政治を斬る!

そもそもイカサマである「政治資金パーティー」という仕組みを廃止すべきだ!自民党の腰抜け政治改革では政治不信の解消はほど遠い

自民党の政治刷新本部の動きが鈍い。岸田文雄首相が1月中に中間的なとりまとめをすると表明しているが、現時点で固まっている改革案は①政治資金パーティー券の購入者名の公開基準を現在の20万円超から引き下げる②派閥が人事に関与することを禁止するーーの2点くらいだ。

いずれも「改革」と呼ぶに値しないような内容である。①政治資金パーティーの廃止②派閥解消ーーを打ち出せないようでは、信頼回復はほど遠いであろう。

🔸政治資金パーティー

そもそも「政治資金パーティー」という政治資金の集め方自体が嘘くさい仕組みである。

リクルート事件などの政治腐敗を受けた1990年代の政治改革で政治資金規正法が改正され、企業団体献金(以下、企業献金)は原則禁止され、例外的に政党(政党が指定する政治団体を含む)しか受けることができなくなった。政治家個人は企業団体から献金を受けることが禁じられたのである。

この法改正には抜け道が用意された。ひとつは政治家個人が企業献金を受けるため、いったん政党に献金してもらい、政党から政治家個人へ政治資金を移すという手法だ。もうひとつは政治家個人が政党支部の支部長に就任し、その政党支部が企業献金を受け取る手法。政党支部の政治資金は通常、支部長を務める政治家が管理しているため、事実上は政治家個人への献金といっていい。

さらに大きな抜け道となるのが「政治資金パーテイー」である。これはあくまでも「献金」ではなく、政治家側はパーティーを開催し、その「会費」を徴収するという名目で事実上の「献金」を集めるという体裁ととっている。企業は政治家個人への献金が禁じられているが、パーティー券の購入は認められているのだ。

自民党の場合、パーティー券は1枚2万円が相場だが、会場費や食費などのコストは1枚あたり数千円程度にとどまり、7〜8割にあたる1万数千円の「利益」は「事実上の献金」として政治家側の懐に入ることを認めているのである。

パーティーとは名ばかりで、実際にパーティーを開いていなかったり、開いたとしても参加者がゼロだったりした場合は「架空パーティー」として法に抵触する可能性があるが、合法か違法かをどこで線引きするかはあいまいだ。安倍派の西村康稔前経産相が裏金事件の渦中に開いた「架空パーティー」も昼休みに経産省職員を参加させる程度の代物だったが、本人は「法にのっとっている」と強弁した。

政治家個人や派閥が政治資金規制の抜け道として「パーティー」の体裁と取り繕って事実上の企業献金を受けるというイカサマの手法が合法的に認められていること自体が、政治不信の生む最大の要因だ。

今回の裏金事件を本気で反省するのなら、「政治資金パーティー」というイカサマのシステムそのものを全面禁止するほかない。政治家たちは自分たちの都合でこのような意味不明な仕組みを合法的に認めていること自体が大きな政治不信を生んでいることを直視すべきである。

そのうえで企業献金も全面禁止すべきである。政党助成金や公設秘書制度などの公的助成、個人献金などで十分に政治活動をやっていけるはずだ。

🔸派閥解消

自民党は1990年代の政治改革ですでに「派閥解消」を掲げている。それなのに、なし崩し的に派閥が復活してきたのだ。人事への派閥の関与を禁止するという方針は、大きな後退というほかない。

そもそも人事は非公式の世界で決定されていく、「派閥の関与」を禁止したところで、首相(総裁)と派閥会長のやりとりは表面化しにくく、実体的な効力はほとんどない。

派閥解消を明確に打ち上げたうえで、派閥の政治資金パーティーなどの資金集めに加え、政党から派閥や政治家個人への寄付も禁止し、政治資金面から派閥が成り立たなくなるような縛りをかけるべきだ。

派閥を支えているのは「カネ」である。派閥のカネの流れを断ち切れば、派閥は自然消滅する。カネを伴わない政策勉強会に姿を変えていくだろう。

もちろん権力闘争の世界で派閥が完全になくなることはありえない。それでも政治資金を厳しく規制することで派閥のあり方を大きく変えることは可能だ。

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