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小池百合子が「初の女性首相」を目指し、東京都知事を電撃辞任して4月28日の東京15区補選に出馬する可能性はあるか?

小池百合子・東京都知事が国政復帰を目指し、4月28日に予定される衆院東京15区補選に出馬するのではないかという憶測が広がっている。

今年7月の都知事選に3選を目指し出馬するという見方が大勢だったが、自民党が裏金事件で迷走する中で「初の女性首相」の悲願を果たす好機が到来し、国政復帰への戦略を描いているというわけだ。

衆院東京15区から自民党で当選した柿沢未途氏は、江東区長選をめぐる買収事件で起訴されて議員辞職。旧統一教会問題やセクハラ疑惑で批判を浴びていた細田博之前衆院議長(元安倍派会長)の死去に伴う島根1区、安倍派の裏金事件で略式起訴された谷川弥一氏の議員辞職に伴う長崎3区とあわせ、4月28日の衆院3補選は自民大逆風の選挙となる。

小池氏は71歳。4月28日の衆院補選への出馬を見送り、7月の都知事選に出馬して順当に3選を果たせば、国政に復帰して「初の女性首相」を目指す可能性はかなり低くなるだろう。4月28日の衆院補選は最後のチャンスといえるかもしれない。

2017年衆院選目前に希望の党を旗揚げし、前原誠司氏が率いる民進党を合流させた際は、政権交代〜初の女性首相誕生の機運が一時的に高まった。ところが枝野幸男氏らリベラル派の合流を「排除」したことで失速。小池氏は衆院選出馬を見送って都知事にとどまり、希望の党は惨敗した経緯がある。

しかし小池氏は国政復帰〜初の女性首相という悲願をあきらめていないという見方がもっぱらだ。年齢的にも政治状況でも、確かにラストチャンスといえる。

都知事を電撃辞任し、東京15区に出馬するという大博打に踏み切るのか。仮に勝負に出た場合、どのような道筋で首相の座を目指すのか。頭の体操をしてみよう。

小池氏は都知事就任後、都民ファーストを立ち上げて都議会で自民党に対抗する一方、安倍政権で5年間も自民党幹事長を務めた二階俊博氏と水面下で気脈を通じてきた。都民ファーストの勢いが陰ると自民党に歩み寄りはじめ、岸田政権で二階氏が幹事長を離れた後は、自民党の安倍派幹部で東京都連会長の萩生田光一氏と連携を深めてきた。

安倍派の裏金事件への逆風が吹き荒れる最中にあった萩生田氏の地元・八王子市長選では土壇場で自公候補を支援し、激戦を制した「功労者」となった。萩生田氏に大きな貸しをつくったといっていい。

その萩生田氏は裏金事件で自民党政調会長を更迭されたが、都連会長には踏みとどまっている。これも小池氏ともパイプが切れていないことの証しであろう。

選挙買収事件の傷跡が深く残る4月28日の衆院東京15区補選は、自民党が候補者を擁立しても、勝利するのは相当厳しいとみられている。小池氏と萩生田氏が示し合わせ、自民党が候補者擁立を見送る代わりに、小池氏の支援に回るという構図は十分にあり得るだろう。

小池氏が補選に勝利するだけなら自民党の支援は必要ないかもしれない。しかし、国政復帰の目的が「初の女性首相」にあるとしたら、自民党と連携しておくことは重要だ。

希望の党は、衆院選で自民党と激突し、過半数を取って政権を奪取する戦略だった。だが、今回は立憲民主党や日本維新の会が小池氏を首相候補に担いで結集するというシナリオは、今のところ考えにくい。とりわけ立憲には希望の党で大失敗した当事者たちが多く在籍し、小池氏との連携には踏み切りにくいだろう。

小池氏が国政復帰して首相を目指すとしたら、自民党と何らかの形で組むことになるのではないか。

ここから先は、二つの道がある。自民党に合流して総裁選で勝利し、首相の座をつかむのか。次の衆院選に「都民ファースト」として参戦し、自公与党を過半数割れに追い込んだうえで、連立政権を組んで首相に担がれるのか。

自民党への合流はそう簡単ではない。気脈を通じてきた二階氏は現時点では非主流派に転落し、裏金事件でダメージも受けた。萩生田氏も裏金事件で失脚し、党本部レベルで小池氏を入党させる力はない。二階氏と親しい菅義偉前首相は「小池嫌い」で有名だ。

キングメーカーとして君臨してきた麻生太郎副総裁は派閥解散ドミノで威光にに陰りがみえ、自民党の権力の中心がぼやけているのは事実だ。そこで注目されるのは、じわりと息を吹き返してきた岸田文雄首相の意向だが、「初の女性首相」への意欲満々の小池氏を迎え入れるメリットはそう感じないであろう。林芳正官房長官や茂木敏充幹事長らポスト岸田を狙う面々も同様だ。

補選に当選し国政復帰を果たした後、次の衆院選に「都民ファースト」として首都圏を中心に候補者を擁立するほうが現実的である。与党でも野党でもない「ゆ党」的な立ち位置で、首都圏中心に議席を獲得し、まずは自公与党を過半数割れに追い込む。そして衆院選後の政局で二階氏や萩生田氏、さらには都政で強固になった公明党とのパイプを使って少数政党ながら連立政権の首相に担ぎ出されるという構想である。

とはいえ、これもハードルは高い。仮に自公与党を過半数割れに追い込むことに成功したとしても、自公は連立のパートナーとして、立憲も、維新も、国民も選べる有利な立場にある。わざわざ小池氏に頭を下げて首相になってもらうメリットはほとんどないからだ。

以上、考察すると、小池氏が国政復帰しても「初の女性首相」をつかむ展望は見えにくい。

それを承知で都知事を電撃辞任し、4月28日の衆院補選に出馬するとしたら、五里霧中でもまずは国政に復帰し、それから「天下取り」の方策を探ればいいという見切り発車であろう。よほど都知事の立場に飽きたか、首相をめざす執着が強いか、そのどちらかとしか思えない。

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