政治を斬る!

立憲野党私設応援団(76)兵庫県知事選挙の衝撃〜憲法9条変えさせないよ

※この連載はSAMEJIMA TIMESの筆者同盟に参加するハンドルネーム「憲法9条変えさせないよ」さんが執筆しています。


<目次>

1.稲村和美陣営の敗因についての議論を眺めてみる

2.斎藤元彦陣営の勝因についての議論を眺めてみる

3.立花孝志陣営の法令違反等の疑惑についての議論

4.斎藤元彦陣営の法令違反等の疑惑についての議論


1.稲村和美陣営の敗因についての議論を眺めてみる

11月17日に投開票が行われた兵庫県知事選挙は、県議会から全会一致で不信任決議を受けて失職した斎藤元彦さんが再び当選して知事に返り咲くという衝撃の展開となりました。

無所属で出馬し立憲民主党などが支援した元尼崎市長の稲村和美さんは、県政の刷新を願う有権者の期待に応えることができず、惜しくも落選しました。

ネット上では「稲村陣営の選対が無能だった」という声もあがっていますが、稲村和美さんが今回獲得した976,637票という得票数は、2021年に斎藤元彦さんが知事に初当選した時の得票数858,782票を117,855票も上回る数字で、状況によっては当選していてもおかしくはなく、「よくぞ100万票に近い得票を積み上げた」と評価できる数字なのではないかと思います。

また、共産党が独自候補を擁立して票割れさせたことに対する非難の声も一部にはありますが、仮に稲村和美陣営(976,637 票)と大沢芳清陣営(73,862票)が候補者を一本化できていたとしても、合計の得票数は1,050,499票にしかなりませんので、斎藤元彦さんの得票数1,113,911票には及ばず、やはり結果を覆すことはできていなかったということになります。

今回の選挙で稲村和美陣営にとってもったいなかったのは、選挙戦の最終盤に県内の22の市長が稲村和美さんを支援する声明を出したことで、かえって「既得権益のオジサンたちに担がれる傀儡候補」的な悪いイメージを与えてしまったことだと思います。

特に、記者会見の際に相生市長の谷口芳紀さんが机をバンバン叩いてしまったことが、稲村陣営に対する印象をかなり悪くしてしまったように思います。

その点は本当に残念でした。

2.斎藤元彦陣営の勝因についての議論を眺めてみる

今回の兵庫県知事選挙に関しては、1,113,911票もの得票を得た斎藤元彦さんの人気がなぜこんなにも沸騰したのか、その要因や状況に関して探っていくことが重要なのではないかと思います。

一般の人や有識者を含めて様々な人々が兵庫県知事選挙に関してツイートやコメントをしていますが、私が今回の選挙の結果を見て思ったのが、「20代や30代の若い人たちが圧倒的に斎藤元彦さんに票を入れていることの意味を深く考える必要がある」ということです。

20代や30代の若い人たちの多くは、東京都知事選挙では石丸伸二さんに、衆議院選挙では玉木雄一郎さんが率いる国民民主党に、そして兵庫県知事選挙では斎藤元彦さんに熱狂するような形で票を投じました。

私はこのことの意味を、実は深く理解することができていません。

私は自分自身がロスジェネ世代の人間ですので、40代や50代の人たちが持つ不満についてはよく理解することができます。

それはすなわち、新卒時の就職氷河期の影響で非正規雇用のまま20年から30年近く待遇の悪い労働環境に置かれ生活が苦しいであるとか、あるいは、正社員として働いていたとしても上の世代や下の世代の人たちから仕事を押し付けられるばかりで損な役回りを引き受けさせられ続けているといったことです。

その観点からすると、今の20代や30代の若い人たちは、新卒時の就活においては氷河期世代の時ほどの苦労はなかったはずですし、実際に会社で働きだしてからも以前の「ブラック企業」的な働き方からはずいぶん解放されて、昔に比べるとホワイトな労働環境で働くことができているはずですので、いったいどんな「不満」を若者たちが抱いているのか、ちょっと理解しがたいというのが正直なところです。

しかし、「石丸現象」、「玉木現象」、「斎藤現象」と続く、選挙における若者のムーブメントの様子を見てみると、20代や30代の若い人たちが何らかの「不満」や「やりきれなさ」、あるいは「鬱屈する感情」を抱いているのはどうやら間違いなさそうですので、その原因や要因がいったい何なのか、しっかり調査や分析などを行って、実情を探っていく必要があるのではないかと思います。

3.立花孝志陣営の法令違反等の疑惑についての議論

兵庫県知事選挙において、立花孝志さんは当初、候補者を10人擁立する構想を口にしていましたが、結局は立花孝志さん本人しか出馬しなかったため、結果的に選挙管理委員会が用意したポスター掲示板は、多くが「無駄」となってしまいました。

また、選挙運動において、県議会議員の家族が住む「家」(ただし、「事務所」を兼ねている)に押し掛けて、大声で「脅し文句」的な「選挙演説」を行っている場面があり、そのことが法令に違反しているのではないかという疑惑が持たれています。

また、今回の選挙戦で、立花孝志さんは「自分自身の当選を目指すのではなく、斎藤元彦さんの当選を応援する」と称して遊説を行っており、そのことが公職選挙法に違反する行為に該当するのではないかという疑惑が持たれています。

ただし、立花孝志さんのこれらの行為が公職選挙法などの法令に違反するかどうかについては、様々な見方があり、現時点では断定的に評価することができない面があることも事実です。

これについては、今後の推移を見守っていく必要があります。

4.斎藤元彦陣営の法令違反等の疑惑についての議論

斎藤元彦陣営の選挙運動に関して、兵庫県発注の業務を受注しているとある広告会社の社長が「SNS戦略などを含む斎藤陣営の広報活動を一括して請け負った」とするツイートとnoteの記事をネット上にあげたことから、「これらの広報活動が有償であれば公選法違反、無償であれば贈収賄にあたるのではないか」との疑惑が持たれることとなり、SNSは騒然としています。

これらの疑惑については、一部のマスコミでも取り上げられ始めていますが、ここ数年の様々な「疑惑」の帰結を振り返ってみると、「民間人だけが逮捕されて罪に問われ、政治家は起訴されずに有耶無耶にされる」ということが多かったように思いますので、今回の疑惑もどのような推移を辿るのか、注意深く見守っていく必要があると思います。

いずれにしても、現時点ではまだ「疑惑」の段階ですので、政治家として説明責任のある兵庫県知事の斎藤元彦さんは厳しい追及を受けて然るべきですが、民間人に過ぎない広告会社の従業員の方々には風評被害が行かないように、慎重に議論を進めていくべきなのではないかと思います。

憲法9条変えさせないよ

プロ野球好きのただのオジサンが、冗談で「巨人ファーストの会」の話を「SAMEJIMA TIMES」にコメント投稿したことがきっかけで、ひょんなことから「筆者同盟」に加わることに。「憲法9条を次世代に」という一民間人の視点で、立憲野党とそれを支持するなかまたちに、叱咤激励と斬新な提案を届けます。