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参政党の台頭、国民民主の失速 揺らぐ「第三極」の主役交代

2025年参院選――世論の大きなうねりが「第三極」の構図を塗り替えようとしている。
共同通信の最新調査では、比例投票先で参政党が自民党に次ぐ第2位に急浮上。立憲民主党や国民民主党を逆転したのだ。

この結果は、単なる偶然でも一過性のバズでもない。全国各地の選挙区で、参政党が国民民主党を上回る勢いを見せつつある。
特に、3人区の東京・千葉・兵庫・福岡・北海道は、国民と参政が直接対決し、「新たな主役はどちらか」を決める選挙区として注目を集めている。

東京と千葉、明暗を分けた“看板候補”

象徴的なのが、首都・東京だ。
当初は圏外扱いだった参政党のさや氏が急浮上。保守系ネット番組のキャスター経験を活かし、積極財政の意義を力強く訴える姿が保守層の共感を呼んでいる。
対照的に、国民民主党の目玉候補・牛田まゆ氏(元NHKアナ)は失速。お行儀のよい演説が逆に“担がれ感”を漂わせ、当落線上に沈みつつある。

隣の千葉も同様だ。
当選枠3に対し、立憲・野田代表の地元である長浜博行氏が先行。自民の石井準一氏も健闘し、最後の1枠をめぐって、国民の小林さやか氏と、参政の中谷めぐ氏が競り合っている。

中谷氏はネイルサロンを営む自営業者。家庭の医療経験をきっかけに政治に関心を持ち、参政党に加わった草の根候補だ。
東京での参政党躍進を受け、無党派層が中谷氏に流れれば、国民民主の二人擁立作戦は崩壊する。

地方でも露わに 沈む国民、浮かぶ参政

西日本でも、参政と国民の対照的な明暗が広がっている。
兵庫では、自民・維新・公明に加え、無所属の泉房穂氏(前明石市長)が加わり、大混戦。
維新の地盤である関西において、国民民主の多田ひとみ氏は立花孝志氏(NHK党)にさえ遅れをとるほどの苦戦だ。

逆に参政の藤原誠也氏は、草の根からの支持を拡大中。福岡では、公明現職の下野六太氏がリードするが、国民の川元健一氏と参政の中田優子氏が猛追。
終盤戦の勢い次第では、参政が一気に浮上し、公明を押しのける可能性も出てきた。

北海道も同様だ。
立憲と自民の現職が先行するなか、3人目の枠を、自民、国民、参政が激しく争っている。勢いという意味では、やはり参政が一歩リードしているように見える。

ポジションを失う国民民主党

こうした現象は、単なる個別選挙区の話にとどまらない。
国政におけるポジション取りの構図――いわば「政治的マトリクス」において、国民民主党の立ち位置が揺らいでいるのだ。

このマトリクスは、左右がイデオロギー(憲法、安保、人権)、上下が経済財政(格差・世代間分配)を示すとすれば、
自民党は右上、立憲は左上、れいわは左下、そして、かつての公明が陣取っていたのが右下だった。

その右下ポジションを巡り、国民民主党と参政党が火花を散らしている。
減税や積極財政を掲げ、保守層の支持を狙った国民民主党は、かつてこのポジションを独占していたが、山尾志桜里ショックをきっかけに保守層の一部が離反。
「日本人ファースト」「草の根保守」を前面に出す参政党に流れた。

玉木代表は巻き返しを図るべく、選択的夫婦別姓への慎重論を打ち出し、立憲との距離を強調している。
だが、いったん失ったポジションを取り戻すのは容易ではない。

「第三極」の主導権争いが始まった

参政党の急成長は、単なるネット人気ではない。
地方議会での基盤形成、全選挙区への候補擁立、そして参院選でのマスコミ報道増――すべてが、第三極の主役交代を示唆している。

今後、自公政権が参院で過半数を維持しても、衆院では過半数割れの危機に直面している。政権の安定には「連立の拡大」が不可欠となり、最も現実的な相手が立憲民主党だ。

この「大連立」が現実味を帯びる中、財源確保のための消費税増税が議論されることは避けられない。

その時、減税を旗印に対抗軸を築けるのは誰か。
国民民主党か、それとも、参政党か――。

今回の参院選は、単なる中間選挙ではない。
「第三極の覇権争い」そのものなのだ。