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自民党総裁選の行方を左右する河野・石破会談〜反安倍連合は成立するのか?

自民党総裁選について、新総裁にふさわしいのは誰かを尋ねる朝日新聞の世論調査(9月11日、12日実施)は以下の結果だった(野田聖子幹事長代行は省略)。

① 河野太郎ワクチン担当相 33% ② 石破茂元幹事長 16% ③ 岸田文雄前政調会長 14% ④ 高市早苗前総務相 8%

自民党支持層に限ると、次のようになる。

① 河野氏 42% ② 岸田氏 19% ③ 石破氏 13% ④ 高市氏 12%

まずは総裁選の仕組みをおさらいしよう。

国会議員票383票(1人1票)と党員票383票(約113万人の党員票を比例配分)の計766票の過半数を取れば勝ち。誰も過半数に届かなければ上位2人による決選投票を行う。決選投票は国会議員票383票と各都道府県連に1票ずつ配分された党員票47票の計430票で争う形式で、最大派閥を率いる安倍晋三前首相と第二派閥を率いる麻生太郎副総理兼財務相の意向が勝敗を左右する。

では、キングメーカの安倍氏の意向とは? 

安倍氏が最優先にするのは、森友学園事件をめぐる公文書改竄など安倍氏の疑惑について再調査の必要性を訴える石破氏の勝利を阻止することだ。一方、安倍氏が最も期待するのは自らの政治信条にぴったりの高市氏である。ただし高市氏は当選確率が低いとみられ、次善の策として安倍氏に従順な岸田氏でもかまわない。世代交代が進む河野氏が首相になることは極力避けたいーーそれが安倍氏のスタンスだ。

安倍氏が新総裁になることを望むのは、高市氏→岸田氏→河野氏→石破氏の順となる。

ここまで整理したうえでシリしたうえで、4人全員が出馬すると仮定した場合、上記の世論調査の数字をもとに現時点での総裁選の行方を占うと次のようになるだろう。

・河野氏は党員投票でかなり優勢で、最初の投票でトップに立つが、過半数には届かない。

・二位に残る可能性が高いのは岸田氏だが、安倍氏の支援を受け支持を急拡大している高市氏の可能性も捨て切れない。

・河野氏vs岸田氏(あるいは高市氏)の決選投票となれば、安倍氏と麻生氏の支援を受ける岸田氏(あるいは高市氏)が逆転する可能性が十分にある。

河野氏が勝利を確実にするためには、決選投票になだれ込むのを阻止し、最初の投票で過半数を取らなければならない。そのためには、石破氏が出馬をとりやめ、河野氏の支援に回ることが絶対に必要なのである。

このような中で、河野氏は13日、石破氏の事務所を訪れて協力を要請した。共同通信によると、河野氏は「私が首相に就任したら、挙党態勢を構築したい」と述べたが、石破氏は返答しなかったという。

河野氏とすれば、石破氏に出馬を取りやめて欲しい。そのために「総裁選後の挙党態勢」に言及して石破氏を要職に起用する可能性をほのめかし、出馬見送りを促したとみていい。

だが、石破氏とすれば、この程度の言葉を信じで出馬を取りやめることはできない。河野氏が総裁選に勝って首相になったとたん、政権運営を安定させるためにキングメーカーの安倍氏や麻生氏にすり寄って石破氏を切り捨てる可能性が十分にあるからだ。そうなった場合、少数派閥しか持たない石破氏はお手上げとなる。

石破氏は出馬すれば、党員投票でそれなりに健闘するだろうが、過半数には届きそうにない。国会議員票の比重が増す決選投票に進んでも勝利するのは極めて困難だ。ならば河野氏を「反安倍陣営」に引き込んだうえで自らは出馬をとりやめ河野氏支持に回るのが得策である。だが、河野氏が「安倍支配からの脱却」を確約しないのなら、自ら出馬して反安倍票の受け皿となり、一定の存在感を示すほうが得だ。

石破氏が目指すのはあくまでも「安倍支配からの脱却」だ。岸田氏や高市氏が首相になれば安倍支配が継続するのは間違いないが、河野氏が首相になっても安倍支配が継続したら意味がない。むしろ誰が見ても安倍傀儡の岸田氏や高市氏よりも、表面的には国民的人気を得ながら水面下では安倍氏や麻生氏に服従する河野政権のほうが余計にやっかいな存在となりうる。

このため、石破氏は出馬をとりやめる条件として、河野氏に対し、「安倍支配から脱却」をめざす姿勢を明確に示すことを求めるだろう。具体的には①森友学園事件をめぐる公文書改竄の再調査は「必要ない」とした発言を撤回し、再調査することを総裁選の公約に掲げる②石破氏を幹事長に起用することを確約するーーの二点を求めるのではないか。このくらいの言質を取らないと、河野氏は首相就任後、踵を返して石破氏を裏切る可能性は払拭できない。

河野氏がこの取引に乗れば、安倍氏と麻生氏が猛反発するのは避けられない。はたして、河野氏がキングメーカーのふたりとの決別を覚悟し、石破氏とタッグを組むことができるか。それとも「安倍支配からの脱却」について態度をあいまいにしたまま、石破氏に出馬をとりやめさせることができるか。はたまた石破氏と決別して安倍氏や麻生氏へさらに歩み寄ることで岸田氏や高市氏に競り勝つ道を選ぶのか。河野氏の決断が総裁選の行方を大きく左右することになるだろう。

石破氏は15日にも出馬か不出馬かを決める意向を示している。河野氏と石破氏はこれまでの政治人生でそれほどの接点はない。ふたりの間に信頼関係はなかろう。今の局面における両者の利害をすり合わせてこの一両日で合意に達することができるのか。総裁選は大きな山場を迎えた。

河野氏が「安倍支配からの脱却」に踏み出せなければ、この総裁選は「安倍支配」を前提としたコップの中の権力闘争でしかない。河野氏の決断は今後の自民党の針路を決するともいえる。

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