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安倍首相が東京五輪招致で言い放った真っ赤な嘘「アンダーコントロール」に縛られ続ける福島原発事故対応は岸田政権へ受け継がれる

岸田政権になって福島原発事故に対する政府の姿勢は変化するのか。このテーマを深掘りした10月2日の東京新聞「こちら特報部」に私のコメントが掲載されている。

私の結論は「何も変わらない」。岸田政権は安倍傀儡である。安倍政権が進めた福島原発事故の対応が変わるとはとても思えない。以下、詳しく解説しよう。

まず最初に強調しておきたいのは、福島原発事故の対応と東京五輪の開催は密接に絡んでいるということだ。

東京五輪開催が決まった2013年のIOC総会で、安倍首相は福島原発事故について「アンダーコントロール(制御している)」と演説し、招致を勝ち取った。

当時は福島第一原発から汚染水が漏洩するトラブルが続出し、東京電力でさえ「コントロールできていない」と説明する状況だった。安倍演説は「大ウソ」だった。「大ウソ」をついて東京五輪招致を果たしたのである。

しかし、日本のマスコミは歓迎一色となり「首相のウソ」を大目に見た。

朝日、読売、毎日、日経、産経の大手5紙は横並びで五輪スポンサーとなった。東京五輪招致をめぐる裏金疑惑が海外で発覚しても、電通が深く関与していることへ国内世論の疑念が膨らんでも、さらにはコロナ禍で五輪開催に反対する世論が高まっても、大手新聞社は厳しく追及することなく、五輪礼賛報道を続けたのである。

テレビ局も同様であった。テレビ各局は高視聴率が期待できる五輪の放送枠を獲得するため安倍政権にすり寄った。東京五輪は安倍政権にとってテレビ新聞各社を従わせて世論を誘導する「マスコミ支配」の切り札だった。

トヨタをはじめとする大企業は五輪スポンサーに名を連ね、さまざまな五輪利権の恩恵を受けた。五輪組織委員会事務総長に財務省の大物事務次官だった武藤敏郎氏が天下ったように、官僚にも大きな利益をもらたした。政界、財界、官界は8年にわたって巨額の税金が注ぎ込まれる巨大国家プロジェクト「東京五輪」でずいぶんと潤い続けてきたのである。

これこそ、安倍政権を長期化させた原動力である。東京五輪がなければ、安倍政権が政界、財界、官界、マスコミ界にこれほど君臨することはなかっただろう。

その東京五輪は、安倍首相の「大ウソ」によって招致されたのだった。安倍首相が招致演説で世界に向けて言い放った「原発事故はすでにアンダーコントロールである」という「国際公約」はその後、日本政府にずしりとのしかかってくる。

政府は原発事故被害が続いていることを認めることができなくなった。東京五輪までに「原発事故は終わった」ことにしなくてはならなくなった。福島の実情はどうであれ、原発事故を「解決済み」として処理することこそ安倍政権の大方針となったのである。

政府は除染が完全に終了したとはいえない状況で次々に避難指示を解除していった。避難者向けの住宅支援も早々に打ち切った。除染で取り除かれた「汚染土」を再利用する動きも進んでいる。

一方で、政府は原発再稼働を強引に進めた。エネルギー計画でも原発重視の姿勢を維持し続けた。東京五輪までに福島原発事故を「解決済み」にする姿勢はあからさまだった。

極め付きは汚染水の海洋放流である。安倍政権を受け継いだ菅政権は、福島第一原発から発生し続けている汚染水(一定の処理をしたうえで敷地内のタンクに貯蔵している汚染水)を海洋放流する方針を決めたのだった。「福島原発事故はもう終わった」という政府の宣言のように私は受け止めている。

しかし、原発事故は終わっていない。完全に廃炉が完了するまでは数十年かかるといわれている。福島から避難した人々も数知れない。彼らの生活はまったく安定していない。

世界史に残る大事故を引き起こした責任の所在もいまだにあいまいだ。東京電力はあの事故がなかったように堂々と振る舞っている。原発政策を推進した政治家や官僚、原発神話を振りまいた専門家やマスコミ、東電の株主や貸し手の金融機関は、どんな責任を取ったのか。何もかもがうやむやだ。

平気でウソをつく、あったことをなかったことにする、なにもかも隠蔽するーー安倍政権の悪弊のはじまりは安倍首相が東京五輪招致で吐いた「福島原発はアンダーコントロール」の大ウソであった。マスコミがそれを許容して厳しく追及しなかったことが、政治家や官僚のモラルを崩壊させた。

ひとつのウソは、安倍首相が権力を私物化したモリカケサクラなど数々の疑惑を政府(捜査機関を含む)をあげてもみ消すという、信じがたい行政崩壊へ発展した。そこへコロナ危機が襲来し、行政はまともな対応ができず、多くの命が失われたのである。

安倍氏が完全支配する岸田政権がこの流れを変えられるはずがない。「安倍支配」を終焉させ、ウソを重ねてきた政治家や官僚たちを国家権力から一掃し、彼らを断罪しない限り、行政崩壊はさらに進み、私たちの暮らしを突き崩していくだろう。

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