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河野氏、岸田氏、高市氏…自民党総裁選は誰が勝っても菅政権以上の安倍傀儡に〜「安倍支配の継続」は衆院選で問うしかない

自民党総裁選で本命視されている河野太郎ワクチン担当相が9月10日に正式に出馬表明した。キングメーカーの安倍晋三前首相による政権支配の継続か、転換か、河野氏がどちらをめざすかに注目が集まっていたが、記者会見では森友学園事件の再調査について「必要ない」と明言。原発政策や皇位継承問題でも安倍氏に歩み寄り、総裁選に勝つために「安倍支配の継続」を受け入れる姿勢を鮮明にした。

これまで出馬を表明している岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相とあわせて三人全員が安倍路線の継続を掲げ、最大派閥を率いる安倍氏の支持を競い合う構図となった。安倍氏にとっては「誰が勝っても安泰」という大満足の総裁選になりつつある。

このままでは安倍政権とそれを受け継いだ菅政権(安倍傀儡政権)で表面化したモリカケ桜など数々の疑惑、東京五輪の招致疑惑や歪んだ大会運営の是非、医療崩壊を招いたコロナ失政などに蓋をしたまま、安倍氏はキングメーカーとして君臨しつづけることになる。菅政権で党運営を仕切った二階俊博幹事長の失脚が濃厚なだけに、菅政権以上の安倍傀儡政権が誕生する可能性が極めて高い。

はたしてこれでよいのか。自民党は自浄作用を完全に失ってしまったのか。

焦点は、「安倍支配からの転換」を鮮明にしている石破茂元幹事長が出馬するかどうかだ。石破氏が出馬しなければ、自民党総裁選は岸田氏、高市氏、河野氏の三人が首相の座を手に入れるために安倍氏の支援を競い合う「安倍争奪戦」に過ぎないものになる。石破氏が出馬することで、権力の私物化を露呈した「安倍支配」からの脱却を望む健全さが自民党内にどれほど残っているかが可視化されることを私は強く望んでいる。

河野氏は今のところマスコミの世論調査で人気トップを走っている。「選挙の顔」を求める若手議員に待望論が強い。自民党が党員を対象に9月4日に実施した調査では石破氏に次いで2位だった。

河野氏は最大派閥を率いる安倍氏や第二派閥会長である麻生太郎副総理兼財務相と折り合って総裁選に勝とうとしているが、派閥の数で劣る小泉純一郎氏がかつて「自民党をぶっ壊す」と叫んで世論を味方につけ党員投票で圧勝して首相の座をつかんだように、「安倍・麻生支配をぶっ壊す」と叫んで出馬すれば、河野フィーバーが湧き起こり、地滑り的に勝利して自民党が大きく変わる可能性があった。

だが、河野氏には「小泉劇場」を再現する意思も実力もなかったようだ。安倍氏との接点を探る河野氏に党員投票で圧勝して一挙に過半数を獲得するほどの勢いがあるのか、私は現時点ではやや懐疑的である。

安倍氏の基本方針は①石破氏が勝つのは絶対阻止したい②世代交代を進める河野氏の勝利もなるべく避けたい③自らに従順な岸田氏と高市氏ならどちらでもよいーーだ。派閥の力がモノをいう決選投票にもつれ込めば、安倍氏の意向が勝敗を左右することになろう。「河野vs石破」の決選投票なら河野氏優位だが、「河野vs岸田」(または河野vs高市)なら河野氏が勝つのは簡単ではない。

霞ヶ関の官僚には河野氏の独善的な政治姿勢への抵抗感が強く、すでに官僚に対するパワハラ疑惑が外部に漏れて報じられた。トヨタをはじめとする経済界にも河野氏のへの警戒感は根強い。総裁選が始まればトップを走る河野氏に対し、他陣営の追及も強まるだろう。穏当な岸田氏はともかく、安倍氏の支持を得て安倍支持層に人気急上昇中の高市氏は河野氏に激しい論戦を挑むとみられる(それが安倍氏の意向に沿うことだ)。河野氏が安倍氏を味方につけたいあまりに防戦一方に陥れば、「改革者」のイメージは薄れて党員投票は伸び悩み、最初の投票で過半数を制することは難しくなろう。

河野氏の出馬会見で印象的だったのは「日本の一番の礎となっているものは、長い伝統と歴史と文化に裏付けられた皇室と日本語だ」と述べたうえで、「初当選以来、一貫して自民党に所属している」と強調したところだった。前段は復古主義的なイデオロギーを前面に掲げて安倍支持層の期待を集めている高市氏の支持が一般党員に拡大することを防ぐ狙いがあり、後段は新進党から自民党へ移った高市氏や石破氏を強く牽制したものである。河野氏自身、高市氏や石破氏に「河野人気」を切り崩されることを強く警戒しているのだ。

いずれにしろ、自民党総裁選は「コップの中の権力争い」の様相を強めているのは間違いない。総裁選後の衆院選で政権交代をめざす野党にとっては幸いだ。野党は「誰が勝っても菅政権以上の安倍傀儡政権になる」と強調し、「安倍氏による自民党支配」に焦点を当てるのが得策だろう。

今回の衆院選は過去4年間の自公政権の是非を問うものである。この4年間のうち3年間は安倍政権だった(残り1年の菅政権も安倍傀儡だった)。この間、「桜を見る会」など安倍氏が国家権力を私物化する疑惑が相次いだ。東京五輪をめぐる疑惑や失態も続出した、コロナ対策も迷走を重ねた。それらの責任の多くは安倍氏にある。

自民党がそれを自ら反省し、自浄作用を発揮する力はなさそうだ。だとすれば、国民がそれを問うしかない。今回の衆院選は「安倍支配の4年間」の是非を問うものである。

この衆院選で自民党が勝利すれば「安倍支配の継続」を認めることになるーーこの認識を広く有権者に周知することが何よりも重要である。

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