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キングメーカーの麻生氏が描く「岸田政権は3月訪米と予算成立で退陣、4月に茂木政権で解散総選挙」〜岸田首相、崖っぷちの抵抗の行方は?通常国会の召集日と政治改革を担う新組織のトップ人事に注目

今年は解散総選挙が行われる可能性が極めて高い。

解散権を行使するのは、国民から見放されて内閣支持率が1割台まで落ち込んだ岸田文雄首相ではない。新しい首相だ。

岸田首相は3月上旬の国賓待遇の訪米と、3月下旬の予算成立を花道に退陣し、緊急の自民党総裁選を経て茂木敏充幹事長を新首相に担いでただちに解散総選挙へーーこれがキングメーカーである麻生太郎副総裁の描くシナリオである。

内閣支持率が続落する岸田首相に解散総選挙を断行する力はない。来年秋の総裁選で再選を果たすのは困難だ。麻生・茂木・岸田の主流3派体制を維持するには、岸田政権から茂木政権への移行を円滑に進めたい。

最大の問題は、茂木氏が国民にも自民党員にも人気がないことだ。

ライバルは、非主流派の菅義偉前首相と二階俊博元幹事長が担ぐ石破茂元幹事長である。石破氏は世論調査の「次の首相」トップに返り咲いた。無派閥の菅氏や石破氏は世論の支持が頼みだ。

総裁任期満了に伴う来年秋の総裁選は党員も投票に参加し、石破氏に有利、茂木氏に不利となろう。

そこで岸田首相に任期途中で電撃辞任してもらい、緊急の総裁選に持ち込む必要が出てくる。

緊急の総裁選は党員が投票せず、国会議員と都道府県連代表だけで決める短期決戦となる。これなら派閥の多数派工作で茂木氏が優勢だ。

最大派閥の安倍派は、集団指導体制を主導してきた5人衆(萩生田光一、西村康稔、松野博一、世耕弘成、高木毅の5氏)が裏金事件で全員失脚し、壊滅的状況にある。主流3派が結束して茂木氏を担げば、指導者を失った有象無象は「勝ち馬に乗れ」と主流3派になびくだろう。

安倍・麻生・茂木・岸田・二階の5派閥が裏金事件で刑事告発されたのに、検察当局が強制捜査に踏み出したのは最大派閥の安倍派と非主流派の二階派だけである。この捜査はまさにキングメーカーの麻生氏の意向に沿った国策捜査なのだ。

岸田から茂木へーー。麻生氏のシナリオは着実に進んでいる。

4月28日には旧統一教会問題やセクハラ疑惑で批判を浴びるなかで急逝した細田博之前衆院議長の死去に伴う衆院補選が予定されている。公選法違反で年末に逮捕された柿沢未途衆院議員や裏金事件で強制捜査を受ける安倍派の議員らが議員辞職すれば、補選の数は増え、自民大逆風の選挙となる。せっかく茂木政権が誕生してもいきなり補選で惨敗すればたちまち失速してしまう。

これを避けるには、新政権誕生の「ご祝儀相場」の勢いで補選前に衆院を解散し、4月28日投開票の日程で総選挙を行うのが一番だ。

そのためには4月16日の補選告示前に解散する必要があり、日程を逆算すると、3月22日ごろには予算を成立させ、岸田首相が退陣表明して、ただちに自民党総裁選に入り、4月1日ごろには新総裁を選出しなければならない。新内閣が発足して4月12日ごろまでに解散すれば、間に合う。

最大の懸念材料は、岸田首相が3月の訪米と予算成立を花道に、素直に退陣してくれるかどうかである。

🔸岸田 崖っぷちの抵抗

岸田首相は就任当初から宏池会(岸田派)の歴代首相の在任期間を気にしていた。

すでに大平正芳と宮沢喜一を抜き、歴代3位になった。1500日を超える創始者・池田勇人は別格として、今年2月には鈴木善幸を抜いて歴代2位に躍り出る。老舗派閥・宏池会の歴史に堂々と名を刻むことができる。首相退任後も派閥のドンとして影響力を残すことも可能だろう。

