中道改革連合は崩壊し、高市政権は揺れているのに強い――。最新の世論調査は、日本政治がいま、極めてねじれた局面に突入していることを鮮明に示している。
4月13日に報じられたNHKの世論調査。最も注目すべきは、高市早苗首相率いる内閣の支持率が61%と、前月より上昇した点だ。本来であれば、支持率が下がって当然の局面である。政権内部からのリーク、いわゆる「隠し部屋」問題、さらにはサナエトークンをめぐるスキャンダル報道。加えて物価高や中東情勢など、逆風材料は枚挙にいとまがない。それでも支持率は上がった。
この不可解な現象を読み解く鍵は、「支持の中身の変化」にある。与党支持層では9割近くが内閣を支持する一方、野党支持層の支持は3割台にとどまる。かつてのような「幅広い合意に支えられた政権」ではなく、「支持と不支持がくっきり分かれる分断型政権」へと変質しているのだ。言い換えれば、高市政権はコア支持層を強固に固めることで、多少の逆風では揺らがない構造を手に入れたのである。
この構造変化は、自民党の支持率にも表れている。自民党は38.2%と大きく伸ばし、「内閣は強いが党は弱い」と言われた発足当初の構図は完全に逆転した。高市人気がそのまま党支持へと直結し始めている。党内では「一強」への不満がくすぶるが、支持率という現実の前に「高市おろし」は封じ込められている。政権の生命線は、まさにこの高支持率にある。
しかし、連立や補完勢力に目を向けると、様相は一変する。日本維新の会は低迷し、党内には不協和音が広がる。国民民主党も支持率を伸ばせず、与党との距離感に苦しんでいる。いずれも「与党か野党か」という立ち位置を定めきれず、宙ぶらりんの状態にある。
そして、より深刻なのが「中道」の崩壊だ。支持率はわずか2.5%。しかも、立憲民主党を下回った。これは単なる低迷ではない。政治勢力としての存続すら危ぶまれる水準である。
なぜここまで崩れたのか。第一に、国会での存在感の欠如だ。参院議員を持たない中道は、予算審議の主戦場から姿を消し、有権者の視界から消えた。第二に、支持層の回帰である。総選挙で一時的に流入した支持者が、結局は古巣である立憲や公明に戻った。第三に、合流戦略の失敗。議席を伸ばして他党を吸収する構想は、総選挙の敗北で完全に頓挫した。
結果として、野党は「行くも地獄、退くも地獄」の状態に陥っている。立憲はわずかに持ち直しの兆しを見せるが、支持基盤は高齢層に偏り、無党派層への浸透力は弱い。公明も同様だ。かつて中道新党に託された「無党派の受け皿」という役割は、いまや宙に浮いている。
では、その空白を新興勢力が埋めるのか。現時点では、その兆しは限定的だ。参政党は伸び悩み、特に女性支持の低下が目立つ。日本共産党はコア支持層の結束で一定の回復を見せるが、広がりには欠ける。れいわ新選組は支持率1%割れと厳しい状況に直面している。
こうして見ると、日本政治は「自民一強・野党他弱」という構図に再び収斂しつつある。しかし、その内実はかつてとは異なる。自民党もまた、党内に亀裂を抱え、高市官邸との緊張関係をはらんでいる。外から見れば盤石、内側では不安定――それが現在の政権の実像だ。
最大の問題は、政権に不満を持つ層の受け皿が存在しないことである。本来であれば、こうした不満を吸収し、政権交代へのエネルギーに転化するのが野党の役割だ。しかし、その野党が崩壊している。だからこそ、スキャンダルが続いても政権は倒れない。
この「ねじれた政治」は、今後さらに鮮明になるだろう。高市人気が続く限り、自民党は選挙で優位を保つ。一方で、野党が再編に失敗すれば、政治の選択肢はますます狭まる。
中道は再生できるのか。それとも、新たなリーダーが台頭するのか。あるいは、このまま長期的な一強体制が続くのか。いま問われているのは、単なる支持率の上下ではない。日本政治そのものの構造転換なのである。