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立憲陥落、政局優先で被害者救済「骨抜き法案」賛成へ!維新と国民民主を引き込む自民の「野党分断工作」に屈服〜国会が与党一色に染まる大政翼賛体制への道

立憲民主党は12月7日、統一教会の被害者救済法案について8日に衆院特別委員会で採決したうえで衆院本会議に緊急上程することで自民党と合意した。10日までの今国会会期中に参院でも可決・成立させることを容認するもので、立憲も賛成する方針だ。

岸田内閣が提出した被害者救済法案(政府案)は、寄付を勧誘する際に自由な意思を抑圧しないように「配慮義務」を盛り込んだが、被害者や弁護団からは「不十分」として強く反発。立憲も「禁止行為」とする修正を求め、自民・公明・立憲・維新・国民民主の間で与野党協議が続いてきた。

自公与党は「禁止行為」とすることは断固受け入れず、政府案の微調整にとどめる姿勢を示していた。

ところが維新と国民民主は自民党と個別に折衝を重ねて一足先に賛成の方針を決定。自民は立憲だけを外す野党分断工作を進める一方で、「配慮義務」に「十分」という言葉を加えることを提案し「ひとり取り残されたくはない」という立憲の不安感を刺激して揺さぶった。

立憲の岡田克也幹事長は6日、政府案について「合格の60点まであと10点」と語り、自民の茂木敏充幹事長との間で10日までの会期内採決をめざして調整を進めることを確認した。

7日午前には立憲の安住国対委員長が記者団に対し「法案の実効性を高めるために、今、最終調整をしていて『十分』な配慮義務というのは、1つの知恵だ。『十分』というのは軽いことばではなく、法律に入れた場合、その範囲や効力は普通の配慮義務より格段に上がる。もう対決法案ではない」と述べ、賛成に転じる考えを表明。自民党内では小幅の会期延長は避けられないという見方もあったが、立憲はあっさりと屈服して会期延長せずに今国会成立の可能性が強まった。立憲の大幅譲歩といっていい。

立憲の大幅譲歩は、統一教会の被害者救済に加え、自民党と統一教会の闇を徹底的にあぶり出すことを求める国民世論の支持を得られないだろう。統一教会の被害者や弁護団だけではなく、立憲支持層も相当な戸惑いをもって受け止めるに違いない。

泉健太代表は被害者救済法案について「立憲民主党が大事にしたいのは政局よりも法案の内容。「現に被害者を救える立法かどうか」です。深刻な被害に遭ってきた当事者に寄り添い政府案の修正を求めてきました」と表明していた。

しかし、今回の政府案微修正が「深刻な被害に遭ってきた当事者」たちが納得する内容とは私には思えない。立憲自身が主張してきたように「禁止行為」に踏み込まなければ実効性はない。「配慮義務」に「十分」という文言を加えただけでは、どうみても「骨抜き」だ。

7日の衆院特別委の参考人質疑でも、被害弁護団の弁護士が政府案の根本的な問題点を次々に指摘した。「十分」という文言を加える微修正では根本的な解決にはほど遠い。

共産党の穀田国会対策委員長は、記者会見で「党として法案の配慮義務を禁止規定にするという内容などを盛り込んだ修正案を出したい。よりよいものにするために最後まで努力したうえで法案への賛否を決める。きょうの参考人質疑で問題点も指摘されており、国会の会期を延長して審議を深めるべきだ」と述べ、立憲とは一線を画す姿勢を示した。

被害者や共産・れいわの反発を承知で立憲が政府案微修正を受け入れたのは、自民の野党切り崩し工作によって、国民民主に続き今国会で共闘を確認した維新も賛成する方向になったことで「置いてけぼり」になることを恐れたためだ。

まさに泉代表自身が否定した「政局」を優先し、「現に被害者を救えるかどうか」という法案の中身を後回しにしたのである。これは被害当事者にくわえ、国民全般に対する背信行為ではないのか。

泉代表は12月6日夜になって「被害者の声を伝え、与野党協議を続ける中で総理の答弁や与党側の法案も随分変わってきた」と豹変した。

本当に岸田首相の答弁や法案内容は変わったのか? 微調整にすぎないのではないか? 立憲はもともと「賛成ありき」だったのではないかと私は疑っている。国民民主や維新が政府案に賛成することはかなり早くから想定されたことで、そのなかで不十分な政府案に反対を貫く覚悟が立憲にあったとは思えない。

これを機に、立憲はタガが外れ、年明けの通常国会では次々に政府案に賛成していく可能性がある。これからも微修正を勝ち取れば「大きく前進した」と評価して政府案に同調していくのではないか。原発推進や防衛費倍増(反撃能力の保有)について、立憲内では早くも賛成論が強まっている。

しかも統一教会と自民党の濃密な関係や政策決定に与えた影響、とりわけ憲法改正論やジェンダー政策への影響についてはほとんど検証されていない。自民党は被害者救済法案の成立で幕引きしたい考えだが、立憲は年明け通常国会でも統一教会問題を引き続き追及していくのか、私はかなり怪しいとみている。

こうなると立憲はもはや「野党」といえない。維新や国民民主と同じように「与党」と「野党」の中間に位置する「ゆ党」である。それは立憲支持層がこれまで維新を揶揄して呼んできた「自公の補完勢力」そのものだ。被害者救済問題を与党に接近する理由づけとして利用したのなら、これほど不誠実なことはない。

立憲が誤魔化してきたベールが剥がれ、与党と対決するのではなく協調したいという馬脚をついに現したといっていい。もはや共産やれいわとの野党共闘に立ち戻ることはないだろう。野党支持層ははやく目を覚して次の選択肢を探ったほうがいい。

立憲には原発推進や反撃能力保有で自民に同調することを受け入れられない議員もいるはずだ。立憲執行部と決別し、離党して共産やれいわとともに、真の意味で自公与党と対決する強い野党を再建するため、野党再編に踏み出してほしい。さもなくば、この国の政治は、自民、公明、立憲、維新、国民民主が談合する大政翼賛体制へ突き進むことになるだろう。


国民民主党の連立入り報道や維新と自民党の幹部会談が立憲民主党を焦らせ、被害者救済法案の賛成へ駆り立てた流れをYouTube動画で解説しました。ぜひご覧ください。

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