内政・財政・外交で暴走する自公政権。危険なマイナンバーカードの半強制的実施、木原誠二官房副長官の妻の元夫の不審死事件(Samejima Times)、機能しない三権分立(「憲法9条変えさせないよ」さんの詳しい解説)とマスコミ、未だ解決しない統一協会問題…偽民主主義に見える政治が横行しています。
「自公立の相乗り政治」に自称「第二自民党」の維新、「自公と協調路線」の国民民主。政権交代して日本の政治の立て直しは、どうなるの? このまま落ちるところまで落ちるの? という状況です。
そのなかで、7月25日の「自公立国が相乗り・神戸市長の支援も受けた現職を、泉房穂・前明石市長の支援を受けた無名の新人が倒した兵庫県三田市長選の衝撃」(Samejima Times) は政権交代につながるのでは!?という期待が高まる出来事でした。
泉前明石市長が応援した選挙での勝利は、豪州での2022年5月の国政選挙での大きな変化と重なるものがありました。今後の展開の少しでも糸口になればという思いで紹介したいと思います。
豪州の前政権も9年の間に日本にも負けない驚くべき不正・腐敗・汚職が浮上し、世論で問題視されていました。前連立与党・現連立野党は、「自由党」裕福層派、「国民党」地方の農業や産業と関連したより右派、更にクイーンズランド州で合体した「自由国民党」です。今後は連立と記します。
豪州は英国の植民地支配から始まったので、英国からの影響があり、その歴史的な背景から2大政党は連立(裕福・資本家・支配者層と宗教)と労働党(労働者・庶民)です。選挙区も絶対に労働党やより庶民派のグリーン党には投票しない層が多い、ブルーリボンBlue ribbonと呼ばれる裕福層の選挙区があります。連立の色もブルーです。
その地域の人々は気候や環境に高い問題意識をもっています。しかし、石炭やガスという地球温暖化を起こしている産業を連立政権は癒着し、これらの問題に取り組もうとしません。いくら労働党が環境問題に取り組む政策をあげても投票したくない多くの有権者は、選択肢がないことに不満を覚えていました。また、米国の覇権が両2大政党に及び、その限界や危険性を訴える人も増えています。
その一人が、南アフリカ生まれで豪州に移住し「豪州の崩壊した政治が、この国の問題だ。だから我々はここにいる」と表明したSimon Holmes à Courtでした。
彼が政党ではなく「政治コミュニティー」という新しい形を思いついたことが、2022年の政権交代を可能にした一要因と見られます。彼はこの思い付き「Epiphany」をつかんだという人もいました。Epiphanyとは「非常に重要なことを突然理解したように感じる、または突然意識する瞬間」です。
「コミュニティー」というものをよく見聞きします。芸術・スポーツ・音楽・園芸・宗教・地域の問題など共通する思い・価値・問題などを共有し交流や活動をする地域の人々の集まりです。Wellbeingと呼ばれる「自分自身と自分の人生についてどのように感じているか」を自分で分析し、身体的だけでなく精神的・感情的・社会的に健康な活動を行うことで人生の満足度を上げるという効果もあります。この連載の初回で紹介したエンデの時間泥棒の話「モモ」の主題「どのように時間を使うか」に通じることだと思いました。
日本でも「コミュニティー」とは意識したり呼んだりしなくてもそのようなグループがあると思います。問題がある統一協会に入会し活動する人々は、自分の居場所や関わりや支えを求めているのではないかと思います。もしその人々の周辺に、それに代わる相応しい「コミュニティー」があれば、起こらなかったかもしれません。明石市では、子育てを中心に市民の方々がふれ合い、助け合う一種のコミュニティーのネットワークが出来上がり、暮らしやすい地域として成長したのだと思います。
Simon Holmes à Courtはヴィクトリア州VictoriaのブルーリボンKooyongという選挙区で、自由党で、将来の首相候補と目されていた前財務大臣Frydenbergを支持し、Kooyong200という募金活動を手伝っていました。しかし、2018年地球温暖化防止のためにある炭鉱の閉鎖を支持する記事をガーディアン紙に投稿したことをきっかけに、Frydenbergから冷遇され2019年には、Kooyong200の集まりに出席していたところ、注文したばかりのワインを飲むことさえ許されず出て行くよう指示され、グループから排除されてしまいました。
