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野田佳彦元首相の安倍追悼演説に対するツイートで野党再編の行方が見える!これは政治家や言論人のリトマス試験紙だ

立憲民主党の最高顧問を務める野田佳彦元首相が行った安倍晋三元首相を追悼する国会演説。それぞれの政治家や言論人がこれを評価するかどうかは、彼らが支配者目線なのか、市民目線なのかを見極める格好のリトマス試験紙となるーーそう提起した私のツイートに大きな反響をいただいた。

インフルエンサーの「さよなら昨日の私」さんが早速続いてくれた。野田元首相の追悼演説について立憲民主党の国会議員たちツイートでの反応を4類型に分類し、それぞれの議員の「本性」を見極めて色分けしようと提案したのである。

この基準にあてはめると、①「絶賛する人」の代表例は以下のような議員たちであろう。

これに対し、もう一人の最高顧問である菅直人元首相や辻元清美参院議員はツイッター上では静観しており、③「全てをスルーする人」に分類できるのかもしれない。④「批判する人(暗にであれ)」として「さよなら昨日の私」さんが例にあげているのは、参院議員の杉尾ひでや氏だ。

確かにこの分類は面白い。野田演説に対する評価は、立憲が維新とともに岸田政権に急接近するなかで、今後予想される野党再編で立憲が分裂する際の「ミシンの目」を見極める有力なヒントになろう。①は自民との連携へ邁進し、④は野党陣営に踏みとどまり、②と③はどちらへ進むか揺れ動くーーということではないか。

政治家ばかりではない。立憲を支持する言論人も野田演説を称賛する声と批判する声に割れた。

そのなかで見逃せないのは、これまで立憲・共産・れいわ・社民の野党共闘を主導してきた市民連合のリーダー格である政治学者の山口二郎氏が野田演説を絶賛したうえで、以下のように明言したことである。

野田さんに悪罵を浴びせる識者、市民もいる。私は嘆息するばかり。そういう市民もふくめて野党共闘の体制をつくれと言われれば、私にはそんな芸当はできない、どうぞご自由にと言うしかない。これからの野党の基盤について、白紙から議論しなおす必要を感じる。

これはもはや「野党共闘の終焉宣言」といっていいだろう。

山口氏が単なる言論人としてこのような表明をするのは自由だ。しかし山口氏はこれまで市民連合のリーダー格として野党共闘を主導してきたプレーヤーである。その彼が「野党共闘の白紙化」を表明した政治的意味は極めて大きい。

衆参選挙の野党共闘は、野党第一党の立憲民主党が共産・れいわ・社民に呼びかけて合意をまとめて野党共闘全体に責任を負うという形ではなく、市民連合が主導して4党が同じ立場で合意に加わるという体裁を取った。この結果、立憲は野党第一党として共闘全体に責任を負って他の野党に譲歩するという態度を取らず、自分たちの議席増を最優先して数の力で他の野党に譲歩を迫るという歪んだ共闘に終始したのである。

立憲が維新と国会共闘で合意し、憲法9条や緊急事態条項の議論に前向きな姿勢を表明し、統一教会の被害者救済でも他の野党を外すかたちで自民・公明・立憲・維新の4党の枠組みで議論を進めるなかで、立憲執行部や野党共闘を主導してきた山口氏の発言を目の当たりにすると、共産をはじめ他の野党の支持層は梯子を外された気分になるのではないか。

私は野田演説に強烈な違和感を表明している。山口氏からみれば私も「共闘相手」の枠外に置かれたことになる。

しかし、これを機に「市民連合」の名の下にぼやかされてきた「野党支持層」の本質的な違いが浮き彫りになり、野党再編への機運が高まるのは一歩前進であると私は思っている。

立憲は野党共闘から維新との共闘、そして自民・公明・立憲・維新による4党政治へ、大きく舵を切った。他の野党(立憲一部勢力を含む)はこれまで立憲の議席維持に都合よく利用されてきたことを自覚するほかない。そろそろ目を覚まして「自民党と対峙するホンモノの野党第一党」を作り上げる野党再編に動く時であろう。

立憲民主党の異変について、ユーチューブ動画にもまとめました。ぜひご覧ください。

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