何としても2月は乗り切りたい。それが岸田首相の願いである。

岸田最側近の木原誠二前官房副長官(現幹事長代理)も「2月まで首相をやればもう十分でしょう」と周囲に漏らしている。

麻生氏は3月の訪米と予算成立を花道に退陣させるシナリオを描いたのも「2月さえ乗り切れば」という岸田首相の心中を察してのことだ。

とはいえ、岸田首相本人としては「2月」は最低条件でしかない。来年秋の総裁選で再選を果たすことは難しいとしても、「1日でも長く首相を続けたい」と思っている。支持率さえ回復すれば、あわよくば総裁再選を果たしたいとも願っている。

岸田首相は訪米時期をできればゴールデンウィークまで引き伸ばしたかった。バイデン大統領に国賓待遇で招待されたのは岸田首相である。訪米が終わるまで、麻生氏も強引に辞めさせるわけにはいかない。

だが、訪米時期をめぐる駆け引きは、麻生氏の勝利に終わったようだ。日米両政府は3月前半で調整しているとマスコミ数社が報じている。外務省など霞が関はすでに岸田政権は長くはないとみて、キングメーカーの麻生氏の顔色をみて動いているのだ。

そこで岸田首相は通常国会の召集時期で巻き返しに出た。召集日をできるだけ先送りすることで予算成立も遅らせ、4月解散総選挙の日程を間に合わなくさせる狙いだ。

麻生氏は1月22日召集を念頭に置いていたが、岸田首相は裏金捜査の行方を見極める必要があるとして1月26日に先送りすることを画策。年末時点では、読売新聞は「22日軸」、共同通信は「26日軸」と報じ、政権内部で攻防が続いていることをうかがわせた。

もうひとつ抵抗する材料は、裏金事件を受けた政治資金規正法の改正や脱派閥といった政治改革だ。

🔸政治改革を担う新組織のトップに菅氏?

岸田首相は年明けのなるべく早い時期に、裏金事件で失われた政治への信頼を回復させるための新組織を立ち上げ、政治資金規正法の改正に加えて派閥政治を解消するための施策を検討すると表明している。

一方、麻生氏は安倍派壊滅によって主流3派の優位が確立したのだから「脱派閥」の流れが強まることは阻止したい。政治資金規正法の改正を骨抜きにしたいのは麻生氏に限らず自民党内の大勢だ。

自民党は、旧統一教会問題では茂木幹事長をトップとする「党改革実行本部」で対応策をまとめた。麻生氏は今回のこの組織を使って政治資金規正法の改正や脱派閥への取り組みを玉虫色にして「軟着陸」させたい考えだ。

これでは岸田首相は3月退陣へのレールに乗せられて着実に進んでいくことになる。

岸田首相としては政治改革議論を盛り上げ、内閣支持率を回復させ、3月退陣の流れを食い止めたいところだ。麻生・茂木ラインから主導権を取り戻す必要がある。

そこで浮上しているのは、新組織のトップに麻生氏の宿敵である菅義偉前首相を起用する案だ。非主流派で無派閥の菅氏と電撃的に手を結び、脱派閥の機運を一気に高め、麻生・茂木に対抗する構想である。

岸田首相が麻生・茂木に対抗して菅氏との連携を探るのは初めてではない。昨年9月の内閣改造・党役員人事でも茂木幹事長を更迭し、菅氏に近い森山裕氏や茂木派の次世代ホープである小渕優子氏を幹事長に抜擢する「主流派組み替え」を画策した。

土壇場で麻生氏に猛反対されて断念し、茂木幹事長を留任させたが、ここから岸田政権は坂道を転がり落ちたという後悔が岸田首相にはあろう。今回の政治改革はいまいちど菅氏との連携を探ろうというわけだ。

だが、昨年9月の人事で麻生氏に押し切られたのに、今回の政治改革で麻生氏を突き放すことが岸田首相に本当にできるのか。「麻生氏からの自立」は岸田政権にとってなかなか果たせぬ課題なのだ。

当面は焦点は、通常国会の召集日と政治改革を担う新組織の人事である。キングメーカーの麻生氏と岸田首相の水面下の駆け引きに注目だ。



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