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共産党は「野党共闘」の幻想と決別を!立憲民主党が維新に追従して「自公の補完勢力」になった現実を直視し、野党再編を促せ!

2022年秋〜冬の臨時国会を野党から俯瞰すると、野党第一党の立憲民主党が安倍政権から続いてきた共産党との野党共闘に終止符を打ち、これまで「自公の補完勢力」と批判してきた日本維新の会と和解して共闘に踏み出した「大転換」の国会だったといっていい。

立憲が国会最終盤、旧統一教会の被害者救済法案をめぐり、維新の背中を追うようにして「骨抜き法案」への賛成に転じ、反対を貫いた共産党やれいわ新選組と立場を異にしたことは、野党勢力図が塗り変わった国会を象徴する場面であった。立憲も維新と同様、「自公の補完勢力」に成り下がったのだ。

年明けに始まる通常国会は、国会で9割以上の議席を占有する自民、公明、立憲、維新、国民の5党が、共産とれいわを外して5党協議で物事を決めていくという「大政翼賛」の色合いを深めていくだろう。

この国の民主政治は非常に危うい道を進んでいる。国会が与党一色に染まり、異論を封じる政治の行き着く先は、腐敗、言論弾圧、増税、そして戦争だ。戦前の日本史がそれを証明している。

日本政治史の大きな曲がり角に際して、私が不思議でならないのは、「確かな野党」を売りにしてきた共産党が「立憲の変節」に対してあまりにおとなしいことだ。

立憲が維新と和解して国会共闘に踏み出した9月、共産党の志位和夫委員長は「維新の会を野党と見なしていない。与党の補完勢力であり、正面から対決し、打ち破っていく相手として今後も対応していきたい」と明言し、「この点については、わが党だけではなく、これまで立憲民主党とも合意してきたことだ」と述べて立憲を牽制した。

さらに維新が自民党内でも慎重論が強い「核兵器の共有」を主張し、9条改憲を進めるため憲法審査会を早く動かせと太鼓をたたき、軍拡や原発再稼働の旗を振ってきたと指摘。「自民党よりもより極右的な立場から自公政権を引っ張る補完勢力であり、私たちは維新の会とは正面から対決し、打ち破っていくという相手だ。そういうものとして今後も明確な対応をしていきたい」と述べた。

共産党ナンバー2の小池晃書記局長も、維新を「『野党』を名乗りながら、自民党以上の右翼的立場に立って大軍拡と改憲の先兵となり、野党共闘攻撃の先兵となっている」と批判し、「自公政権の『補完勢力』とは正面からたたかうべき」と強調。立憲の泉健太代表が維新について「実はそんなに差がない」「決定的な対立はない」と発言したことを「憲法の問題で維新の会と協力の余地があると表明したことになる。本気でそんなことを考えているとすれば、とんでもない考え違い」と牽制していた。

志位氏と小池氏の指摘はもっともである。だが、立憲は彼らの牽制を黙殺し、維新との共闘を強め、被害者救済法案でも維新と賛否が割れて共闘が崩れることを避けるため、賛成に転じた。もはや立憲の立ち位置は鮮明になったのだ。

しかも維新が自公政権が進める敵基地先制攻撃(反撃能力)の保有や原発の新増設・運転期間延長にも賛成していることを踏まえ、立憲でも賛成論が強まっているのである。もはや自公立維国5党が共産とれいわを外して物事を決めていく5党談合政治の流れは後戻りできないところまできたのは明らかだろう。

立憲は、被害者救済法案への賛成に転じたばかりでなく、12月8日の衆院本会議で法案を可決したうえで同じ日に参院で審議入りし、土曜日である会期末の10日に参院本会議で可決・成立させるという、異例の国会運営も受け入れた。立憲が「野(や)党」ではなく「与(よ)党」との中間に位置する「ゆ党」と化したことを象徴する出来事だった。

志位氏は8日の記者会見で「わが党が提案した方向で修正する上でも、さらに問題点をよく議論し、被害者の意見、専門家の意見を聞くために、参院において臨時国会の会期延長を実現し、実効ある法案にしていく努力を最後までやっていきたい」と表明したが、立憲はこれも黙殺したのである。

立憲に共産との野党共闘をつづける意思がないことは今や誰の目にも明らかである。

志位氏は野党の勢力地図が塗り変わったこの国会が閉幕するにあたり、野党第一党の立憲が維新との共闘に転じ、さらには維新とともに「自公の補完勢力」に成り下がったことを痛烈に批判し、立憲との決別を宣言しなければならなかったはずだ。

ところが志位氏はそこまで踏み込まなかった。立憲に完全に梯子を外されたのに、立憲との野党共闘を断ち切れず、立ち位置をあいまいにしたままだ。そこまで立憲に遠慮しているのはなぜだろう。

小池書記局長は臨時国会が閉幕した12月10日、「次の国会は敵基地攻撃能力の保有と大軍拡が最大の論戦テーマになることは間違いない。立憲主義を守るかどうかを立憲民主党は問われるのではないか。立憲の原点でもある。しっかり注目していきたい」と記者団に述べて立憲を牽制したが、なお立憲の動向を見定めているようで、袂をわかつには至らなかった。

