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泉健太代表の立憲民主党は「共産より連合」を鮮明にした〜来夏の参院選で「野党共闘」は様変わりする

連合の芳野友子会長が「立憲民主党と共産党の共闘はありえない」との発言を繰り返している。立憲民主党に対して共産党と選挙協力しないように求めるとともに、国民民主党との合流を促す姿勢を強めている。

立憲民主党の泉健太・新代表は12月3日、西村智奈美・新幹事長とともに連合本部に就任のあいさつに訪れて芳野会長と会談し、来年夏の参院選に向けて「連合とともに戦っていきたい」と伝えた。さらに芳野会長が求める国民民主党との合流について「国民民主党とは十分にやりとりをしていきたい」と前向きの姿勢を示した。一方で、共産党については話題に出なかったという。

泉代表は芳野会長との会談を通じて①連合や国民民主党との共闘を最優先にする②共産党との協力は連合が許容する範囲内にとどめるーーとの基本姿勢を示したといえるだろう。会談に同席した西村幹事長もこの方針に同調したというほかない。

連合執行部は大企業労組の出身者が要職を占め、近年は大企業や政府・与党寄りの姿勢をみせることが目立ってきた。非正規など立場の弱い労働者よりも大企業の正社員の立場を代弁する傾向もみられた。とりわけ共産党を敵視し、立憲民主党が共産党と共闘することには強く反対してきた。

今年9月に神津氏の後任人事がすったもんだの末に初の女性会長となる芳野氏に決着した時は、連合が変わるかもしれないという期待が広がった。事務局長に日教組の清水秀行委員長が就任することも「連合の変化」への期待感を高めていた。

ところが芳野会長は就任早々、共産党を敵視する姿勢を全開。衆院選の最中も立憲民主党が衆院選に惨敗した後も共産党との共闘に反対する姿勢を露骨に示してきた。その頑なな姿勢は神津前会長以上である。神津氏のほうがまだ柔軟な対応をみせていた。それに比べて芳野会長は「共産党との共闘を阻止するのが私の役目」と思い込んでいるかのような発言を繰り返すばかりだ。

驚くべきは、芳野会長の姿勢に対し、立憲民主党から異論はまったく出ないことだ。泉氏を含め代表選に出馬した4候補はいずれも芳野会長の発言に疑問を呈することはなかった。立憲民主党の所属議員からも芳野会長への批判は聞こえてこない。これでは芳野会長の「共産党外し」の姿勢を追認していると受け止められても仕方がない。

立憲議員の多くは選挙で連合の支援を受けているのは事実だが、単なる一支援団体に過ぎない連合に対してまったく異論を言えないほど依存を深めているとしたら、野党第一党として政権交代を掲げる資格も実力もない。情けない限りだ。

もうひとつ驚くべきは、連合傘下の労組からも芳野会長の姿勢に批判が出てこないことだ。連合加盟の各労組は立憲民主党や国民民主党との距離も、共産党への姿勢もまちまちだ。衆院選では共産党を含む野党共闘の枠組みで積極的に活動した労組もある。それなのに共産党を露骨に敵視する芳野会長への疑問の声がまったくあがらないのは、いったいどうしたことだろう。

連合に加盟している労働者は大企業の正社員らを中心として約700万人。この国で働く全労働者の1割そこそこでしかない。「すべての労働者の代表」とは到底言えないのが現実だ。

それでも政府は連合を「すべての労働者の代表」とみなして連合役員らを審議会などのメンバーに引き入れ、連合の意見を聞くことで「労働者の声を聞いた」というアリバイづくりをしている。労働コストの削減を重視する大企業寄りの政策を実行しようとする政府の片棒を担いでいるのが連合の実態だ。連合の役員は「ごく限られた特権階級の代表」なのである。世論(その多くは労働者)の批判が高まっているのは当然だ。

その連合に追従する立憲民主党も「労働者の声」を代弁している政党とは到底言えない。連合べったりの姿勢は「ごく一部の特権階級の代弁者」という印象をますます強めるだろう。

私は連合と手を切れというつもりはない。あくまでも連合を「一支援団体」として扱えばいい。共産党とどのように共闘するかという極めて政治的な判断について、連合の言いなりになること自体がおかしいのだ。

働き方が多様化し、労働組合の加入率は下がる一方である。労働組合にとっても考え方はまちまちだ。もはや連合がすべての労働組合の上に君臨し、すべての労働者の代表として振る舞うこと自体に限界がある。連合は「政府が労働者の声をアリバイ的に聞く」ための都合の良い組織に成り果てている。各省庁の意向を審議会などで代弁する御用学者と同じだ。立憲民主党がその連合の言いなりになれば、立憲民主党もまた「政府の補完勢力」との批判を免れない。

連合べったりの立憲民主党に対し、共産党の志位和夫委員長ら執行部の姿勢も手ぬるい。

志位氏は今回の衆院選で野党第一党との「閣外協力」を初めて掲げて「野党共闘」したことを歴史的な第一歩と位置づけている。衆院選で議席を減らしたことを受けて「野党共闘は失敗だった」ということになれば党執行部の責任問題に発展しかねないだけに、「野党共闘」自体は成功であったと総括するしかないのだろう。

この結果、連合の言いなりで共産党との共闘見直しに傾く泉代表に対し、強く異議を唱えることができないという隘路にはまりこんでいるように私には見える。

しかし、このまま進むと来年夏の参院選で共産党が期待するような「野党共闘」が実現する可能性はきわめて低い。泉・立憲民主党が共産党より連合を重視する姿勢はもはや明らかだ。衆院選での「閣外協力」の合意は、事実上、廃棄されたと受け止め、参院選にむけて独自色を徐々に強めていくしかなかろう。

私は参院選で世論の注目を集めるのは、「新自由主義の維新vs弱者保護のれいわ」の第三極対決だとみている。自民党と立憲民主党の二大政党の存在感は大きく下がるだろう。自民党は政権与党なので「利権集団」として一定の支持を得るだろうが、「利権」という求心力を持たずれいわと比べて根幹政策も総花的な立憲民主党は相当埋没するのではないかとみている。

共産党が立憲民主党への「片想い」で衆院選での共闘に縛られるとしたら、立憲民主党とともに埋没し、衆院選に続いて議席を減らすという結果になる恐れは極めて高い。参院選にむけてじわじわと「立憲民主党離れ」を進めていくしかないのではないか。

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