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枝野代表にはそもそも「野党共闘」の自覚がなかった!「野党共闘」は幻想だった!〜山本太郎の出馬表明目前の枝野会見を読み解く

れいわ新選組の山本太郎代表が衆院東京8区からの出馬表明を撤回した。

山本氏が10月11日夜の街頭演説で説明した経緯はわかりやすい。以下の4つのツイートの動画は要点がまとまっているので、山本氏の説明を直接ご覧いただきたい。

山本氏が説明した経緯を要約する。

①2019年11月29日、立憲民主党から山本氏が東京8区に出馬すれば立憲民主党が公認を予定している吉田晴美氏を下ろすのはやぶさかではないという提案があった。これがすべてのはじまり。

②2021年6月15日、立憲民主党が消費税を5%に時限的に下げると発表した。山本氏はこれで一緒に戦っていけると判断した。

③8月に入り、立憲民主党から複数のチャンネルで話し合いの打診があり、8月9日、8月27日、9月17日、9月24日に直接話し合った。これ以外にも電話でやりとりを重ねた。

④両党は「立憲民主党は東京8区からの撤退を、公認発表時に東京8区を削除する形で明らかにする」「れいわは準備が間に合わないため、その数日前の9月27日に山本代表の東京8区出馬を表明する」ことで合意した。

⑤その後、立憲民主党から「東京8区の支持者の説得にもうすこし時間がかかるので、立憲側の発表時期を遅らせたい。遅くても10月15日までには行いたい」と連絡があり、山本氏は了承した。山本氏は自らの出馬表明を10月8日に行うことを立憲民主党に伝え、了承を得た。

⑥9月30日、山本氏と枝野氏が会談。枝野氏は「やりとりがなされているのは知っている。別の者が対応にあたっているという発言にとどめるからね」と山本氏に直接伝えた。

⑦10月7日、立憲民主党から「10月12日の公認発表でいけるよ」と連絡があった。山本氏が10月8日に出馬表明することについては「執行部に確認した。それで結構です」と言われた。立憲民主党の候補予定者である吉田氏とは「次の活躍の場を約束する念書を交わした」という報告を受けた。

⑧10月7日夜、山本氏が東京8区から出馬すると東京新聞が報じた。枝野氏は翌8日朝の記者会見から約束とは違う発言を始めた。

⑨山本氏は野党共闘を壊さないため自分一人で泥を被ろうと思っていた。しかし、山本氏もたくさんの候補者や議員を抱え、人生を預かっている。このような形で野党共闘を壊しながら選挙区を無理やり奪いにきたと枝野氏に話されたら、党がつぶれてしまう。そんなかたちの野党共闘はない。山本氏が出馬を撤回し、どういうやりとりがあったかを明らかにするのが正しいやり方だと思った。そのうえで野党共闘は続けていきたい。

以上は、これまでのマスコミ報道とまるで違う内容である。マスコミがいかに枝野氏ら立憲民主党側の主張を一方的に垂れ流してきたかがよくわかる。枝野氏ら立憲民主党とマスコミ各社政治部が一体となって「山本氏が東京8区に一方的に乗り込んできて奪い取ろうとした」という印象を流布し、れいわ新選組をつぶそうとしたとしか私には思えない。

マスコミ各社は政治部の「野党記者クラブ」がこの件を取材している。野党クラブの記者にとって最大の取材先は野党第一党の立憲民主党である。れいわ新選組はいわば「ハジパイ」だ。野党取材の現場でさえも「強い者の主張にのっかる」という政治報道の悪弊が出たと私は思っている。

山本氏が経緯を説明した後もなお、マスコミ各社の報道姿勢はほとんど変わっていない(こちら参照)。山本氏が単に東京8区の市民たちの反対を受けて出馬撤回に追い込まれたという報道を続けており、立憲民主党とのいきさつについて詳しく触れないままだ。これほどのミスリードの報道を許していいのだろうか。政治報道への信頼崩壊はいっそう進むだろう。

山本氏は立憲民主党とのやりとりを録音しているという。山本氏は野党共闘を壊さないように、その「証拠」を墓場まで持っていく意向を示す一方で、立憲民主党が過去のやりとりを否定するのなら「泥沼化する」とも語った。

枝野氏は過去の経緯を率直に説明するとともに、野党共闘のリーダーとして、野党支持者の中に大きな亀裂を招いた政治責任を率直に認めて謝罪し、山本氏と和解し、野党共闘を立て直す責務がある。それを怠れば、野党共闘は瞬く間に崩れ、衆院選前に野党陣営は自滅するだろう。

それでは前回衆院選の希望の党と同じだ。枝野氏は山本氏を「排除」することで、自らを「排除」した当時の小池百合子氏と同じ道をたどりつつある。

しかし、枝野氏が翻意し、過去のいきさつを率直に詫びて野党共闘を立て直すことはあまり期待できない。なぜならば、枝野氏はそもそも共産、れいわ、社民と「野党共闘」しているという自覚がないからだ。