これを機会に彼は、Climate200というコミュニティーを思いつき、立ち上げ、政党に所属しない「インデペンデント/Independent/自立独立者」(日本では無所属)と呼ばれる候補者たちの募集と支援を始めます。ちなみに読者や視聴者からの寄付で運営するジャーナリストも「インデペンデント自立独立者」と呼ばれます。
この自立独立した候補者たちは、通常なら連立(ブルー)が必ず勝つ選挙区に、環境(グリーン)問題解決をあげることから、2色を混ぜた色「ティールTeal」とも呼ばれるようになりました。ティール候補teal candidate・ティール独立議員 teal independent・ティール革命teal revolution・ティール議席teal seat・ティール火山 teal volcano ・ティールの波teal waveなど応用して頻繁に使われ、「ティール」は2022年の豪州新語流行語大賞に選ばれました。(こちら参照)
Simon Holmes à Courtはこれについて「Tealと呼ぶ必要があるならそう呼んでもいい、でも今何が起こったのか理解するために、本当に地域の自立独立の運動であり『コミュニティー 』と 『インディペンデント 』という言葉の意味を忘れないでほしい」と選挙後にツイートしていました。
Climate200についてそのホームページから紹介します。(ホームページはこちら)
「Climate200は、以下のことを約束する政治家候補を支援する、コミュニティーによるクラウドファンディング活動です。
1気候危機への科学的根拠に基づく対処
2政治の公正誠実
3女性の尊重と安全を推進
もちろん、約束を守る限りそれ以外の活動や政策を地域のコミュニティーと候補者で行うこともできます。政党のように縛ることなく、あくまで募金活動と支援に徹底しています。
2019年の連邦選挙を前に、気候科学を否定し、既得権益に溺れ、気候変動に対する実のある行動を遅らせることを傍観するわけにはいかないと考える、オーストラリア国民の有志によって設立されました。
私たちのビジョンは、オーストラリアの州や国の全ての政府が、気候危機に対して科学的根拠に基づいた対応をすることです。
Climate200は政党ではありません。キャンペーンを始めたり、候補者を選んだり、候補者の代弁をしたり、政策を独裁したり、メンバーを持ったりすることはありません。私たちは、シンプルで、強力なコミュニティ・キャンペーンに資金と支援を提供するだけです。
私たちの寄付者と価値観が一致するコミュニティー支援キャンペーンを実施している方は、ぜひご連絡ください。
Climate200 活動
1. 地域独立派層を支援し、オーストラリア政治の行き詰まりを打破するための効果的で信頼できる望ましい解決策としの戦略的コミュニケーション。
2最も戦略的な選挙区において、ベストな価値観に沿った最良のキャンペーンを特定し、効果的かつ効率的なキャンペーンを実施するために必要なデータとリサーチで支援するための分析。
3. コミュニティーグループとその候補者が勝利するためのキャンペーン活動計画と必要な道具・戦略・専門知識
4. 成功の可能性が最も高い、または戦略的効果が最も高い候補者に直接資金を提供します。
運営方法
Climate200の規約は、非営利の有限会社であることを明確にしています。
Climate200のウェブサイトを通じて集められた資金は、Climate200の価値観を共有するコミュニティ独立派層の支援に使われます。
クライメート200の支出は、連邦および州の選挙法に従って公開され、毎年独立監査を受けています。
明石市の隣の三田市は、「市民病院の廃止と神戸市病院への統合」に反対する市民運動+目的を共有する候補者+泉房穂前市長のチームワークの相乗効果でパワーアップしました。政治経験のない田村克也新市長が自公立国相乗り現職に勝利したことは、Climate200の「候補者」と「コミュニティー」それを支える「エキスパート」の存在という点で共通していると思いました。また、自公政権の常勝の一要因は、創価学会や統一協会(コミュニティ―と呼べるかどうかは別にして)の信者の熱心な支援であるということは、広く承知されています。
2020年国政選挙、下院(衆議院)でTealは、151議席中11議席を獲得し最大の第三勢力となりました。独立候補同士、各党と柔軟に協力し、様々な成果をあげていますが、一番注目された大きな成果は「独立機関 反汚職委員会」設立への貢献でした。
