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こちらアイスランド(146)あまりに短い秋…京都の苔寺と双璧?紅葉はもみじならぬ苔とベリー低木〜小倉悠加

今回はアイスランドの紅葉をご紹介したい。

暦の上では、アイスランドには夏と冬しかなく、半年間が正式には夏として認定されている。けれど、実際のところはそんな訳がなく、甘く見てもせいぜい3ヶ月間程度で、実感としては一ヶ月あるかないかだ。

気温は平均的に8月が一番高いけれど、夏のキラキラ感は6月下旬から7月の方が高い。それは緑や花の顔をあちこちに見るせいもあるだろう。8月末から9月初旬にはベリー摘みに出かけ、それが終わるともう秋だ。いや、8月の終わりごろはもう秋の気配が濃厚になる。

9月に入ると日照が日に日に短くなり、これを書いている9月27日は19時には太陽が沈む。なので20時を過ぎれば空が暗くなり、天気がよければオーロラが見えてくる。

アイスランドのレンタカーは地元の会社から

大自然に樹木がないことで有名なアイスランドにも紅葉はある。

花が枯れた後、苔や低木が赤や黄色に色づいていく。それにしても、なぜ緑から黄色や赤に樹木は色が変化するのだろう?それを言えば、なぜ植物は緑なのか?光合成、クロロフィルというのは知ってるけど、何でそもそも色ってあるの?ーーーなんて考えてはいけないっすね。

夏休みが終わり、朝晩の気温が下がり、ハイランドでは雪がちらつき始める頃、レイキャビクの郊外は紅葉が美しくなる。

アイスランドには紅葉狩りとか紅葉狩りのようなものはない。少なくとも私は知らない。冬の入り口の自然の様子を、その移り変わりを、色彩に限らず匂いや気配なども動員して感じ取ろうとするのは、もしかして日本人特有の何かなのか?

9月の半ば、近郊の洞窟探検に行ったところ、周囲の紅葉が素晴らしかった。近郊なので、天気があまりよくない休日に探検したいと以前から思っていた場所だ。

まずは短い動画からどうぞ。写真は小さく切り取るしかないけれど、あたり一面の紅葉で素晴らしい場所となっていた。

モコモコの緑色だった苔は黄金色になり、オレンジのような赤みを帯びている植物は、ブルーベリーの木だった。下の写真の中央右上寄りのところに、少しだけブルーベリーの実が見えている。摘んで食べてみたけれど、熟しすぎて瑞々しさが失われて、水っぽくなっていた。

この周辺は溶岩トンネルだった場所が幌穴のようになり、その入り口がいくつかあった。

崩れた場所の間に、橋のようにトンネルが残っている部分も。

苔むす紅葉は、京都の有名な寺を思わせたりするだろうか。この場所に居た時はまったく日本の風景は思い浮かばなかったが、こうして風景を切り取った写真を見ると、どことなく苔寺かも〜と思わないでもない。みなさんの感想はいかがだろうか。

洞窟探検と書いたので、ついでにその写真も。洞窟の中は寒く冷たく、吐く息が白かった。けれど、無風なので、ひどく冷えもしなかった。

ほんの4ー5年前までは、このように自由に出入りできる洞窟があちこちにあり、足場のいい場所は、子供の誕生日パーティに使ったりもしていたという(実際、彼の親戚の子がやったことがあるそう)。現在では、レイキャビク近郊のそういった洞窟は業者が足場を整備し、観光化され、日本円にして5千円以上、場所によっては数万円出さないと中に入れなくなっている。

ここはツアー業者が寄るけれど、まだひどく観光化はされていない。このまま、時々探検気分で来られる場所であってほしい。

紅葉から離れたが、紅葉の下に隠されているのがこんな場所というのも、もしかするとアイスランドらしいのかもしれない。

秋の紅葉というと、木々の葉が秋の色に染まっていくことばかりを思い浮かべ、ごく近年まで、この様子を「紅葉」とは認めていなかったような気がする。私が認めようが認めなかろうが、アイスランドの自然も日本と同じく夏の次は秋となり、追い立てるように寒い冬がやってくる。

アイスランドの秋は本当に短い。数週間か、長くて一ヶ月というところだ。

小倉悠加(おぐらゆうか):東京生まれ。上智大学外国語学部卒。メディアコーディネーター、コラムニスト、翻訳家、ツアー企画ガイド等をしている。独自企画のアイスランドツアーを10年以上催行。当地の音楽シーン、自然環境、性差別が少ないことに魅了され、子育て後に拠点を移す。好きなのは旅行、食べ歩き、編み物。

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