共産党は2021年衆院選で、山口二郎・法政大教授らが主導する市民連合の立ち合いのもと、立憲、社民、れいわと共通政策を結んで野党共闘を断行した。立憲も共産もこの衆院選で惨敗したが、志位氏は今年秋の結党100周年記念講演で「野党間で共通政策とともに政権合意が確認されるもとで、政権交代に本気で挑むという党史上初めての挑戦を行いました」「それだけにさらに激しい野党共闘攻撃・反共攻撃が行われ、共闘は確かな成果をあげましたが、わが党の議席は10議席に後退しました」と総括したのである。

共産党100年の歴史において、他の野党と「政権合意」を結んで「政権交代」に挑むことは「初めての挑戦」であり、歴史的な大決断だったのだ。志位氏の政治生命をかけた大勝負だったのである。

共産党はその結果、昨年秋の衆院選に続いて、今年夏の参院選でも議席を減らして「惨敗」したものの、それは野党の結束を固めて自公政権を倒す長い道のりにとっては止むを得ない通過点であり、ここは歯を食いしばって野党共闘を進めなければならないーーそのように共産党支持層を説得してきたのだ。

結党100周年記念講演における志位氏の以下の言葉からは、自らの政治生命をかけて挑戦した立憲との野党共闘の旗を降ろすわけにはいかないという切迫感が漂っている。

私たちは、安倍政権による立憲主義・民主主義・平和主義の破壊という非常事態をただすという大義を掲げて共闘の道に踏み込んだことは、変革の党としての当然の責任だったと確信しています。共闘によって、全国で新しい友人、信頼の絆をつくりだしたことは、現在と未来に生きるものになると実感しています。そして、この決断が、国民の日本共産党に対する見方を変え、新しい期待を広げていることも間違いないのではないでしょうか。日本の政治を変える道は共闘しかありません。

だが、志位氏の崇高な理念とは裏腹に、現実の政治においては、共闘相手であるはずの立憲は、とっくに共産党との共闘を見切り、維新と一緒に自公に歩み寄る道を選んだのである。志位氏自身があれほど痛烈に批判した「自公の補完勢力」に成り果てたのだ。2022年秋〜冬の臨時国会は、立憲の変節をみせつけられる舞台となった。志位氏が断固として許さないという「敵基地攻撃能力の保有」にも立憲は賛成する方向に傾いているのである。志位氏といえども、もはやこの現実を受け入れざるを得ないだろう。

志位氏が「歴史的挑戦」として決断した立憲との野党共闘は、失敗に終わったのだ。

けれども志位氏はその事実を受け入れられない。だから立憲との決別に踏み切れない。そして党内からも志位執行部を突き上げる声が上がらない。そこに共産党最大の弱点がある。党員は党執行部の決定に従うことを徹底する民主集中制の弱点だ。

志位氏ら指導部がいったん決めたことを「間違っていた」と総括することができないのである。間違いを認めたら、志位氏は最高指導者であり続けることができないからだ。旧態依然たる大企業の経営者が経営の失敗を認めず地位にしがみつくのと同じ構図である。

自民党史でも首相が政権延命に躍起になる姿はしばしばみられた。けれども連立政権が崩壊して選挙に敗れる事態に発展したら、ふつうは首相が退陣し、新たなリーダーを選出して新しい執行部のもとで政権立て直しに取り組むだろう。ここが自民党のしぶといところだ。フレッシュな顔ぶれに入れ替えたほうが、新しい連立相手との交渉も円滑に進む。

しかし共産党は執行部を簡単には変えられない。志位氏は委員長に就任して20年を超えている。

志位氏が主導して歴史的決断で共闘に踏み切った立憲に梯子を外されたのだ。共産党執行部の野党共闘の主張を信じて選挙区で立憲候補に一票を投じた有権者を裏切った政治責任は重大である。

この政治的選択の失敗は、もはや体制刷新なくしては挽回できないレベルの痛打だ。立憲が敵基地攻撃能力の保有や原発推進で維新とともに自公にすり寄るなかで、遠くないうちに立憲と決別するほかない局面がくるのではないか。

幸いなことに、共産党には田村智子政策委員長や山添拓参院議員ら次世代が育っている。志位氏はこのあたりで大胆な世代交代を進め、田村氏や山添氏に指導者の地位を明け渡し、それを機に立憲と決別して、自公の補完勢力には絶対ならないと信じるに足る人々とともに野党勢力の再結集を図るべきだろう。

その相手はれいわ新選組であり、敵基地攻撃能力の保有や原発推進を受け入れられずに立憲を飛び出す議員たちであり、さらには全国のリベラル派首長や地方議員たちであろう。

結党100年の歴史を持つ共産党の組織力とノウハウは他の勢力にはない貴重な財産である。新しい野党勢力が結集すれば、共産党がこれまでの立憲民主党主導の野党共闘よりも重要な地位を占めるのは間違いない。志位氏の歴史的英断に期待したい。

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