フジテレビの女子アナが中居正広さんから性被害を受けた当時、フジテレビの専務だった大多亨・関西テレビ社長が記者会見し、性被害の直後に報告を受け、その日のうちに港社長に報告を上げたと証言した。フジの社長会見とは違ってカメラの撮影を許可し、週刊誌やネットメディアの参加も認める会見だった。
大多氏は関西テレビにもCM差し替えの影響が出ているとし、フジテレビや中居さんに対する怒りをみせた。フジテレビは元経営陣や系列局からも見放された格好だ。
大多社長の会見を分析してみよう。
🔸大多氏とは?
大多氏は「東京ラブストーリー」などのトレンディードラマを確立した名プロデューサーとして知られる。フジテレビではドラマ畑だ。バラエティー畑の港浩一社長と同じように芸能界との接点はある。一方で港社長とはライバル関係にあったといえるかもしれない。
大多社長は中居さんによる性加害が起きた2023年6月当時はフジテレビの専務だった。その後、系列の関西テレビ社長へ転じていた。
🔸性被害への対応
大多社長は記者会見で「私がフジテレビに在籍していた当時の事案です」と切り出し、「この事案が起きてほどなく、私のもとに報告が上がってきた」「その日のうちに港社長に報告を上げた」と証言した。社長以下、会社上層部として事態を把握していたことを認めた格好だ。
大多氏は「非常に重い案件と思った。衝撃を受けた」とする一方、「女性は大ごとにしたくない、誰にも知られたくはないという報告だった」とし、中居さんの番組を継続させたことを釈明した。
「中居氏を守ろうという意識はなかった」「それよりも彼女を守るために最善の手は何かを考えた」「ズルズルと番組をやっているという厳しい指摘もわかっている。いつ終わらすのかということは常に頭の中にあった」とも述べた。
これらの釈明については「後付け」との疑念を払拭できない。
大多氏は「(フジテレビや中居氏への)怒りと受け取っていただいて結構です」とも語った。関西テレビにも影響が及んでいることを踏まえ、港社長以下のフジ経営陣や中居さんを突き放した格好だ。
🔸編集局幹部Aの関与
中居さんと被害女性の密会をセッティングしたとされる大物プロデューサーA氏(現在は編成局幹部)の関与については「中居氏と女性の間に起きた事案という報告だった。その間に人がいたとは私は把握していなかった」と述べた。アナウンス室長→番組制作局長→専務→社長という縦ラインの正式報告ではA氏の関与は上がっていなかったということだ。
大多氏は「これから調査していくことだと思う」とも述べた。A氏と同じバラエティー畑の港社長もA氏の関与を本当に知らなかったのか。港社長自身の関与が大きな焦点となる。
🔸女子アナ接待文化
今回の事案に限らず、フジテレビ社内に女子アナを接待に使う風習が広がっていることについては「基本的にはある」と認めた。性接待については「性の上納とは全く性質が違う」「性接待・上納は聞いたことがない」と否定したものの、「調査委員会にしっかり調べてほしい」と語った。
フジテレビの元専務が女子アナを使った接待文化の存在を認めた意義は大きい。芸能人だけでなく政治家や経営者、スポーツ選手らもあるのか。各界へ疑惑が飛び火する可能性がある。今後の調査の焦点に浮上してきた。