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野党は「立憲公認」より「無所属」が強い!秋の補選の勝者は岸田首相でも立憲の泉健太代表でもなく前明石市長の泉房穂氏だった!

自公与党と野党の一騎打ちとなった秋の2補選(参院徳島高知、衆院長崎4区)は1勝1敗に終わった。参院補選は与党が完敗し、衆院補選は与党が競り勝った。

自民党が有していた2議席をめぐる補選だったため、岸田文雄首相としては本来なら2勝が至上命題だったが、内閣支持率が発足以来最低に落ち込む中、とにかく2敗だけは避けたいところだった。1勝1敗のドローに持ち込んだことで、岸田おろしが再燃することはひとまず防いだ格好だ。

とはいえ、支持率回復の兆しはなく、早期解散に踏み切るのは相当難しい状況に変わりはない。来年秋の自民党総裁選まで解散権を行使できず、不出馬に追い込まれる可能性も高まっている。

何としても支持率を再浮上させて求心力を回復したいところだが、首相肝入りで打ち上げた所得税減税は「増税メガネというあだ名を気にしすぎた政治パフォーマンス」として自民党内では不評だ、「1年限りの定額減税」にとどまるとの見通しもあり、政権浮揚につながるかは不透明だ。

一方、立憲民主党の泉健太代表は春の補選で全敗し、「次の衆院選で150議席に届かなければ退任する」と表明して何とか「泉おろし」を抑えた経緯がある。秋の補選で2敗すれば泉おろしが再燃するのは必至だっただけに、1勝1敗のドローに持ち込んだことでこちらも一息ついた格好だ。

しかし、内閣支持率が過去最低に落ち込み、岸田バッシングが吹き荒れるなかで2勝を勝ち取れずドローにとどまったことは、「泉代表では次の衆院選は戦えない」ことを再認識させたともいえ、今後も求心力を高めることは難しそうである。

岸田首相も泉代表もパッとしない結果に終わった。どちらも敗北したともいえるかもしれない。

2補選以上に政界の事情通の間で注目を集めたのは、同じ10月22日に投開票された埼玉県の所沢市長選だった。自公から推薦を受けて4期を目指した現職市長が、前明石市長の泉房穂氏の全面支援を受けた野党系無所属の新人に敗れたのである。

泉房穂氏は全国各地の市長選に応援に駆けつけ、連戦連勝している。明石市同様、こども政策に力をいれる野党系候補の応援に全力をあげているのが特色だ。今回の所沢市長選でも底力をみせつけた。

しかも衆参2補選のうち、立憲民主党の公認を受けず無所属で立候補した参院徳島高知補選の応援に駆けつけた。野党候補は立憲が公認した衆院長崎4区では敗れ、立憲が公認せず無所属で戦った参院徳島高知補選は圧勝したのである。

所沢市長選をあわせて3つの選挙をみると、「野党候補は立憲公認では勝てず、無所属で野党各党の応援を受ければ勝てる」という構図が浮かび上がってくるのだ。

泉房穂氏は3選挙を以下のようにツイートした。

この分析とおりならば、次の衆院選でも立憲は独自の公認候補を擁立するよりも、無所属候補を野党共闘で応援するほうが自公与党に対抗できることになる。立憲は根本的に戦略の見直しを迫られそうだ。

立憲がそれでも野党第一党のメンツから公認候補に固執すれば、「自民も立憲もイヤ」という二大政党に対する拒否感が増幅し、日本維新の会やれいわ新選組、そして右派に人気の作家・百田尚樹氏が旗揚げした日本保守党など「左右の第三極」が急伸するかもしれない。二大政党の双方を批判する新党の結成がさらに相次ぐ可能性もあろう。

1993年衆院選は、自民党の分裂から新党ブームが起きて新勢力が乱立し、野党第一党の社会党が弱体化して自社体制が崩壊し、政界再編から政権交代に発展した。

立憲民主党が低迷し、政権交代のリアリズムを失って膠着状態に陥っている今の政治状況がダラダラと続くよりも、新党乱立から野党再編が起きて波乱含みの政局になったほうが、政治は大きく動く可能性があると思う。二大政党制は明らかに行き詰まっており、曲がり角を迎えている。

そのなかで新勢力の一翼を担う存在として期待を集めているのが泉房穂氏だ。秋の補選をひとことで言うと「勝ったのは自民の岸田首相でも立憲の泉健太代表でもなく、前明石市長の泉房穂氏」といえるかもれない。

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