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維新支持層の期待を裏切り、維新を失速させた大阪万博〜2025年開催強行なら衆参選挙への影響大

大阪万博への批判が高まっている。当初は建設費を1250億円としていたが、1850億円に増え、さらには2350億円に膨らんだからだ。当初見積もりからほぼ倍増したのである。

大阪を拠点に全国政党への脱皮をめざす日本維新の会への逆風も強まり、一次は立憲民主党を大きく上回っていた政党支持率も横並びになってきた。「身を切る改革」を掲げながら、大阪万博で「税金の無駄遣い」を続けていることは、到底理解を得られそうにない。立憲民主党の支持率がじわり上昇しているのは、維新失速の二次的効果であろう。

共同通信の世論調査では。維新支持層の65・7%が大阪万博を「不要だ」と答えた。自民支持層で「不要だ」と答えたのが54・6%、無党派層で77・3%だったことと比べても、大阪万博が維新支持層から強烈な反発を招いていることがうかがえる。「身を切る改革」への背信と受け止められたとみられる。

岸田政権は大阪万博の建設費上振れを「物価高の影響もある」(西村康稔経産相)として容認している。二階俊博元幹事長ら大阪万博推進派への配慮に加え、今のところ世論の批判は岸田政権ではなく維新に向いていることから、躍進してきた維新を失速させるのに好都合という政局的思惑もあるに違いない。

大阪万博の開催は2025年春の予定。同年夏には参院選があり、同年秋には衆院任期満了が控える。衆参選挙のタイミングで大阪万博への批判を最高潮に達するのだ。さらなるコスト増の可能性も否定できない。このまま開催を強行すれば、維新への大逆風が吹き荒れ、これまでの維新躍進は帳消しになり、政界地図が大きく塗り替わる可能性も出てきた。

それでも馬場伸幸代表や吉村洋文知事は大阪万博の中止に踏み込む考えはなさそうだ。橋下徹・松井一郎体制から受け継がれてきた国家プロジェクトを今さら取りやめることはできないということだろう。

だが、「身を切る改革」は本来、議員の小さな特権をなくす政治姿勢の問題にとどまらず、大阪万博のような巨大利権に切り込むことに意義があるのではないか。少なくとも維新支持層はそうした「身を切る改革」に期待してきたのであるから、大阪万博を聖域化した時点で、維新そのものの存在意義が問われることは避けられない。

維新は安倍・菅政権による野党分断工作に支えられて急成長し、「打倒立憲」を掲げて野党第一党を奪取する目前まで躍進してきた。自公政権の長期化を支える最大の要因ともいえる。

だが、岸田政権になり、むしろ立憲より維新を脅威をみる向きが強まってきた。維新との窓口だった菅義偉前首相は非主流派に転落したうえ、盟友の松井一郎氏が政界を引退し、馬場・吉村体制の維新と自民党との距離は広がっている。

逆に麻生太郎副総裁や茂木敏充幹事長は連合や国民民主党との関係強化を進め、財務省には立憲民主党と消費税増税で連携することを探っている。立憲には「維新包囲網」を口実に自公への接近を図る動きもある。

維新躍進を受けて政界では「維新外し」が画策される最中に、大阪万博の建設費上振れ問題が表面化した。維新失速を後押しする大きな力が働いているとみていいだろう。

維新がそれを跳ねのけ、ピンチをチャンスに切り替えるには、「大阪万博の中止」というサプライズを仕掛けるしかないと思うのだが、さて、馬場・吉村体制にそれができるか。


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