久々にアイスランドで年末を過ごした。ここ数年、高齢の両親のことも考え日本での年末年始を重視してきたので、アイスランドの年末年始は2020年の年以来の4年ぶりだ。
アイスランドの12月は13人のクリスマス・ピープルと年末の花火が近年は有名なのかなぁという感じがしている。花火は素人がバカスカ打ち上げるので、怖いと思うくらいのレベル。
レイキャビクの大晦日はだいたい午後4時頃までスーパーが開いている。足りないものがあればなるべく早く買いに走れば間に合う。クリスマスには家族親族が集まることが多く、大晦日は友人と共に過ごすことも多い。
私もまだここに住んでいなかった20年前の年末年始に一度、友人の家族と共に過ごさせてもらったことがある。この時のことは、このブログに書いたので、ご興味ある方はどうぞ。
花火は夜7時ごろからちらほらと音が聞こえてくる。これは小さい子がいる家は夜中まで待てないため、夕食後に打ち上げることが多いからだ。
我が家の近所からはまぁボチボチといったところだが、レイキャビクの隣町であり、湾を隔てたハフナフョルヅルやコパボーグル、ブレイジホルトといった近隣の方が花火は盛んな気配で、遠くの方から無数の瞬く光が見えてくる。
日本の大晦日に必ずレコード大賞や紅白歌合戦を見るように、アイスランドでは『Áramótaskaup 2024』という年末スペシャル番組が夜10時半から約一時間にわたり放映される。これは、1年間の主な出来事をパロディの寸劇で見せる番組。毎年出来不出来があり、分かりやすくて楽しいものは、アイスランド語の教材としても使われたりする。
2024年の大きな出来事として大統領選挙が取り上げられ(この程度は私でも理解できた)、その後は話題になったニュースが続いていった。アイスランド人の彼に言わせれば、「歴代でも最高につまらない部類の出来だった」と。「腹をかかえて笑える逸話が一つしかなかった」と酷評。面白かったという意見も見たけれど、全般に芳しくない評価のようだった。
この番組が終わると花火が本格化する。大人はテーブルの上のつまみを補充し、真夜中に迎える2025年を祝う用の飲み物を準備する。我が家も奮発してシャンパン(本物!)を用意した。
という一連の物事はそれでいいし、ここ2-3週間ほど天気が劇悪だったのが、やっと今夜晴れてくれるようで花火大会には万々歳だ。けれど、この日はオーロラ指数が5という大変に強い日。滅多にない数値な上に、久々の晴天。本当はオーロラも見たい。そして23時半ごろ空を見上げると、うっすらとオーロラが出ていた!
大晦日の問答無用花火大会のガスや煙で、オーロラはよく見えない状態だ。完全に見えなくなるけど、でも一年に一度の花火大会だから仕方がないよね。
そして始まったのが大晦日恒例の花火。民間が唯一夜10時以降に打ち上げていい日。ちなみに花火の販売は12月28日から1月6日までの間で、完全ボランティアであるレスキュー隊の活動資金集めになっている。
キリリと冷たい空気が気持ちのいい夜で、みんな花火大会を楽しめたと思う。我が家の近所だとハトグリムス教会のところが一番派手にみんな打ち上げにくる。今年は家から眺めることに最初からしていたので、バルコニーから楽しんだ。
郊外だと各家庭の庭からあげるところが多い。けれど、ここは街中で庭が狭いこともあり、各家庭の庭ではなく、家から一番近い公道から上げることが多い。あまりに量が多いと近所迷惑だし、実際に動物や小さい子供が怖がるため、この日だけは無礼講とはいえ、ある程度の配慮はそれなりにしている。
花火を一連打ち上げた後、若者は街へ繰り出して夜通し飲んで明かすことが多い。夫も若い頃はそうしていたそうだ。
1月6日まで花火は許可されてはいるが、大晦日の後はあまり音を聞かない。1月6日が大晦日に次ぐ花火日にはなるが、若干派手な音を聞く程度に終わる。その頃には1日に4分間ほど日照が長くなり、暗黒の世界から少しずつ遠ざかっていく。
暗黒といえば2024年12月21日の冬至、文字通り世の中が最高に暗いの日にアイスランドに新政府が発足した。
能書だけで何もやらなかった前政府を反面教師として、即実行を旨とするのが新政府だ。これまで野党だった3党による連立政権で、党首は全員女性。そのうち大臣経験者は1名のみ。自宅の居間で政党を立ち上げた女性も入っている。最大政党の党首は36歳の女性だ。
省庁の数を若干削り、政府の要を担うのは首相を含め12名。そのうちの7名が女性だ。あまり性別を声高に言いたくはないとはいえ、過半数を女性が占める。こういう「希望」が日本にも欲しいものだ。
海外から見ていると、日本の雰囲気は決してよくない。国民の代表であるべき議員は国民いじめの工作員ばかりが目立つ。この狂った世の中をいかにマトモに生きるかに腐心する日々をどうにか終わらせたいと、海外から毎日思っている。日本の政治家よ、本来の役目を心に取り戻してくれ。
2025年、今年もどうぞよろしくお願いします。
小倉悠加(おぐらゆうか):東京生まれ。上智大学外国語学部卒。メディアコーディネーター、コラムニスト、翻訳家、ツアー企画ガイド等をしている。独自企画のアイスランドツアーを10年以上催行。当地の音楽シーン、自然環境、性差別が少ないことに魅了され、子育て後に拠点を移す。好きなのは旅行、食べ歩き、編み物。