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維新はどんなに失態を重ねても躍進が続く…維新を止めるには「野党再編」で維新を上回る期待感を持つ新勢力をつくるしかない

日本維新の会が旗を振る「大阪万博」の2025年開幕が危ぶまれ、国会議員や地方議員の失態が相次いでいるのに、維新の躍進は止まらない。7月30日に投開票された仙台市長選は「維新台頭」を改めて感じさせる結果に終わった。維新は初めて議席を獲得しただけではなく、擁立した5人が全員当選したのだ。

維新は今春の統一地方選で全国の首長・地方議員が800人近くに達した勢いを維持している。本拠地・大阪や周辺の関西圏に加え、東京や神奈川など首都圏でも勢力を拡大しているが、仙台市議選での「躍進」は全国政党への脱皮が着実に進んでいることを物語っており、次の衆院選で立憲民主党から野党第1党を奪う目標が現実味を増しているといえるだろう。

仙台市議選で自民党は3議席減らして18議席、立憲は1議席減の11議席だった。日経新聞の世論調査(28~30日)によると、次の衆院選の投票先は自民党33%、維新16%、立憲9%。維新は3カ月連続で立憲を上回っており、今や事実上の野党第一党ともいえる存在感である。

岸田政権をマイナンバーカードをめぐるトラブル続出や木原誠二官房副長官の捜査介入疑惑が直撃し、内閣支持率は続落している。一方、立憲は維新と組むか共産と組むか独自路線を貫くかで迷走し、支持率低迷から抜け出す糸口さえ見つからない。維新の「失態」が次々に明らかになっても、自民や立憲への期待が高まらないなかで政治の閉塞感に不満を抱く無党派層が維新に期待を寄せるという状況は当面続くであろう。

維新は「打倒・立憲」を掲げ、立憲の迷走に愛想を尽かした自公政権批判層を引き寄せるとともに、自民党より過激な安保政策を掲げてLGBT法成立など岸田政権の「リベラル路線」に不満を抱く自民党支持層(主に安倍支持層)も切り崩し、勢力拡大を続けている。

馬場伸幸代表は7月に訪米し、バイデン政権打倒を掲げるトランプ前大統領の側近と会談。帰国後は「トランプ氏の政策が維新に近い」と表明し、来年の米大統領選を見据え、トランプ支持の姿勢を打ち出した。次はトランプ氏との直接会談も目指すという。これもバイデン追従の岸田首相との対立軸を鮮明にして、自民党の安倍支持層を取り込む狙いだろう。

維新の失態を叩くだけでは、維新の勢いは止まりそうにない。

自民党は、維新を後押しして立憲を弱める「野党分断工作」を政権維持の基本戦略としてきたが、ここにきて立憲が弱くなりすぎ、維新が予想以上に台頭してきた結果、「右寄りの維新は、左寄りの立憲より脅威」との見方が強まっている。維新が圧倒的に強い大阪では自民から共産まで含む「維新包囲網」が生まれているが、国政レベルでも「維新包囲網」を口実に、自公与党が立憲や国民を巻き込んだ連立づくりを模索する可能性は十分にある。

立憲は維新を批判するだけでは勢いを取り戻すことは難しいだろう。党首を交代させ、連合依存を断ち切り、斬新な政策を打ち出して、維新を上回る魅力を打ち出さない限り、党勢回復は困難だ。

立憲は次の衆院選で維新に野党第一党を奪われれば、一気に弱体化して分裂・解党に追い込まれる可能性は非常に高い。野田佳彦元首相や安住淳国対委員長ら自力で勝ち残る「残党組」が衆院選後、「反維新」を大義名分に自公与党へ接近するのは必至とみられる。それを防ぐには野党第一党の座を死守して結束を維持するしかないのだが、現時点ではその展望はまったく開けていない。

野党支持層には「維新の失速」を期待する向きが根強いが、維新がどんなに失態を重ねても失速しないのはこれまでの経緯が物語っている。ほかに自公政権批判の受け皿がないことが、維新躍進の最大の要因なのだ。

維新を失速させるには、まずは野党勢力が自力で株をあげるしかないのだが、今の立憲には期待できない。「自公はひどい」「維新は嫌いだ」と叫ぶばかりではなく、自公与党にも維新にも対抗できる野党勢力をつくる政界再編(野党再編)が衆院選前に不可欠であるという認識をまずは野党支持層が共有し、立憲を中心とした野党議員を突き上げることが、「維新の躍進を止める」ための第一歩である。

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