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小泉純一郎元首相が次男の進次郎氏ではなく石破氏を9月総裁選に後押しするワケ〜「進次郎は出ない!50歳までは時の首相を支えろと伝えている」の真意とは?

自民党の石破茂元幹事長が小泉欣一郎元首相や山崎拓元副総裁らの会食に招かれ、9月の総裁選出馬にむけて激励された。岸田内閣の支持率が低迷し、6月解散が困難とみられるなか、ポスト岸田の最有力候補は石破氏であると小泉元首相らはみているようだ。

この会合は5月14日夜 都内の日本料理店であった。小泉元首相、山﨑元副総裁に加え、武部勤元幹事長、亀井静香元政調会長らが定期的に開いている「小泉政権の同窓会」だ。二階俊博元幹事長もメンバーだが、今回は入院中で欠席したという。

石破氏の初入閣は小泉政権だった。防衛庁長官である。その意味では「小泉政権の同窓会」の末席に参加する理屈はあるといえるかもしれない。

山崎氏が会食後に記者団に語ったところによると、石破氏に対して「次の総裁選に出馬すべきだ」との声があがったという。山崎氏は「(石破氏は)総裁選の最有力候補だ」と記者団に明言し、この会食の狙いは石破氏の総裁選出馬を後押しすることにあったことをうかがわせた。

小泉元首相は石破氏に対し「総理になるためには才能と努力と運が必要だ」と強調したという。このうち「運」というのは、自民党を襲った裏金事件を指すのは間違いない。

石破氏は安倍・菅・岸田政権で長らく干され、石破派も解散に追い込まれ、首相の芽は消えたとみられていた。裏金事件で自民党が大逆風にさらされ、石破氏復活の運がめぐってきたというわけだ。

小泉元首相はさらに「(次男の)進次郎は総裁選に出ない」「50歳になるまで立候補せず、時の首相を支えろと伝えてある」とも語ったという。世論調査で人気トップの石破氏に向かって、人気2位の小泉進次郎氏は総裁選に出ないと明言したことも、石破氏の出馬を後押しする狙いがあったとみていい。

石破氏は小泉元首相のアドバイスに「肝に銘じる」と応じ、「当面は岸田政権を支えることに徹する」とも語った。「当面」というのは、政治資金規正法の改正が大きな焦点となる「今国会中」ということだろう。国会が閉会すれば、9月の総裁選に向けて本格始動するという宣言と受け取って間違いないだろう。

小泉元首相は清和会に長く属していたが、政界引退後は「脱原発」運動に身を投じるなどして、清和会政権とは一線を画してきた。清和会(安倍派)のドンとして子飼いの萩生田光一氏ら5人衆を通じて影響力を誇示してきた森喜朗元総理とは正反対の立場をとってきたのである。

進次郎氏が清和会には属さず、無派閥を貫いてきたのも、父親の助言に従ったものだろう。

森元首相が裏金事件で激しい批判を浴びるなか、派閥とは一線を画してきた小泉元首相の存在感が増してくる可能性は十分にある。

小泉元首相は進次郎氏に対し「今は動くな、何もするな」と言いつけているという。自民党の大ピンチの状況下で表舞台に立って傷つく必要はなく、じっと黙って50代を迎えれば必ず待望論がわいてくるという政局観はあたっているかもしれない。

その意味で、石破氏の総裁選出馬を後押しするのは、進次郎待望論を打ち消す狙いともいえる。岸田首相や麻生太郎副総裁に対抗して、非主流派の菅義偉前首相が進次郎氏を担ぎ出すのを防ぐ思惑があるのだろう。自民党よりも小泉家の将来を優先するのは、小泉元首相の本性といえるかもしれない。

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