7月の参議院選挙が目前に迫るなか、その前哨戦と位置付けられた東京都議会議員選挙が行われ、自民党は歴史的惨敗、公明党と共産党も大きく議席を減らしました。立憲民主党や国民民主党も勢いを欠き、唯一勝利を収めたのは、小池百合子知事率いる都民ファーストと、急浮上してきた参政党でした。
この都議選の結果を受けて、参院選東京選挙区も史上空前の大混戦に突入しています。当選枠は7。主要政党が複数候補を擁立する中、当選争いは予測不可能な領域へ突入しました。
都議選の影響を踏まえつつ、参院選東京選挙区の情勢を読み解いていきます。
乱立による当選ラインの低下と組織票の影響
東京選挙区は通常6議席ですが、今回は補欠枠が加わり7議席が争われます。これに対し、自民2人、立憲2人、国民2人に加え、公明、共産、維新、れいわ、参政、保守、社民、再生の道と、主要政党だけで14人が名乗りを上げています。
これほどの候補乱立となれば、当選に必要な票数は通常よりも下がり、組織票の力がより重要になってきます。
まず当選が確実視されるのは、公明党の川村貴大氏と共産党の吉良よし子氏です。都議選では公明党も共産党も議席を減らしましたが、それでも底堅い組織力を有しており、この2人は盤石でしょう。
そして次に浮上するのが、国民民主党の牛田茉友氏。元NHKアナウンサーとして知名度が高く、当初は無党派層の支持を集めてトップ当選も期待されていました。しかし国民民主党は「山尾ショック」と玉木代表の相次ぐ失言で支持率が急落。都議選でも目標の11議席には届かず、勢いに陰りが見えています。
それでも他の候補と比べれば牛田氏の知名度は頭ひとつ抜けており、組織力と一定の無党派票で当選圏内にいるとみられます。
この時点で、当選確実ラインは川村氏(公明)、吉良氏(共産)、牛田氏(国民)の3人が確保。
自民・立憲の苦戦と“二人目問題”
続いて注目されるのが、自民と立憲の二人目候補者です。
自民党の武見敬三氏は参院議員会長という重鎮であり、厚生労働大臣経験者という肩書きもあります。組織票では鈴木大地氏より優位に立ち、当選圏内でしょう。
立憲民主党の塩村文夏氏もメディア露出が多く、知名度は高い。ただし、立憲も都議選で存在感を示せず、自公批判票の受け皿になり切れていません。それでも消去法的に支持が集まり、こちらも当選圏に残ると見られます。
ここまでで5枠が埋まり、残る2枠が最大の焦点となります。
自民党の二人目である鈴木大地氏は知名度抜群の金メダリストですが、無党派層の反応は微妙。支持層が高齢化し、森喜朗元総理とのつながりがむしろマイナスに働く場面も。自民党は組織票を武見氏に集中させる必要があり、鈴木氏には厳しい局面が待っています。
立憲の二人目である奥村政佳氏、国民の奥村展三氏(※候補の混同に注意)は、どちらも地力不足が否めません。
急浮上した参政党とれいわの巻き返し
そんな中で最大の台風の目となりつつあるのが参政党です。
参政党は今回の都議選で4人中3人が当選し、れいわや維新を凌駕する存在感を示しました。擁立する「さや」氏は歌手であり、保守系メディアでも顔が知られています。保守層の支持を取り込むだけでなく、小池知事を支持する無党派層も流れ込む可能性があります。
一方、れいわ新選組も巻き返しを図ります。都議選では全員が落選しましたが、東京は山本太郎代表の地盤。れいわの山本ジョージ氏もまだ当選争いに残っており、今後の展開次第では再浮上の目があります。
維新は都議選で全滅し、再生の道や保守党も勢いに欠ける状況で、実質的には最後の2枠を参政党のさや氏、鈴木大地氏(自民)、山本ジョージ氏(れいわ)が争う展開になってきました。
参院選東京選挙区の結末は?
これまでの情勢を踏まえれば、以下のような当落予想が立てられます。
- 確実圏:川村貴大(公明)、吉良よし子(共産)、牛田茉友(国民)、武見敬三(自民)、塩村文夏(立憲)
- 当落線上:鈴木大地(自民)、さや(参政)、山本ジョージ(れいわ)
既存政党の退潮と新興勢力の台頭が同時進行する東京選挙区。果たして勝者は誰になるのか。
政治の地殻変動が本格化するのは、まさにこれからです。