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西村智奈美幹事長、小川淳也政調会長〜優等生・泉健太代表の総花的人事は立憲民主党を救うのか?

立憲民主党代表に就任した泉健太氏(47)が党役員人事を決めた。代表選を争った西村智奈美氏(54)を幹事長に、逢坂誠二氏(62)を代表代行に、小川淳也氏(50)を政調会長に起用。党内一致結束の演出を最優先にした人事といっていい。

泉氏は党役員の半数を女性にする公約を掲げた。西村氏の幹事長起用はその目玉人事となる。

泉氏は政治的キャリアに乏しいだけに、幹事長には政治経験豊かなベテラン起用を望む声は党内外にあった。とはいえ、泉氏と同じ国民民主党出身のベテラン議員や連合に近い党重鎮らを幹事長に起用すれば党内対立の芽を残すうえ、党刷新のイメージを損なう恐れがある。

代表選で唯一の女性候補として一定の存在感を示した西村氏の起用は「サプライズ」というより、むしろ各方面から批判を浴びにくい「守りの人事」といえるのではないか。

決選投票を争った逢坂氏を代表代行に、初回投票で三位だった小川氏を政調会長に起用し、代表選4候補で党中枢を固めたことも挙党体制を演出する極めてオーソドックスな人事と判断してよい。

立憲民主党を旗揚げした枝野幸男代表ー福山哲郎幹事長の体制に対しては「独裁色が強い」との不満がくすぶっていたこと、衆院選惨敗を受けて枝野体制が倒れて立憲民主党組と国民民主党組の党内抗争が勃発する恐れがあったことを踏まえると、泉氏は党分裂を回避するための挙党体制人事を行うしかなかったともいえる。

一方、今回の代表選はそもそも4候補の知名度が非常に低かったうえ、極めて優等生的な論争に終始して世論の盛り上がりに欠けたこと、党員らの投票率も伸び悩んだことを踏まえると、代表候補4氏で執行部を固めた「極めて内向きな守りの人事」はインパクトに欠けるとの印象はぬぐえない。党分裂回避を優先した「総花的人事」で、はたして立憲民主党の埋没感を解消し、政界での存在感を高めることができるのか。

泉氏は代表選の最中も国会議員票で優位に立っていることを意識してか、極めて優等生的な慎重な発言が目立った。世論に向かって党刷新をアピールする「仕掛け」よりも、党内の結束を重視した「安全運転」の党運営を進めるのではないか。それで低迷する党支持率が上向くのか。

泉氏は連合重視の姿勢を鮮明にしており、共産党などとの野党共闘の行方も不鮮明になった。来年夏の参院選の一人区では野党一本化は不可欠だが、参院選は衆院選よりも比例や複数区の重みが増すため、共産党やれいわ新選組は独自色を強めるだろう。「野党共闘」はこれまで以上に難しい交渉となる。

衆院選で議席を伸ばした国民民主党は維新との連携に傾いている。立憲民主党が枝野体制から泉体制に変わったことで、国民民主党との違いは見えにくくなり、重なり合う支持層を奪い合うかたちでの対立が激化する恐れもある。

そのようななかで、4氏の政治的キャリアの不足は否めず、国会や選挙での対外交渉力は未知数だ。

野党第一党として共産党やれいわ新選組との野党共闘をどう仕切るのか、共産党との連携解消を求める連合や国民民主党とどう向き合うのか、さらには衆院選で躍進し野党第一党の座を狙う日本維新の会とどう対峙するのか。代表選ではこのような論争はまったく深まらず、党内で認識を共有できているとは言い難い。泉氏が安全運転の状況対応型の党運営を進めた場合、他党に主導権を奪われる恐れは否定できない。

泉氏は代表選で自らの推薦人になったベテランの馬淵澄夫氏(61)を国会対策委員長に、陣営幹部を務めた大西健介氏(50)を選挙対策委員長に起用した。ふたりとも泉氏同様、民進党→希望の党→国民民主党→立憲民主党と渡り歩いてきた政治家だ。

泉氏としては国会対策と選挙対策という「野党第一党の根幹部分」を自らに近い馬淵氏と大西氏に任せ、党運営の主導権を確保する狙いがあるのだろう。西村幹事長を「お飾り」として祭り上げ、実務は馬淵氏や大西氏が取り仕切るのか。党執行部経験のない西村氏が馬淵氏らを抑えて主導権を確保できるのか。共産党を含む野党共闘のあり方では泉代表ー馬淵国対委員長・大西選対委員長のラインと西村幹事長との間で路線が食い違い、党運営の火種となる可能性もあろう。

泉氏は代表選で小沢一郎氏の支援を取り付けた。一方、西村氏は菅直人氏のグループに支えられた。民主党政権の分裂を招いた小沢氏と菅氏の対立が泉ー西村体制で再燃することはないのか。西村氏の幹事長起用の影響はじっくり見定めていく必要がある。

枝野体制で国対委員長として影響力を誇っていた安住淳氏や小川氏を推した元首相の野田佳彦氏ら党重鎮がどう動くかも注目だ。

来年夏の参院選前は党運営を静観するとみられるが、来年参院選で維新やれいわがさらに躍進し、立憲民主党が苦戦する可能性は非常に高く、参院選の結果次第では野党再編につながる展開もありうる。それを見据えて党内重鎮の水面化の駆け引きも強まるだろう。

泉代表が馬淵国対委員長ー大西選対委員長ラインを使って複雑な党内事情をまとめつつ、西村幹事長や小川政調会長を押し立てて党刷新のイメージをつくりあげることができるのか。参院選まで半年わずか。スタートダッシュが極めて重要だと思われる。