以下は山本氏が東京8区からの出馬を表明した当日、10月8日朝にあった枝野氏の記者会見である。ここに枝野氏の野党共闘への考え方がはっきり現れている。

これをみると、枝野氏にはそもそも「野党共闘」をしているという自覚も、「野党共闘で政権交代を目指す」という意思も、「野党共闘全体の結果に責任を負う」という覚悟もないことがよくわかる。

マスコミ各社はそれを正しく伝えず、覆い隠し、勝手に「野党共闘が進んでいる」という印象を流布してきた。それは枝野氏が「野党共闘のリーダーとしての責任」から逃れ、「野党候補の一本化」という立憲民主党にとってのメリットだけを享受することに加担してきたともいえる。

その枝野会見も直接ご覧いただきたい。以下の動画の25分あたりからが該当部分だ。

以下、該当部分のほぼ全文おこしである。

読売新聞記者 国民民主党がきのう、神奈川10区に候補者を擁立した。共産党現職がいるところだ。他党のことではあるが、野党第一党として野党共闘に与える影響をどう考えるか。

枝野氏 野党共闘というのは、みなさんがいつもおっしゃていますが、私の方からは使っていませんし、私どもはあくまでも国民民主党さんと二党間で連合さんを含めて政策協定を結び一体となって選挙を戦う。そして市民連合のみなさんを通じて、三党のみなさんと一定の政策について共有してこの実現にともにがんばろうというなかで、共産党さんとはその政策の一致している点に限定した範囲で閣外から協力をいただくというお話をしている。あくまでも私どもはそれぞれ各党との関係であり、他党と他党のことについて私が申し上げる立場にはありません。

読売新聞記者 れいわ新選組の山本太郎代表が東京8区から出馬される見通しと報じられている。きょうの夕方に正式発表になるが、東京8区には立憲民主党も支部長を決めているいる。山本さんが出馬する場合はどう対応するのか。

枝野氏 一部報道は承知していますし、この間、いろんな「うわさ」という表現がいちばんいいと思いますが、非公式なさまざまな情報がありますが、具体的に現時点で自分がどこでどうするということについて情報なり申し入れなりはございません。ただ、おそらくどこかの小選挙区からお出になるし、市民連合さんを通じて共通の政策をもっているわけでありますので、できれば私どもの立場としては我が党の候補者が、しかも長年地域に根をはやしてがんばって戦ってきて、おそらくこの流れでいけば小選挙区で互角の戦いができるのではないかと思っているところを避けていただければありがたい。

枝野氏は「野党共闘」と言う言葉を自らは使っていないと明言している。共産、社民、れいわとは「市民連合を通じて合意した一定の政策を共有してともにがんばる」という関係に過ぎず、立憲民主党は「あくまでもそれぞれ各党との関係」で協議しているだけで、野党第一党として野党共闘全体の成功に責任を負うという姿勢をまったく見せていないのだ。

それどころか、国民民主党とは「連合を含めて二党間で政策協定を結び一体となって選挙を戦う」と述べており、野党4党の「共闘」と国民民主党との「協定」を同列的に、見方によっては国民民主党や連合との関係を上位に位置付けているのである。

枝野氏が自らの部下である立憲民主党執行部が山本氏と水面下で調整を重ねていることを知りながら、山本氏の東京8区出馬説を「うわさ」と表現したところに、「野党共闘」を軽視する姿勢が露骨に現れている。これでは野党間の信頼関係が成り立つはずがない。

枝野氏は「野党共闘」で政権交代を実現し「野党連立の枝野政権」をつくるつもりはさらさらないのだろう。彼にとって少数政党である野党各党は野党第一党に当然付き従うべき存在であり、衆院選の勝敗ラインも「野党全体で過半数」ではなく「立憲民主党の議席増」に設定しているとしか思えない。政権交代が実現しなくても立憲民主党が議席を伸ばせば「勝利した!」と総括して代表の座に踏みとどまるつもりなのであろう。だからこそ他の野党のことなど眼中にないのだ。

これでは「野党共闘の首相候補」として失格である。他の野党支持者はそんな野党共闘に協力する気持ちが失せるであろう。二大政党政治において、政権交代をめざす野党第一党の党首が、選挙で政権交代を実現することに失敗したのにそのまま居座るということを許してはいけない。マスコミ各社は「今回の衆院選で野党全体で過半数を取り政権交代を実現することができなければ、代表を辞めるのか」と厳しく追及すべきである。そこをあいまいにしたまま、野党共闘が成り立つはずがない。

枝野氏とマスコミ各社が振りまいてきた「野党共闘の幻想」をいまいちど精査する必要がある。衆院選公示を目前に控え、そんなことをしている余裕は本来はない。しかし、このような混乱を招いた以上、「野党共闘の再整理」をなくして衆院選の「野党共闘」は瓦解するだろう。そんな土壇場に矛盾を噴出させた責任はすべて、野党第一党を率いて首相の座を目指す枝野氏自身にある。

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