日本でも大変難しい国政選挙を勝ち抜いた無所属議員の方々がいます。しかし、二党制が有利に働くように設定されたルールのもと、選挙活動や議員としての活動が制限され、メディアからもほとんど取り上げられません。民意を反映した政党が健全に働く状況では、チームとして法案やその施行を効果的に行えるので、大きな政党の利点も大きいですが、腐敗した偽民主主義の下では、利権や保身が目的となり衰退を加速させることも往々にしてあることを目の前にしている今、政治を浄化し健全に保つための小中規模政党や独立(無所属)も力を発揮できる仕組みやルールの変更が必要だと思います。
そして、どんなに汚職や不公正な政治を行っても、受け皿がなく自公が選挙で勝てるという政権のおごった状況に終止符を打つためには、それを目指しながらもバラバラになっている野党議員や独立(無所属)議員が団結して、そのパワーを国民にインパクトのある形で示せば可能性が見えるのではないでしょうか。
すでにいろいろと考えておられて、失礼で差し出がましいとは思いますが、例えば、泉房穂前市長や市民連合の取り組みを「オールスター野党」という日本復活を目指すコミュニティーに編成し、ネットワークを広げてはどうかと思います。目的はとにかくリセットし真民主主義を確立し日本を復活させること。最低限の合意(例えば、政権交代を目指し自公には移籍しない・不正政治の是正・原発廃止・公平な税制・子育て介護援助・戦争に参加加担しない等)のもと、各野党(党が許すのかどうか定かではないですが)や独立議員から参加を個人的に募り、推薦し応援する。
成功させるために、中心となりまとめ役、政治センスや経験、影響力のある方、例えば、泉房穂前市長や鳩山由紀夫前首相(エキスパート)・各野党や独立候補からのキーパーソン・Simon Holmes à Courtのように国を復活させたいという慈善家がタックを組んで、スタッフを募りコミュニティーチームを組織・運営することで、期待をもつ有権者が増え投票に足を運び、親しみやすそうな活動に参加しようとする人も増えれば盛り上がり、平和で、しかし大きなうねりの革命を日本で起こすことができる可能性があるのではないか。簡単ではない、成功しないかもしれない、でもやらずに万年自公政権で衰退を放置するより、やってみる価値があると思います。
「三田市も泉さんが応援に来て変わっていこうとしてるから次の市長選挙は絶対に行こう」というツイートがありました。
人類学者Margaret Meadの「思慮深く献身的な少数の市民グループが世界を変えることができることを決して疑ってはなりません。確かに、これまでに存在する唯一のものです。」という言葉もあります。これは、日本の明石市・三田市・埼玉県蕨市(共産党5選市長)でも証明されました。
下は2022年選挙中の主要メディアも大々的に取り上げたClimate200の活動ビデオです。
コメンテーター「(モリソン首相/自由党が女性たちとのいさかいが絶えなかった)この年の後に、再び首相となるための一番の脅威が、女性の独立候補者たちだとは、なんと皮肉な事でしょう」
Simon Holmes à Court「政治は何千億円Multi-Billion Dollarゲームになった。2019年だけで連立は$65ミリオンの出資不明の献金を受け取った。Clive Palmer(豪州長者番付5位でオーストラリア団結党党首)は$80ミリオンをつぎ込んだ。政党は、Goliath巨大兵士で、八百長ゲームを仕掛けるようになった。ダビデとゴリアテDavid and Goliathの戦いで、ダビデは勝利しました(誰も立ち向かおうとしない巨大兵士ゴリアテに、羊飼いのダビデは小さな石を投石で放ち、ゴリアテの額に当て倒れたゴリアテの首をとったという旧約聖書の物語)。選挙キャンペーンにボランティア参加してください。家のフェンスやアパートの窓にポスターを貼ってください。近所の人に話してみてください。寄付をしてください。この機会を見逃してはいけません」
このコラムが書き終わるころ、なでしこJapanのゲームが始まりました。スペインに4-0の大勝利です!しかもグループステージでは、得点を許さない守備でした。スペインが4失点したのは、2012年のスイス戦以来だそうです。コラムの内容となでしこのゲームが重なり、うれしい勝利と複雑な思いも上がってきました…が、とにかく8月5日(土)ノルウェーとの決勝トーナメントを楽しみにしたいと思います。
「何というパフォーマンスだ!なでしこ👏」
今滝 美紀(Miki Imataki) オーストラリア在住。 シドニー大学教育学修士、シドニー工科大学外国語教授過程終了。中学校保健体育教員、小学校教員、日本語教師等を経て早期退職。ジェネレーションX. 誰もがもっと楽しく生きやすい社会になるはず。オーストラリアから政治やあれこれを雑多にお届けします。写真は、ホームステイ先のグレート オーストラリアン湾の沖合で釣りをした思い出です。