アイスランド人の甘いもの好きには目が回りそうになる。初めてアメリカでケーキを食べた時も、キョーレツに甘くて二口でギブアップした。その時の悪夢(?)がこの国でも繰り返される。
甘いもの好きの定義とはいかなるものなのか?私は甘いものは好きだ。同時に、そして裏腹にも砂糖が大量に投入された食品ほど苦手なものはない。
これ、半分以上が砂糖だよね?という菓子やクリームは、口にしたトタン脳天にガツンとパンチをくらったようになり、舌が痺れて絶句する。そういうものに出くわすと、今では素直に残すことにしているけど、若い頃は皿に取ってしまった手前、食べ残すことが申し訳なくて、無理やり喉の奥に流し込んだものだった。
甘さには「適度」というものがある。「適度」は適度であり、控えめである必要さえない。日本の菓子は甘さが控えられすぎていることが多く、それも何だかぁと思うのだ。甘すぎず、がっつり甘いのがいい。それも、変な代替甘味料ではなく、普通の砂糖がいい。難しいよね、ごめん。
アイスランドは乳製品がとても美味だ。アイスランドを訪れ始めた頃はよくミルク・チョコを食べたし、とても美味しかった。が、いつしか私はダーク・チョコレート派となり、ミルク・チョコはあまり口にしなくなった。
そして毎年やってくるのがイースター。私は宗教に興味がないため、この国に移り住むようになっても「キリスト教イベント=休日」という図式しかない。彼も宗教に興味はないけれど、「国教であるため仕事が休みになるのは大変にありがたい。それだけはキリストに感謝している。キリスト教の行事はもっとあってもいい」という不謹慎派だ。
イースターってそもそも何?という説明は、ウィキでも見てください。こちらです。
一応は国民的行事であるため、この時期になるとスーパーにはイースター用の食材が並ぶ。そんな中でもひときわ目立つのがチョコのイースター・エッグ!イースターはアイスランド語でpáska(パゥスカ)。卵は英語と同じくegg(エグ)。今年も見事に、大量に陳列されている。壮観!
本体の卵型のチョコは大半がミルク・チョコ。近年はダークも見かけることがあるが、数が少ないのかすぐに売れてしまう。中身はこの製菓会社が作っているチョコや飴、ガミーなどが詰められており、特徴的なのは、フォーチュンクッキー(日本的にはおみくじ?)のように、ことわざが書かれた紙が入っている。
サイズは10種類以上あり、スーパーで見かけるのは売れ筋価格帯3000円ー5000円程度のものが多い。今年は見ていないが、小さな子供ほどの大きさの巨大なチョコの卵を見たこともあり、まったくいったい誰が消費するやら?会社組織で卵割りなどをやるのか?でもイースターもクリスマスも、宗教イベントは家族単位で祝うものだから、イースターの日に会社に集まることはないよなぁ等、どうでもいいことを考えたりした。
ちなみに今回アイキャッチ画像に使わせてもらったのは、ノイ・シリウス社のサイト→ https://noi.is/ ノイ・シリウル社はアイスランド庶民が大好きな味。絶対にノイ・シリウスじゃなきゃダメ、という人もいるほど。小分けできるような製品は少ないけれど、アイスランド土産としては悪くないので、アイスランドへいらっしゃる方はぜひスーパーで手にとってほしい。
パッケージに印刷されている「Gleðilega páska(グレディレガ・パゥスカ)」は、「イースターおめでとう」と訳せる。要はハッピー・イースターという意味。 ひよこがブルーのマスクをしている意味を勘繰ることはできるが、本当のところはわからない。
ノイ・シリウスのような庶民的な製菓メーカー以外に、本格派のショコラティエの手になるチョコエッグもある。ただしこちらはお値段は大手メーカーの2-3倍ほど。中身は一個200-300円で販売されている手作りトリフが詰められているし、外側の卵も口溶けがよく、香り高い素材が使われているので、グルメにはこちらをおすすめしたい。
高級製菓&パン菓子店Sandolt製 ショコラティエのFrida製
さてさて、チョコレートの卵だけ見せられてもストレスだよね?中身が見たいよね?!
サービス精神を発揮して、お見せしましょう。
今年の我が家のチョコエッグ事情は豊富で、彼が会社から2個をもらってきた。そこで会社から支給されたひとつをSAMEJIMA TIMES読者のために、明日のイースター前に開帳する大サービス!
全長20センチ、横幅最大8センチ 裏側はこんな ポコっと蓋が取れる
ジャーン。中身はこんな感じ。ガミー、飴、チョコ菓子の他に、小さな袋入りのクロップというサクサクのチョコボールが入ってた。アイスランド人の誰もが懐かしむお菓子のオンパレード。味は、ぜんぶ甘い!(笑)
黄色の紙に印刷されたことわざは「Ekki er happi að hrosa fyrr en hlotið er」彼に尋ねると、日本語にすれば「ぬか喜びせざるべからず」ということらしい。
このことわざを少しを調べてみたところ、1830年に発行されたGuðmundur Jónsson「Safn af íslenzkum orðskviðum」(グヅムンドル・ヨンソン著「アイスランドことわざ集」)に記載があることはわかった。出典がサガやエッダなどの書物からなのか、それとも地方の言い伝え等なのかまでは調べがつかなかった。
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ちなみにアイスランドでは、国立図書館とアイスランド大学が協力し、1870年以前の本をすべてデジタル化する作業がすすめられている。
うわ、今回は思いがけず高尚になったぞ〜。
世の中が混沌とし、普通に生活をしていても、ニュースに触れただけで緊張を強いられる今日この頃。このコラムを眺めている間だけでも、日常の世界から抜け出して、心をアイスランドで遊ばせてくださいね。
小倉悠加(おぐら・ゆうか):東京生まれ。上智大学外国語学部卒。アイスランド政府外郭団体UTON公認アイスランド音楽大使。一言で表せる肩書きがなく、メディアコーディネーター、コラムニスト、翻訳家、カーペンターズ研究家等を仕事に応じて使い分けている。アイスランドとの出会いは2003年。アイスランド専門音楽レーベル・ショップを設立。独自企画のアイスランドツアーを10年以上催行。当地の音楽シーン、自然環境、性差別が少ないことに魅了され、子育て後に拠点を移す。好きなのは旅行、食べ歩き、編み物。自己紹介コラムはこちら。