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維新「公明と決別」から始まる政界流動化〜自公連立の解消は簡単ではないが、公明は視界不良に

日本維新の会が次の衆院選で公明党と全面激突することを決めた。

これまで公明現職のいる大阪・兵庫の6選挙区に候補者擁立を見送りって「すみ分け」することで、大阪府・市議会での協力を得るなど公明党との接点を維持してきた。しかし今春の統一地方選で府・市議会とも単独過半数を得たため、公明党との決別に大きく傾いた。

次の衆院選では「野党第一党を奪う」という目標達成を最優先し、公明に譲ってきた大阪・兵庫の6選挙区にも維新候補を擁立する。

維新の一部には、今後も大阪・兵庫でのすみ分けを続けるかわりに、自公の選挙協力が崩れた東京で公明の支援を受ける案もあったが、公明との複雑な関係を維持することは有権者にわかりにくく、野党第一党への飛躍の妨げになると懸念。むしろ公明党との決別をアピールするほうが維新の勢いが加速すると判断した。馬場伸幸代表は「党の方針を決めたので、公明党と協議することはない。前を向いて進んでいく以外にはない」と明言した。

維新の大阪での影響力を考えれば、大阪・兵庫の6選挙区の議席を公明から奪う可能性は高いだろう。本拠地の関西圏で一議席でも積み増して立憲との野党第一党争いを制するという徹底的な選挙戦略が浮かんでくる。

一方、支持基盤(創価学会)の高齢化で党勢にかげりが見える公明党には痛手だ。

公明党は衆院選挙区で、大阪・兵庫の6議席に加え、東京、北海道、広島で1議席ずつ、計9議席を獲得している。次の衆院選では埼玉と愛知でも公認候補を擁立し、11議席の確保を狙う。だが、そのうち大阪・兵庫の6議席を失うことになれば、「大惨敗」という総括になろう。

創価学会は伝統的に関西圏の影響力が大きく、「常勝関西」と言われた。しかし、近年は維新の台頭で「大阪・自民」が崩壊することにあわせて公明も苦戦することが目立つようになった。創価学会内でも東京優位が強まってきたこともあって、「常勝関西」は大きな曲がり角を迎えている。

山口那津男代表は昨年夏の参院選後に世代交代で勇退し、石井啓一幹事長が代表に昇格するとみられていたが、創価学会内の主導権争いが強まり、今後の政党戦略が定まらないこともあって、この人事は見送られた。石井氏は次の衆院選で比例北関東ブロックから埼玉14区に転じることが決まり、「選挙区での勝利」が代表就任への最低条件になるとみられる。

衆院選で「大惨敗」した責任をとって山口代表が辞任するとしても、その後の新体制をどう構築し、自公連立を含め、野党第一党が立憲から維新へ変わるかもしれない新たな政局状況にどう対応するのか。

20年以上にわたる自公連立で確立した選挙協力体制や利権構図がそう簡単に崩れるとは思わないが、「自公vs民主(立憲)」の政界対立構図が維新台頭で崩れたことは間違いない。公明は視界不良の政党運営が続くことになりそうだ。

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