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政官業癒着の象徴「クーポン政治」はもうやめて! 0〜2歳児の家庭にクーポンを配るなら現金を直接給付して!

またクーポンか。呆れ返るしかない政策がまた飛び出した。

岸田政権は10月中にまとめる総合経済対策で、0~2歳児がいる家庭に一定額のクーポンを支給する方針を固めたという。

子育て支援はおおいにやればいい。けれどもなぜ現金の直接支給ではなく、クーポンなのか。答えは簡単だ。現金支給は利権にならず、クーポンは利権になるからである。

そんなことは多くの国民は見通し済みだ。それでも国民の人気を得られると思い込んでいるのが岸田政権である。庶民感覚との乖離は甚だしい。「クーポン配れば、みな喜ぶ」などと国民を見下しているから内閣支持率は続落するのだ。国家予算は権力者の私物ではない。

民主党政権が実施した子ども手当はよかった。所得制限なしに子ども全員にひとり○万円というかたちの現金一律支給を復活させ、拡張させればいいだけだ。子育て世帯はそのほうが幅広いニーズに使えてはるかに助かるし不公平感もない。

現金は何にでも使える。クーポンは使い方を制限できる。どこで使えて、どこで使えないか。その線引きを決めるのは国家権力(行政)だ。国家権力に従順な業界、つまり政治献金や天下りを受け入れる業界に限ってクーポンを使えるようにすれば、新たな利権の誕生である。

クーポンの印刷や使い方についての広報・電話相談などに伴う余計なコストもバカにならない。そこでさまざまな業者が関与し「中抜き」が行われ予算が余計に嵩むのは、過去のクーポン事業で立証済みだ。

割を食うのは、利用者だ。クーポンを渡されても使い方が制限され、使いにくくて仕方がない。結局は無駄な使い方に奔走して無駄なエネルギーを注ぐばかりか、余計な出費を迫られる。そして、使わなければよかったと後悔する。

その代表例が全国旅行割(旧GOTOトラベル)だ。

全国旅行割が10月11日に始まった後、ホテル価格は高騰し、利用者はむしろ旅行しにくい状況に陥った。

旅行代理店に手数料を払って交通と宿泊のセットプランで予約して交通費にも割引を効かせた上、3000円クーポン(平日)を利用可能な店舗で使って初めてお得になるという水準に、ものの見事に料金設定がなされている。

旅行代理店などを通さないオーダーメイドの個人旅行にこだわる人や感染予防効果の薄いコロナワクチンによる健康被害を恐れて接種を敬遠している人など、全国旅行割を利用しない人に大幅なコスト増をもたらしているのが国策の旅行振興策・全国旅行割の実像だ。

その結果として潤うのは、国土交通省の天下りを受け入れ、観光族議員に政治献金している旅行業界と、国策ワクチンで潤う製薬業界だけである。(詳細は『サメタイが選ぶ「全国旅行割で得する人ベスト5」を発表!不公平感満載の国家イベントがいよいよ始まる〜最も潤うのは誰だ!』を参照)

そこにもうひとつ加わる利権が、クーポンだ。クーポンの利用可能な店舗は限定されている。その多くは地元の商店街など自公与党との密接な団体に加盟している店舗だ。個性的で独自のサービスを提供している店舗ほど使えない可能性が高い。

お目当ての店をめざして旅行する人にとっては、その店がクーポン使用不可の場合、クーポンを受け取っても役に立たないことになる。本来はクーポン発給に使う予算をすべて旅行者への現金支給に充てたほうが、よほど旅行需要の喚起につながる。そうしないでクーポンに固執するのは、現金支給は利権にならず、クーポンは利権になるからだ。子育て世帯へのクーポン支給とまったく同じ構図である。

何から何まで利権になるかどうかで制度設計を決めていく。それが自民党・霞が関の「政官業癒着」政治の本質である。彼らは国民が苦しむコロナ対策も物価高対策も「利権への手がかり」としか思っていない。

クーポン政治はもう懲り懲りだ。クーポンに予算を注ぎ込めば「中抜き」が横行する。消費者に現金を直接支給すれば、業界が「中抜き」する分を含めてもっと多くのお金が消費者ひとりひとりの手元に届く。

業界を大切にするのか、ひとりひとりの個人を大切にするのか。これは政治的選択の問題だ。

利権を拡げる業界支援から、国民一人一人に現金を直接支給する個人支援へ。ここが与野党最大の対立軸になるべきである。立憲民主党が業界べったりの連合の影響を振り切れず、「業界支援から個人支援へ」という大きな旗を掲げられないのは、もどかしい限りだ。

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