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国賓訪米から帰国した岸田首相に覇気なし!裏金事件で森喜朗元首相の聴取「記録なし」政治資金規正法の改正は「最低限」 〜無気力答弁続々、6月解散断念か

国賓待遇の米国訪問から帰国した岸田文雄首相にに全く覇気がない。裏金事件について国会で質問されても防戦一方だ。なかでもひどかったのは、森喜朗元首相の関与をめぐる答弁だった。

4月22日の衆院予算委員会で、安倍派の裏金事件をめぐる立憲民主党の岡田克也幹事長との質疑を振り返ってみよう。

岡田「森会長時代に裏金づくりが始まったとの証言が相次いでいる」

岸田「森総理の関与を確認することはできなかった」

岡田「森さんにきちんと聞いたのか。なぜ電話だったのか」

岸田「日程調整のなかで電話で行うことを決定した」

岡田「森さんはキックバックの存在を知らなかったと答えたのか」

岸田「詳細は明らかにしないという前提の聞き取り調査だ」

岡田「電話に総務会長や幹事長は同席していたか。記録はあるのか」

岸田「私の責任で聞き取り調査を行った。記録はない」

安倍派の裏金づくりがいつから始まったのかは最大の焦点である。安倍派幹部からは森元首相が派閥会長時代に始まったとの証言が相次いでおり、森氏の関与を疑う声があがっていた。岸田首相は世論の批判を受けて森氏から聴取することを約束したが、電話で済ませていた。今回の岡田氏と質問で、その電話聴取がいかにいい加減なものだったかが判明したのである。

①森氏の電話聴取は幹事長ら党幹部は同席せず、岸田首相が単独で行った。

②電話聴取の内容は記録していない。

③電話聴取の内容は明らかにしない。

④森氏の関与は確認できなかったというのが結論だ。

これでは世論の納得を得られるはずがない。要するに、岸田首相は裏金事件をめぐって世論の理解を得ることをあきらめてしまったと考えた方が良い。

岸田首相は裏金事件が発覚した当初、①派閥解消を打ち上げて世論の理解を得る②安倍派幹部を厳しく処分して支持率を回復させる③裏金事件で失った政治の信頼を回復するための政治資金規正法改正を掲げて「裏金解散」を断行する④総選挙で自公与党の過半数を維持し、9月の総裁再選への流れを作るーーというシナリオを描いていた。

ところが、派閥解消では内閣支持率は回復せず、安倍派処分を打ち上げても世論の批判は収まらない。そこで裏金解散を諦め、むしろ処分や人事という総裁権限を振り回すことで党内掌握を進め、総裁再選を目指す戦略に転じたのだ。

かくして裏金処分は世論へのアピールというよりは、党内引き締めの材料に変わった。自らの総裁再選に役立ちそうな萩生田光一氏や武田良太氏は党の役職停止という大甘処分に抑え、国会質問で首相批判を展開した世耕弘成氏には見せしめとして離党勧告を突きつけるという「格差」をつけたのである。安倍派に影響力を残す森氏も敵に回さないようにいい加減な聴取で打ち切ったのだ。

裏金解散をあきらめたことは、政治資金規正法改正への意欲も失わせた。6月解散を断行するのなら、政治資金規正法改正の内容が総選挙の最大の争点となり、手を抜けない。しかし、6月解散を見送るのなら、抜本改正に対する党内の慎重論に配慮し、最低限の改正にとどめればよい。解散総選挙に向けて、世論に迎合する必要性がないからだ。

岸田首相は、野党が求める政策活動費の廃止にも後ろ向きである。岡田氏との国会質疑でも消極姿勢がにじみ出ていた。

岡田「二階幹事長は5年で47億円、茂木幹事長は9億円、何に使ったかまったく説明されていない。これは野党にもある。これはお互いやめましょう。こんなことやってたら国民の信頼は戻らない。きっぱりやめて、全部透明にしませんか」

岸田「党の役職に応じて内規や慣行に従ってお金を出している。使途を明らかにすると、個人のプライバシー、企業の営業秘密、戦略的な党の方針が明らかになる」

岡田「自民党以外は、やめるか、中身を明らかにすると言っている」

岸田「最低限やるべき法改正は間違いなくやる。それ以外、政策活動費の議論もやぶさかではない」

最低限の改正というのは、公明党が求める「連座制」の導入だろう。それ以外のこと、たとえば政策活動費の見直しは、議論はするけどやる気はないということだ。

首相のこのような消極姿勢には、与党の公明党からも「総理が先頭に立って取り組んでいると言えるのか。覚悟があるならすぐ案を提示すべきだ」(赤羽議員)という批判が飛び出した。公明党も6月解散回避→岸田9月退陣の流れが強まったとみているに違いない。

岸田政権はレームダック化しつつつある。国賓待遇の訪米はやはり「思い出づくりの卒業旅行」だったのか。岸田退陣へカウンドダウンが始まった。

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