政治を斬る!

【参政党vs公明党】激戦の4人区が政界再編の分水嶺になる

2025年の参院選――その主役は、意外なところから登場した。

最大の勝ち組は、間違いなく参政党
そして最大の負け組は、かつての「常勝軍団」公明党かもしれない。

各社の情勢調査で注目されるのが、神奈川・大阪・愛知・埼玉の「4人区」だ。どの選挙区でも、最後の1議席を巡って、公明党と参政党が真っ向から激突している。

もし公明党が全敗すれば、自公与党は過半数を割り、石破政権は一気に退陣圧力に晒されるだろう。
逆に参政党がこの4選挙区すべてを制すれば、全国で10議席超を獲得し、自民・立憲・国民に次ぐ第4勢力として政界再編の核になる可能性がある。

この4つの4人区は、まさに日本政治の「分水嶺」だ。


神奈川――弁護士 vs 警察官

神奈川では、立憲(牧山ひろえ)、自民(脇雅昭)、国民(籠島彰宏)の3人が先行。当選圏内にいる。

残る1議席を、公明党の佐々木さやか(現職・弁護士)と、参政党の初鹿野裕樹(新人・元警察官)が争っている。佐々木氏は3期目を目指すが、まさかの4番手に転落。長らく「公明の女性議員のエース」と目されてきたが、創価学会の高齢化に伴う組織力の低下に直面している。

対する初鹿野氏は、柔道7段、警視庁勤務23年という異色の経歴で保守層に訴える。
自民党は候補を一人に絞っており、終盤に公明へテコ入れする可能性はあるが、逆風を跳ね返せるかは不透明だ。

「公明を落として与党過半数割れを狙え」という無党派層の“戦略投票”が広がれば、初鹿野氏が一気に抜け出すシナリオもある。


大阪――常勝関西が崩壊寸前

大阪では、維新の新人2人と、自民の柳本顕(元衆院議員)が上位を固めた。
公明党の杉久武は4番手。こちらも厳しい情勢だ。

「常勝関西」と呼ばれたかつての面影はない。昨年の衆院選で維新と決別して以降、組織は弱体化。参院選でも維新・自民に押され、苦戦している。

対する参政党の宮出ちさとは、同党の「演説甲子園」で優勝した実力派。共産党家庭の出身という経歴を持ち、政策転向の背景も含めて“物語性”がある。40代女性として、組織型の公明党に対し、草の根支持を広げつつある。

神谷宗幣代表の地盤でもあった大阪は、参政党にとって東京と並ぶ「最重点選挙区」。都議選での躍進を受けて報道露出も増え、支持率は右肩上がりだ。


愛知――「指定席」を揺るがす参政の風

愛知では、自民(酒井庸行)、立憲(田島麻衣子)、国民(水野孝一)が有力。
最後の1枠は、公明の安江伸夫と、参政党の杉本純子が争っている。

公明・安江氏は38歳の弁護士で、党内最年少のホープだが、参政党の勢いに押されている。一部情勢調査ではすでに杉本氏が上回っているとも言われる。

杉本氏は、建築内装業を営む“生活者”目線の候補。外国人生活保護や食料自給率問題など、保守的な争点を掲げて、組織を持たない層を着実に取り込んでいる。

“無風区”と見られていた愛知においても、地殻変動が進んでいる。


埼玉――組織政党が追い込まれる

埼玉は、自民(古川俊治)と立憲(熊谷裕人)が抜け出し、残る2議席を巡って大混戦となっている。

公明(矢倉克夫)、国民(江原久美子)、参政(大津力)、共産(伊藤岳)の三つ巴――いや、四つ巴だ。

とくに注目すべきは参政党の大津氏。飯能市議からの転身で、地方議会での実績を引っ提げて戦う。共産党の失速、れいわとの票割れ、そして無党派層の流動化――追い風は確実に吹いている。

埼玉で参政党が国民と公明を同時に打ち破れば、それは単なる「一勝」ではなく、既成政党の終焉と新勢力の台頭を象徴するエポックとなるだろう。


「第4政党」への台頭はあるか

この4つの4人区は、いずれも公明党と参政党の一騎打ちという構図になった。
ここで参政党が全勝すれば、比例と合わせて10議席以上――野党第2グループとしての存在感を一気に確立する。

一方で、公明党がここで躓けば、党内体制の見直しは避けられず、長年の「与党第2党」の地位が根底から揺らぐ。

石破政権の命運と、次なる政界再編のトリガーは、これら4人区の行方にかかっている。