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立憲民主党を解党に追い込んで野党第一党の座を奪う維新の戦略に対抗する秘訣とは?

毎日新聞が11月13日に実施した世論調査によると、政党支持率は自民が32%、維新が16%、立憲民主が12%だった。維新が立憲を上回り、政党支持率では「野党第一党」に躍り出た格好だ。

維新が目指しているのは「自民と維新の二大政党政治」であると私はかねて指摘してきた。自民党と対等に戦うために、まずは立憲民主党を解党に追い込んで野党第一党から引きずりおろし、維新が取って代わることを狙っているのである。当面の第一の敵は自民党ではなく立憲民主党なのだ。

二大政党政治において、与野党と一線を画す第三極がまずは野党第一党をめざす戦略は、実は正攻法である。かつての民主党がまさにそうだった。

政権交代可能な二大政党政治をめざして小選挙区制が導入された1996年衆院選は、橋本龍太郎首相率いる自民党と、小沢一郎氏率いる新進党による「政権選択の選挙」だった。この衆院選に「第三極」として挑んだのが、鳩山由紀夫氏と菅直人氏が旗揚げした民主党だった。

小選挙区は与野党の一騎討ちになるため第三極は埋没して苦戦すると言われる。実際、その後の第三極政党(みんなの党、自由党、保守党…)はことごとく消滅していった。しかし、この1996年衆院選の民主党は議席を伸ばして生き残った。そればかりか、野党第一党の新進党が敗北し、その後に解党に追い込まれたことで、民主党は新進党の「残党」を次々に受け入れ野党第一党に躍り出たのである。

なぜ第三極の民主党は生き残ることができたのか。菅直人氏がのちに私に語った理由は以下のとおりである。

小選挙区制度で第三極の政党が生き残るのはふつうは無理だ。民主党が生き残ったのは奇跡だった。なぜ奇跡が起きたのか。ふたつの特別な要素があったからだ。ひとつは鳩山のカネ。もうひとつは俺の人気。この両方がなければ民主党は生き残れなかった。そしてもうひとつ。野党第一党の新進党がすぐに自滅して解党したことだ。

まったく悪びれる様子もなく「鳩山のカネと俺の人気」と言ってのけるところがいかにも菅直人氏らしいが、この分析は非常に的を得ていると私は思う。たしかに鳩山氏の「カネ」は民主党創成期に絶対不可欠だった。菅氏の「人気」も自社さ政権の厚生相として薬害エイズ問題に取り組んだことで極めて高かった。このふたつのどちらか一方が欠けていたら「奇跡」は起きず、1996年衆院選で二大政党の狭間に埋没して消滅していただろう。

さらには野党第一党の新進党が衆院選敗北を受けて解党せずに結束を維持していたならば、民主党は何度か選挙を重ねていくうちに息切れし、いずれは消滅していたに違いない。

いまの維新に置き換えてみよう。

まずは「鳩山のカネ」に該当する巨大スポンサーは見当たらない。しかし、大阪府知事と大阪市長の座を長年抑えているのは強みだ。大阪で圧倒的に強い「地域政党」であることが資金調達力を支えているのだろう。次に「俺(菅)の人気」に該当するのは、当初は橋下徹氏、今は吉村洋文知事の存在である。

さいごは野党第一党の「自滅」である。いまの立憲民主党の低支持率や迷走ぶりをみると、これは十分にありうる展開だ。維新は国民民主党と組んだり、立憲議員の引き抜きを目指したりして、立憲民主党を揺さぶってくるに違いない。立憲民主党が分裂または解党すれば、その一部が維新になだれ込み、維新を野党第一党に一気に押し上げる可能性は十分にある。かつての民主党が新進党に取って代わったのと同じ構図だ。

維新に野党第一党の座を奪われることを防ぐには、立憲民主党はなんとしても結束を維持してまとっていなければならない。一方、寄り合い所帯としてまとまっているだけでは立憲民主党のカラーはぼやけ、来年夏の参院選でも自民と維新の対決のなかで埋没し、衆院選と同じような「惨敗」を喫する恐れは否定できない。

枝野氏の後継の新代表が独自カラーを発揮しようとすれば党がまとまらず、党がまとまることを優先すれば主張がぼやけて埋没する。勢いのある第3極に迫られる野党第一党の立ち振る舞いは極めて難しい。

立憲民主党は来年夏の参院選で、自公与党の過半数割れを目指すのみならず、維新の躍進に待ったをかけなければならない。この三つ巴の戦いを制するには、与党か野党かという「二者択一の消去法」を有権者に迫る発想を捨て、「自民や維新がどうであれ、立憲が好きだから投票する」という積極的支持を拡大するほかない。そのためには「政策の対立軸」をつくるだけでは足りず、やはり鮮明な社会ビジョンとリーダーのカリスマ的魅力が不可欠であると私は思う。

立憲民主党の代表選は19日告示ー30日投開票。「二者択一の消去法で選ばれる政党」から「熱烈な支持で選ばれる政党」へ転換する契機としてほしい。

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