違法」ではない。しかし福山幹事長が下した「厳しい処分」で二人は政治的苦境に追い込まれ、いまは国会議員の立場を失っている。その二人の言動以上に、野党第一党の幹事長であった福山氏が公党の政治資金を不適切に支出したことが招いた「政治不信」は遥かに大きいと私は思う。

福山氏が幹事長というナンバー2の要職にあったことも考慮すれば「処分なし」の決定はあまりにバランスを欠くだろう。党重鎮にほど甘いのが立憲民主党の党文化なのか。それが西村幹事長が目指す「誠実でまっとうな政治」なのか。その程度の覚悟で「誠実でまっとうな政治」を掲げるのは、かえって政治不信を膨らませるだけだ。

西村氏は記者会見で「資金提供は福山氏の独断で決めたのか」「当時の枝野幸男代表は関与したのか」という質問への回答を避けた。立憲民主党で「独裁」と呼ばれる体制を築いてきた枝野・福山両氏の責任に踏み込むことはタブーなのか。党重鎮への配慮を優先して「誠実でまっとうな政治」を後回しにするようでは、西村氏に党再生など期待できない。

疑惑解明のための第三者委員会を設置しないことも、私には理解できない。立憲民主党は「政治とカネ」を透明化し、政治を浄化させるつもりがないのだろうか。こんなことで自民党の腐敗を追及できるのか。疑念は募るばかりである。

まだ遅くない。西村氏は「期待外れの記者会見」を反省してやり直し、第三者委員会を設置して疑惑の全容解明に全力を尽くす姿勢を表明したらどうか。そのような「不退転の決意」を示さなければ、西村氏への期待は一挙に萎んでいくだろう。

今夏の参院選にむけて、立憲民主党も、西村幹事長も、正念場である。


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