島根原発2号機が再稼働した。2011年の福島第一原発事故後に運転を停止していたが、自公政権の原発推進政策を受けて13年ぶりの再稼働となる。
円安加速による物価高・原油高を受け、与野党には原発容認の動きが強まっている。総選挙で躍進して国会の主役に躍り出た国民民主党は、自公政権より踏み込んで、原発の新増設を主張している。
彼らの主張の根拠は「原発の方が安い」だ。しかしこれは事実ではない。
電気料金は、さまざまなコストを考慮して政府や電力会社が決めている。原発には単なる発電コストだけではなく、安全管理費、地元対策費、さらには将来の核廃棄物の処理経費など、莫大なお金をかかる。それをどこまで電気料金に反映させて利用者に転嫁するのか、他方、どこまで税金で負担するのかは、政府のさじ加減ひとつで変わってくる。
原発は安全管理を強化するほどお金がかかる。福島第一原発の事故を受けて、世界各地で安全対策の強化を求める声が広がり、原発コストはどんどん上がっている。先進国では「原発は高くつく」が常識だ。「原発は発展途上国のエネルギー」という認識も広がっている。既存の原発を再稼働するよりも、原発を新増設するとなるとますます高くつく。
さらに日本では核廃棄物の最終処分場も決まっていない。現在は海外に核廃棄物の処理を依存している。これから核廃棄物の処理コストもますますかさんでくるだろう。
現在・過去・未来の国民の「電気料金負担」に「税負担」をあわせたトータルコストで考えれば、原発は間違いなく高くつく。政府や電力会社が恣意的に決めた「今の電気料金」だけで「原発は安い」というのは、明らかなミスリードだ。マスコミはトータルコストを追及せず、政府の試算を垂れ流すして「原発は高くつく」と報じている。政府の試算を無批判で垂れ流すのは、原発報道も、税制報道も、まったく同じだ。