政治を斬る!

石破退陣が引き金に?30年に一度の政界大再編が迫る〜自公連立に加わるのは、国民か、維新か、それとも立憲か

いま、日本政治は30年に一度の大転換期に差しかかっている。自民・公明の与党は、ついに国会で少数与党へと転落し、予算や法案すら自力で可決できない異常事態だ。

こうした不安定な政権運営が長く続くはずもない。今後、政界地図を塗り替えるような再編が一気に動き出す可能性が高まっている。

その引き金となるのが、今夏の参院選を前にした「石破退陣」である。

少数与党の末路――奇跡の半年は続かない

少数与党による国会運営は、実に31年ぶりだ。1994年、羽田孜内閣がわずか2か月で崩壊した前例がある。そんな中で石破内閣が半年も続いているのは、まさに「奇跡」と言っていい。

だが、奇跡は永遠には続かない。政治を安定させるには、いずれ与党が再び過半数を回復しなければならない。その方法は二つしかない。第一は、衆院を解散して総選挙で勝つこと。第二は、立憲民主党、維新の会、国民民主党のいずれかを連立に加えて過半数を確保することだ。

しかし、自民党は裏金事件で信頼を失い、公明党は創価学会の組織力低下で選挙動員力が落ちている。今や自公だけで過半数を維持できる体力は乏しい。結局、連立の枠組みを広げることが現実的な選択肢となる。

幸か不幸か、野党側もまとまる気配はまったくない。立憲、維新、国民はそれぞれライバル視しており、共闘は夢のまた夢。だからこそ、自公には「次なる連立パートナーを選ぶ」という主導権が残されているのだ。

参院選後に進む「連立争奪戦」

参院選が近づくにつれ、野党3党の競争は加熱する。なぜなら、参院選で議席を伸ばした党こそが、自公から連立入りの誘いを受けやすくなるからだ。

参院選で躍進した党と組むことで、連立政権の支持率は上がる。つまり、参院選は「連立争奪戦」でもあるのだ。

選挙前に連立入りを表明すれば「与党に取り込まれた」と批判され、逆効果になりかねない。だからこそ、連立入りは参院選後が本命とされる。

選挙後、しばらく国政選挙がない時期に、政策実現を名目に連立へ加わり、実績を重ねて次の選挙で支持拡大を狙う。立憲も維新も国民も、そのタイミングを狙っている。

増税か、減税か――「大連立」が意味するもの

中でも注目は「増税大連立」の構想だ。立憲民主党が連立入りすれば、与党は衆院議席の8割超に膨れ上がる。まさに「現代の大政翼賛会」だ。

表向きの名目は「トランプショックへの国難対応」だが、真の狙いは「消費税増税」だと見られている。石破総理を筆頭とする自民主流派も、立憲の野田代表や安住氏らも、いずれも財務省に近い増税派である。財務省にとって、大連立こそが悲願の増税実現に向けた千載一遇の好機なのだ。

仮に自民が参院選で大敗すれば、石破総理が退陣に追い込まれ、野田佳彦氏が首相に就任する「与野党逆転人事」の奇策も浮上する。これは、自民内の反主流派による政権奪取を防ぐ狙いもある。

ただし、増税路線には当然ながら強い反発が起こる。減税志向の国民民主党やれいわ新選組は「増税大連立」に対し真っ向から対決姿勢を打ち出し、野党は減税勢力の集結地となっていく。

減税派が主導する「自公国連立」という道

一方で、まったく異なるシナリオも存在する。それが、「自公国連立政権」だ。

国民民主党は減税を掲げて勢いを伸ばしており、参院選で一定の成果を上げれば、連立のパートナーとして浮上する。

この場合、所得税、ガソリン税、さらには時限的な消費税減税という3つの減税を受け入れることが前提条件となる。財務省や石破路線とは真逆の方針だ。

ここでキーパーソンとなるのが玉木雄一郎代表である。人気も実力も兼ね備えた玉木氏を総理に担ぐ形で、衆参同日選に突入する――そんな大胆なシナリオも現実味を帯びている。

これは財務省にとって悪夢だが、有権者にとっては「生活実感に訴える政策」であり、大きな支持を得る可能性がある。玉木総理を主役に据えたうえで、麻生太郎氏らベテラン勢が後見人として政権を支える構造も見えてくる。

維新は「数合わせ」の最短ルート?

そして、もう一つの選択肢が「自公維連立」である。

維新は衆院の議席数で国民民主を上回り、連立の数合わせとしては都合がよい。しかし、吉村洋文大阪府知事は国会議員ではなく、連立政権の首相にはなれない。国民民主党から合流したばかりの前原誠司共同代表と大阪維新の会の間には深い溝があり、内部対立も深刻だ。

維新が連立入りしても補完勢力の域を出ず、「都合よく使われる」恐れがある。まさに現状維持型の政権だ。一方、維新が連立内部から連立離脱カードをちらつかせて、次々と自民党に要求を突きつける展開も十分に予想される。この場合は政権は安定せず、政界再編含みの展開が続くことになる。

結末は参院選後に訪れる

いずれにしても、鍵を握るのは今夏の参院選だ。石破内閣がこの選挙で大敗すれば、退陣とともに政界再編が一気に加速する。

新たな連立、そして新たな総理の誕生。増税か減税か、与野党の枠を超えた政権の枠組みが、日本の進路を決定づける。

30年に一度の政局のうねりが、いま静かに、しかし確実に近づいている。